一星龍さんの小説7

本文

今日は真冬ちゃんとのデート。
学園祭のときにコミケに行こうだ、乙女ロードに行こうだ言っていたが、俺が泣いてすがって、やめてくれと頼んだら何とか普通のデートをすることになった。よくやった俺。
もしも真冬ちゃんのペースに巻き込まれたら、俺は、もう二度と男の子ではなくなるかもしれない。
というか、最近の真冬ちゃんは深夏なんかよりも押しが強い。まあ、趣味方面だけに偏っているが。だからこそ怖いのだがな。
真冬ちゃんの提案で今日は、遊園地に行くことになった。よくよく考えれば、俺はデートとかでは遊園地に行ったことはあまりない。というか、遊園地自体ここ5,6年は行ってないと思う。・・・・いくらチャンスが無いからって行ってなさすぎだなぁ・・・真冬ちゃんの提案にして、珍しく俺が楽しめるものだったのでほっとする。
待ち合わせの10分前にきているがやはり、深夏のときのデートも10分前に北が、やはり楽しみにしすぎだ。昨日なんて夜の4時くらいまで寝れなかったからな。ていうか、俺は明日遠足をする幼稚園児か。
暫くしたら真冬ちゃんが来た。具体的には約束の5分前。
「おはようございます、先輩。」
真冬ちゃんが笑顔で俺に挨拶をする、それだけで俺はもう・・・・
「えっ、ええっ!?な、なんで先輩泣いているんですか!?」
「真冬ちゃんの笑顔が、100万ボルトのカーニバルで、あまり眩し過ぎて・・・ううっ」
「そ、それは嬉しいんですけど、その、泣かれると・・・・困ります。」
「おっと、真冬ちゃんの困ってる顔は見たくない。・・・・うん、よし。もう大丈夫、いつもどおりの下心満載の杉崎鍵、復活!!」
「・・・・・・あの、せっかくデート楽しみしていたんですけど・・・・その発言を聞いたら帰りたくなってきました。」
「ああ、待って、捨てないでぇーーー」
「冗談ですよ。真冬が先輩とのデートわざわざ捨てるようなことはしません。」
「ああよかった。」
このまま捨てられるかと思った。
「そういえばよく深夏に気付かれなかったね。どうやったの?」
「あーそれはですね・・・・・・知弦さんと会長さんに頼んで今日一日、少なくともデート中は玩具状態です。」
ひどい、ひどいわっ、深夏をそんな事にさせるなんて、そしてそれをする真冬ちゃんも怖いわっ、思わず女言葉になるくらいひどいわっ
「途中から、真儀留先生もワルノリしてましたね。ご愁傷様です、お姉ちゃん。」
「うあああああ・・・・・・」
本気で深夏が不憫に思えた。
ていうか、真冬ちゃん。マジで最近真冬ちゃんの行動にも発言にも俺は次第に恐怖を持っているよ。
「じゃあ、そろそろ行こうか。」
「はいっ!」
笑顔の真冬ちゃんにそう告げて俺たちは出発した。

近所、というか都道府県レベルで有名なこの遊園地「SEA DRAGON ランド」にはあるジンクスがある。中央に聳え立つ、某ネズミがいるランドのパクリっぽい城で告白するとその恋は叶うというジンクスが。前まではそんなこと聞かなかったが最近になってそのジンクスが流れ始めた。そのおかげで、俺たち以外にカップル、又はナンパ目的の独り身がたくさんいる。いやはや、情報操作ってのは凄いね、しかもここ最近は。
「す、凄い人だかりですね。迷子になったら、もう二度と会えなさそうです。」
「実際、それもありえそうだから怖いよね。」
そしてここの売りはそれでけでなく、ほとんどが水か氷をモチーフにして造られているという点。要するに冬だろうと何だろうとずぶ濡れになるって所。
受付でレインコートをもらって正直邪魔って思う人がいるらしいが、それでレインコートをもらわないと、
「「・・・・・・・・・・」」
「うわぁ・・・・・・」
ああなるわけだ。びしょびしょのずぶずぶでもう目も向けられない。
あっ、でもカップルの女の人の下着が透けて見えそう ――――
「む―――っ」
真冬ちゃんがわざとむーと声に出している。
「先輩はやっぱり、不潔です。鬼畜です、変態です。」
グサッグサッグサリッ!!
「真冬みたいな、可愛い彼女がいるのに・・・・」
あっ、真冬ちゃんが少しだが拗ねた。
「いいんですよ、別に。真冬はそれほど発育がいいわけではないですし、お姉ちゃんみたいに運動もできないですし、知弦さんみたいに頭もよくないし・・・」
「ストップ真冬ちゃん、それ以上ネガティブになるのは止めて。」
「・・・・・む―――っ」
ああっ、やっぱりこんな真冬ちゃんも可愛いと思い愛でたいと思う自分がいる。
「俺は真冬ちゃんが大好きだから。これ以上でも以下でもないよ。そういったでしょ。」
「・・・それでも、他の女の人に目が行ってると悔しいんです・・・」
「それはほら、俺だし。」
「あっ、そうですね」
そこですぐに納得されるのも悔しい。
「ほら、先輩。つまんないことに悩んでないで行きましょう。」
真冬ちゃんが腕に抱きつく。
「ふふふ、先輩の腕、あったかいです。」
「冬だから余計に重宝する?」
「そうですね、『先輩の腕カイロ』・・・・中々に気持ちよさそうです。」
「それはなんか、グロイよ真冬ちゃん。」
「あっ・・・・すいません先輩。じゃあそろそろ行きましょう!!」
「うん、分かった。じゃあどこから行こうか?」
「そうですね~」
先ずはどこに行こうかと俺と真冬ちゃんは迷った。

余談だが、この遊園地は隣に水族館があってそこと合併しているので、右に行きゃ遊園地、左に行きゃ水族館とまさに親泣かせの場所。
そして中央にある、あるアトラクションに俺たちは行った。
「では、楽しい水の旅へ行ってらっしゃい!!」
係員がそう言って、上がガラスで覆われている、潜水艦のようなものが水の中にひいてある、線路の上を進む。このアトラクションは水族館の水槽の中へと潜り、その中を潜水艦で探険するという物だった。
「わああ~~っ」
真冬ちゃんがガラスに引っ付いて、外を見ている。
「あっ、先輩!見てください!エイですよ、エイ!!」
真冬ちゃんの指差す方向にはでっかいエイがいた。
「真冬ちゃんて魚とかそういうのが好きだったの?」
「いえ、別に好きではないんですけど、こんな間近で魚を見るなんてめったにないじゃないですか。だから、興奮しちゃって。・・・あっ、あっちにマンボウがいますよ!!マンボウ!!」
真冬ちゃんがかなり興奮した様子で見ている。その姿がいつもの控えめな姿ではなく、こんな風に喜んでいる姿を見て、
「(ああ、やっぱり真冬ちゃんはこういう顔のほうが似合うな)」
としみじみ思った。
「先輩!!鰯の群れがぶわわ~ってなってますよ!ほら見てみてください!!」
「はいはい、真冬ちゃんのお勧めはどれ?」
「えっとですね・・・ほらあっちに綺麗な魚が―――。」
真冬ちゃんの珍しい子供みたいな姿を見ることができた。

楽しかった?真冬ちゃん。」
「はいっ!!それはもう今世紀最大のアトラクションでした!!」
それは言いすぎだ。
「じゃあ、う~ん次は・・・・・あっ、真冬ちゃんここなんてどうかな?」
俺はお化け屋敷を指差す。
「はい?えっと・・・・お化け屋敷?ですか。」
「うんいいかな・・・って真冬ちゃんは怖いのは大丈夫だったよね。」
「は、はい、一応怖い話は大好きですけど・・・」
「じゃ、行く?」
「は、はい・・・」
真冬ちゃんが小刻みに震えていたけど、なんでだろう、気のせいか?
そして、そのお化け屋敷の前にたどり着く。このお化け屋敷のテーマは「水没した都市」というものだった。
中に入ってみるが、その出来の良さに驚く。更に係員の話だと、抜け出すのが一時間は掛かるという迷路もよく出来ているらしい。
「いや、これは凄い出来だな、学園祭にもあったけど、これには適いっこないな。」
「・・・・・・」
真冬ちゃんはさっきから俺の腕にしがみつき、一言も喋らない。
「真冬ちゃん?」
「・・・・・・・・・・・」
「おーい、真冬ちゃーん!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
真冬ちゃんの目の前で手を叩いてみる。
「っ―――――――!!!、きゃああああああああああああああああああぁぁぁぁぁっっっっっ!!!!!!」
「おわっ!!」
俺は真冬ちゃんのその声に驚いた。
「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ、せ、先輩?」
「は、はい、杉崎先輩ですが・・・」
「お、お、おどrかさんいくでしっ!!」
「いやいや、噛んでる。噛んでるから。」
「はあっ、はあっ、はあっ、すぅ――――っはぁ―――――っ・・・・・先輩っ!!、驚かさないでくださいっ!!」
「いや驚かしたつもりは・・・」
そういったら、隣に隠し扉でもあったのか、【うばぁーーーーっ!!!!!!】と言いながらお化け(作り物だがリアリティを追求したもの)が出てきた。
「おわうっ!!」
俺も確かに驚いた。驚いてちょっとビビッて情けなく声を出したわけだが真冬ちゃんは・・・・
「―――――――――――――――――――――っ」
真冬ちゃんは立ったまま動かない。揺すってみるが反応はない。
「真冬ちゃん?真冬ちゃんっ!?」
よく見てみたら気絶していた。

少し離れて、真冬ちゃんのが元通りになるまで、待っていた。
「・・・・・う、ん・・・っ・・・・・・せ・・・先輩?」
「ああ、そうだけど・・・・」
「えと、妙に暗いんですけど、ここ。」
「あれ、そこから!?・・・・あのですね真冬ちゃん、ここはお化け屋敷で、真冬ちゃんはさっきまで気絶していたんですよ。」
「?・・・・ああっそうでしたっ。真冬、食べられるかと・・・」
「食べられはしないよ・・・・なんで怖いのに付き合ってくれたの?つか、お化け、怖いの?」
「・・・・・はい、真冬は、その、怖い話とかは自分に関わってないフィクションだから、怖くはないんですけど・・・こういう直接驚かしたりされるのは、ちょっと怖くて・・・・そもそも、お化けとかを克服するために真冬は怪談の本とかを読んでいたんですけど、怖い話にだけ慣れて、結局お化け屋敷には慣れずに・・・・」
「ああ・・だから入ったときからきょどっていたわけか・・・だったら嫌だって言ってくれればいいのに。」
「その、バラしたくないのと、先輩に迷惑かけたくなかったから・・・」
「ぶっちゃけ、この今の状況ほど迷惑なものはない。」
「すいません・・・・」
「はあ・・・一度入ったら、ゴールまで行かないと出れないけど大丈夫?」
「は・・はい頑張ってみます。」
既に涙目で言われてもまったく説得力がない。
何か気の聞いたことを言おうと思うが、何か音を出しただけで怖がってしまうから無言で歩いていく。
だがその途中にもお化けとかは驚かしに来る。
【びゃああああああああああっ!!】
「ひううっ!!・・・・」
【オネエ・・チャ・・ン一緒・・ニアソボ・・・ウヨ・・・・】
「う、うう、あ、遊びません。そんな声は聞こえない、聞こえないです・・・・・」
【キヒヒヒヒヒヒ、キヒヒヒヒヒヒ・・・・ッ・・・・ウラメシヤァ・・】

「うっ・・ううっ・・・(ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ)」
半端無いくらいに怯えて震えている真冬ちゃんが
「うぅ・・・もうやだぁ・・・来ないほうがよかったですぅ・・・・先輩、もう帰りましょうよぉ・・・」
と涙目の上目遣いで訴えてくる。こ、ここここ、こいつはやべぇ、可愛すぎる!!
しかしそんな感傷に浸る間もなく、
【うがあああああああああああっ!!!!!!】
「ひやあぅっ!!」
とうとう真冬ちゃんは座り込んでしまう。
「だ、大丈夫?真冬ちゃん。立てる?」
「・・・・あの、足竦んじゃって、その・・・」
俺は頭をぽりぽりと掻いて、真冬ちゃんをおぶる。
「ふえ?先輩・・・ってきゃうっ」
「怖いんならなるべく目もつぶっといたほうがいいと思うよ。」
「は、はい・・・」
そしてまた無言になる。
・・・・・・・・・・・
て、何だこの沈黙は・・・
「・・・・先輩の背中あったかいです。」
突然真冬ちゃんがそんなことを言ってきた。ていうかそんな事言われると、変に意識してしまうではないか!!微妙に体温も伝わってくるし、心臓の鼓動も伝わってくる。あと、その、胸の感触とか・・・・・だって男の子なんだもん、仕方ないだろう!!
「?せ、先輩。どうしたんですか?」
「い、いえいえ、どうもしてませんよ!?」
「はぁ・・・あの、目を開けてもいいですか?」
「べ、別にいいけど、目の前の惨状を見たくないならやめたほうがいいと思うよ。」
「は、はい。まだ瞑っておきます。」
そのままぎゅっとしがみ付いたまま、ゴールした。
「あ、もう目を開けてもいいよ。」
「は、はい、ふう、怖かったです・・・」
「もともとは自業自得だけどね。」
「むっ、そもそも先輩が頼んだら、真冬が断るわけないじゃないですか!!」
「ええぇ、そこにツッコム!?」
「ふふ、ふふふふふふふ、こうなったら今度ヤンデレ物のBLを書いてあげます。先輩と・・・・・守さんの!!」
「そこで守が出るのかよ!!中目黒じゃないのかよ!!」
「あっ、やっぱり先輩は中目黒さんのほうがいいわけですね、任せて下さい!!」
「ああっ、曲解された!!」
こうして真冬ちゃんとのお化け騒動は終わった。

時刻はただいま12時ちょうど。
「真冬ちゃんそろそろお昼だけどお腹空かない?」
「あっ、はいそうですね。真冬も先輩がそう言うだろうと思いました。」
「ん?どういうこと?」
「ふっふっふ・・・ジャジャーン、お弁当を作ってきてあげました!!」
「おおっ・・・つかぬ事をお聞きしますが、まさかネタ弁当ということはないでしょうか?」
「・・・それは遠回しに真冬のお弁当がまずいのではないかと聞いていますか?」
「いや、失礼とは分かってるんだけど、どうしても真冬ちゃんが料理をつくるところを妄想できても、美味いか否かと言われると・・・・」
「真冬はお姉ちゃんとは違い、インドアで生きてきました。最近お姉ちゃんも料理の勉強をしています。しかし!!真冬はそれ以前にお母さんから料理を教わっていてそこそこに凄い領域にいるのです!!それこそお姉ちゃんよりかは上手いと思います!!」
「おおっ、力説している!!」
「まあ確かに、ぐうちゃぐうちゃのでろんでろんなお弁当を作ってみようかなとも思いましたが、それよりかは今美味しいお弁当を作って次にまずいのを作れば「あれ、真冬ちゃんはお弁当が上手なはずなのに」と思わせるのが面白いと思いました。」
「もしもし、もうネタを明かしちゃっていますよ?」
「何の事だかさっぱり分からないです。」
「・・・・・・まあいいや。それでどんなお弁当を作ってきたの?」
「ちょっと腕によりをかけすぎてしまいしました。先輩にあげるのがもったいないくらいに。」
「ええぇ・・・」
「もちろん、冗談ですよ。先輩♡」
最近の真冬ちゃんは真顔で言うから油断できない。ていうか怖い。知弦さん以上に。
「はい。では召し上がれ。」
「おおぅっ、すげえ!!」
こうなんか重箱にこれでもかこれでもかという感じでてんやわんやの盆と正月とクリスマスと宇宙人が駆けつけたかのように大騒ぎ。
先ず彩りが凄い。眩しい。眩い。イッツミラクルゥな感じ。
次に俺の好きな、ハンバーグ、フライドポテト、から揚げにコロッケが入っていた。どうやって俺の好きな食べ物を知ったのだろう・・・後味覚が子供だって突っ込むな。自分でも自覚はしているが好きなものは好きなんだ。
そして、真冬ちゃんの込めた愛情をひしひしと感じることが出来た。
そんな事を考えていたのがマンガのようにコンマ一秒ではなく実際には数十秒数えていたらしく、心配そうに真冬ちゃんが顔を覗き込む。
「あの・・・先輩、どうかしましたか?」
「い、いやなんでもないよ。」
「・・・やはり『アレ』をしなければなりませんか・・・」
真冬ちゃんがお箸でおかずを掴み取り、俺の口まで持ってきた。
「あ、あ~ん・・・」
や、やばい!!?真冬ちゃんが俺にあ~んてやってる!!顔が僅かに紅潮してて余計に可愛い!!こ、こいつは萌え死ぬ!!どうするよ!!?どうしちゃうよ、俺!!
・・・いや、普通に食うけどさ・・・
「あ、あ~ん・・」
そして俺は真冬ちゃんが掴んでくれてるハンバーグを食べた。
「あ、あの、お味はどうですか?」
「うん、美味しいよ。真冬ちゃん。」
「よ、よかったです・・・・はっ、そ、それでお姉ちゃんと比べたらどっちの方が美味しいですか!?」
真冬ちゃんが凄い剣幕でずずいと近寄ってくる。
「えっと、その、真冬ちゃんは真冬ちゃんで――――。」
「どっちの方が美味しいですか!?」
言葉を遮られた。
「真冬ちゃ――――。」
「どっちの方が美味しいですか!?」
「ま――――。」
「どっちの方が美味しいですか!?」
永遠にループしそうだったから、諦めて、
「・・・真冬ちゃんのが美味しいと思います・・・」
「やった♪さすが先輩、ちゃんとした味覚を持ってますね。」
何でだろう。確かに真冬ちゃんの方が深夏より美味しいのだが、この言い知れぬ途方にくれた気持ちはどこから湧き上がる?うん、多分椎名姉妹にはよっぽどのことがない限り勝つことは出来ないのであろうと思い俺は諦めた。

夕方まで、ジェットコースターやフリーウォールなどさまざまなアトラクションに乗ったあと俺の有り金を全て搾り取るかのように真冬ちゃんがゲームコーナーに夢中になり俺の財布は悲惨なことになった・・・まあ別にいいけどな・・・・
それで今は真冬ちゃんと一緒に観覧車に乗っている。
夕方ということもあり、夕日が綺麗だ。そういえば茜色というのはオレンジを赤くしたような明るい色ではなくて、紫がかったもののことを言うらしい。(某、何とかに染まる坂の知識)
真冬ちゃんは俺の腕に抱きついて・・・・いるわけではなく、またもや窓にへばり付いていて、夕焼けを見ている。・・・今日は真冬ちゃんの方が俺よりも子供っぽいな。
ふと周りを見てみる。地上から約50~60メートルは離れている、ゴンドラ。
空中での密室空間、マジックミラーで隠されているため外からでは内部が見えない。そして何よりも、俺と真冬ちゃんの二人きり。
真冬ちゃんの唇に目を向ける。柔らかそうでいて、尚且つ弾力がある、そして触った瞬間壊れてしまいそうな健気さ・・・・・・・って、何を考えているんだ俺は。この前学習したばかりだろ、外ではスリルがありすぎて逆にやばいと。煩悩退散煩悩退散。
「あの、先輩?どうかしましたか?」
気が付いたら、真冬ちゃんの顔がドアップで映し出されていた。
一瞬、不覚にもかなり心臓の鼓動が速まり、緊張してしまう。
「あ・・・う、あ・・・」
そのせいでまともな返答が出来なくなる。余裕が持てなかった。頭の中にはそれを考慮するような隙は無かった。
「あの、先輩、本当にどうにかしましたか?」
なんでもない、大丈夫。その二言が言えなかった。緊張というものがここまで心を追い詰めることを知らなかった。
・・・・・・・・・・・いやいやいやいやいやいや、ここでなんか流れに任せてはいけない。何か、何か俺に正気を保たせることが出来るのは・・・・そんな言葉は・・・・・
「真冬ちゃん、キスしようか?」



考えた結果がこれかよ・・・世界が俺に失望した瞬間だった。いや、俺が世界に失望した瞬間?
・・・どっちでもいいや。・・・・で、どうしましょうか?この状態。
「はい・・・その・・・先輩がしたいなら・・・」
おっとぅ、これは予想外。まさか受け入れてくれるとは・・・だがなんかこれでは面白くない。すでに真冬ちゃんはセット完了している。なので俺は、真冬ちゃんの前髪を手ですくい、おでこを出させ、そしてそこにキスをする。
「あっ・・・」
真冬ちゃんから歓喜の声。だが少し不満そうでもあった。
「先輩、真冬はこっちを覚悟していたんですよ?」
真冬ちゃんが自分の唇を指差す。
「うん、じゃあ、そこにしてもいい?」
「・・・いいに決まっているじゃないですか、そんな確認なんかしなくても・・・」
そういったあと俺たちは唇を互いに触れ合わせた。



「先輩・・・なんでこんなとこに誘うんでしょうか?・・・」
「いや、あんな感じにムードのあるキスをしたら、我慢できなくなって・・・でも真冬ちゃんだってそうでしょ?」
「それは・・・真冬もそうですけど・・・」
俺たちは、ラブホテルいわゆるラブホなる所にいる。
きっかけは観覧車でしたキス。それのせいで二人とも緊張しているのでこんな雰囲気になり、こんな場所に来た。
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
二人とも黙り込んでしまう。真冬ちゃんに至っては顔を赤くしたまま俯いてしまっている。どうも、こういう空気は苦手だ。何とかして変えたいのだが、この雰囲気の中変な事を言ったら幻滅される恐れがある。
「あの・・・その先輩・・・」
毎度毎度のことだが俺が何か考えているときに真冬ちゃんが話しかけるので心臓に悪い。まあ、こんな所でずっと黙っていれば気まずくもなるだろうが。
「やっぱり、こういう所に来たってことは、その、少し変わった事が、したいってことですよね?」
これは驚いた。真冬ちゃんからそんな事が聞けるなんて思ってなかった。
「それは・・・その・・・こんな俺だしそういう事も考えているけど・・・」
「だ、だったら、その・・・しないんですか?」
いつになく真剣な顔で俺に問う。
「でも・・・いいの?真冬ちゃんはそういう変わったことをされても?」
ベッドの脇においてある、数々の玩具たち。擬人化したら笑い声が『フェッフェッフェ』とか『キェッキェッキェ』とかな感じがする。
「・・・先輩になら、そういう事されても大丈夫ですよ。・・・・それに先輩のことを信じています。本当に嫌だって言えば止めてくれるって分かっていますから。」
「それは、その、そんなに信頼してくれるのは嬉しいけど・・・いやでも、俺はともかくとして、真冬ちゃんは俺がこういうのにはまってこういうのをずっと要求するのは嫌でしょ?」
「いいですよ、別に。」
「はひ?」
「相手が、真冬にならですけど。」

―――――あくまでちょっとした好奇心、興味、すこし強めの刺激。たまたま機会があったから少しだけやってみようという考えだったから選んだ玩具とかもありきたりで、卵形ローターと細身のバイブと雰囲気を出すためだけの目隠しと手枷。その程度の物だったんだけど――――。
「・・・・っ、ふあっ!!あっ、くぅん!!・・・ひぅっ・・・あっ・・っん!!・・・・っめぇ!、そこ痺れて、駄目に・・・はぅっ!!」
なんだろう、これ。
「い・・・やぁっ・・・ひあっ!!そこ・・ばっかり・・・・だめっ・・・だ・・・めぇ・・・・ふああ、ああ、あ」
普段と違う点を挙げるとなると、真冬ちゃんが目隠しをしていること、手枷をしていること、そして初めてローターみたいな玩具で責めていること、といった所か。
愛撫のときに俺が責めっぱなしというのも別に珍しくないので特別なことでもなんでもない、でも。
「ふあ、あっ!!な、ンで・・・・いつもと、ぜんぜん・・・ちがっ!!んくぅっ!!・・・ひやぁっ!!!」
そう、ぜんぜん違う。違うんだ。
でも何が違うかは俺自身分かっていなかった。だから、聞いてみる。
「何が・・・何が違うの、真冬ちゃん?」
「あうっ!!・・・んんぅっ!!・・・こころっ!!・・・ぼそ、いっ!!・・・んですっ、目隠しされてて、あくっ!!手枷も、つけられてるから・・・・っ!!、ああっ!!いつも、より・・・不安でっ!!あっ、あああっ!!ローターも・・・よ・・・っ・・容赦なくて!!、っ・・・んんっ!!あっ、ふああっ!!かん、かく・・・・・もっ、変になっれきて・・・ふやぁっ!!んふあぁぁっ!!」
「そんな事言っている割に、真冬ちゃんの体、さっきからびくんびくんて跳ねてきているよ?」
「あっああ!!・・・っそんなことっ・・・言わないで、くださっ・・いっ!!ふやあっ!!、もっ、こんなのっ!!、だめっ!!、うんあっ!!なんかこれっ!!・・・これぇ・・・」
「・・・いつもより、ずっと興奮する?」
その瞬間に真冬ちゃんの頬が紅潮する。
「・・・・っ・・・ぅ・・・」
「やっぱりそうなんだ。そうだよね。いつもと比べたら、反応の仕方が違うし。」

と言いつつ真冬ちゃんのクリトリスを乾いた指でフェザータッチする。
「――――っ!!、ああああっ!!!そんなっ!!、だめっ!!・・・・あふっ、あああんっ!!」
「何でこんな興奮しているの、真冬ちゃん?」
「じ・・・自分でも、そんなっ、こと・・・分からない、ですよ・・・・・っ!ああっ!、ふああっ!!、くぅんっ!!・・・真っ暗で、不安なのにっ!!ずっとこんなことされて・・・もっ!!、わけっ!!、ひうっ、んんっ!!・・・わかんないです・・・・っ!!もうっ!!・・・分けわかんないですっ!!ふやあっ!!・・・ふあああああああああっ!!」
真冬ちゃんの体がびくんびくんと急に跳ねる。今のはどう考えても、果てた。
「真冬ちゃん、イっちゃたの?」
「ふあっ・・・はあっ、はあっ、はあっ、はあっ・・・せんっ、ぱい・・・せめ、て・・・せめて目隠しだけ、目隠しだけで・・・・・いいですから、取ってくださ、い・・・・・こんなこと、ずっと、されてたら、もうっ、真冬が、おかしくなっちゃいますよぅ・・・・・・」
きっと涙目で懇願しているのだろう。普段なら俺はそのお願いを聞き入れていた。
だが今は、今だけは、この自分の好きな少女のこんなにも弱っている姿を見たら、自制が聞かなかった。このまま彼女に意地悪をし続けたいと思った。
俺は隣にあるバイブのスイッチを入れる。その音に真冬ちゃんがびくっと反応する。
「なっ・・・なんの音ですか、この音・・・」
「・・・・・真冬ちゃんは深夏とは違ってさ、この中を弄られるのが好きだよね。」
先ほどのローターによる愛撫により愛液がたくさん出て、指でその中へ進入するのは容易かった。
「あっ、あ―――――――――っ!!だめっ!!せんぱいっ!!、そこはっ・・・あっ!、あっ!、ああっ!!そ、そんな風に、いじらにゃいで、くださっ!!・・・ああああっ!!」
「・・・真冬ちゃんを、いっぱい気持ちよくしてあげるよ。」
指をそこから抜き、代わりにバイブを挿れる。
「――――――――っ!!!!!んああああああああっ!!!ひやっ!!そこにっ!!そんなのいれひゃ、あああっ!!!あぐっ!!うあああああああああっ!!!お腹のなかっ!!だめっ!!変になるぅっ!!ふゃああああああああっ!!!」
文字通り真冬ちゃんが暴れだす。だが、ベッドに鎖と手枷をつないでいるので真冬ちゃんは手を上にしたままのた打ち回る様に暴れる。そのせいでバイブがさまざまな方向に揺れる。
「あふぁっ!!ひぃあっ!!ら、らめっ、らめなんでっ、しゅっ!!・・・・!!あああああああっ!!そこらめぇぇぇっ!!そこだめっ、震えて、駄目になっちゃいましゅぅっ!!あっ!!・・・・っんあああっ!!ヤッ!!も、もうっ!!これぇっ!!先輩!!真冬、真冬!!もう駄目えええっ!!!ふああああああああっ!!!!」
再び真冬ちゃんが果てる。
「もう、イっちゃたの?真冬ちゃん?」
口をパクパクと動かすだけで何も喋らない真冬ちゃん。かすれた声で俺に訴えてきた。

「おね、がい・・・です。お願い、ですから・・・もう駄目なんです・・・・っ・・真冬は・・・もう駄目に、なっちゃいます・・・っだから、普通に・・・・・普通でいいから、真冬に下さい。先輩のを、真冬に下さい・・・っ」
真冬ちゃんががしゃがしゃと鎖を鳴らして、俺に届くか届かないか微妙な声で話しかける。
とりあえず目隠しだけでも取る。目隠しを取った真冬ちゃんの顔には大粒の涙がいくつも出ていた。
「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ、先輩・・・っ・・・お願い・・・お願いですから、も、これとって・・・・普通にして・・・下さい・・・」
その顔を見て俺は正気に戻った。ああ、俺は何をやっていたんだろうと。
「ごめん、真冬ちゃん。今すぐ、してあげるから。」
「え?・・やだ・・・先輩、あっ、駄目、先に手枷とって!!・・・あっ、あああっ!!」
それを無視して、俺は真冬ちゃんの中に自分の息子を挿れた。
「ああああっ!!!・・・やあっ!!・・・・これ・・・あつ・・・ふああっ!!!・・・・っ、あっ!!、うぅううんっ!!・・・ひあああっ!!!」
「す、ごいよ、真冬ちゃんの、中。もうどろどろで・・・・すぐにでも動けそう。」
俺はそう言い、バックの姿勢の真冬ちゃんに腰を振る。
「ま、っ、待ってくださっ・・・手枷っ!!外してくださっ!!」
真冬ちゃんが言い終わる前に俺は強く腰を降り始めた。
「ふあっ!!いやっ!!!いやぁぁぁぁぁっ!!!!おなかが、ぞくぞくしてぇっ!!あっ!!いろんなとこ!!当たってるぅっ!!ふやあああああああああっ!!!うあっ!!ふっ、んああっ!!・・・い・・いで・・・しゅっ!!そこ、もっと、もっ・・・とぉ!!ふあっ!!あ、あ――――っ!!!!」
「ごめんっ真冬ちゃん、今日はとても、優しくとかそんなことっ、かんがえていられなっ・・・い!!」
「ふああああああああっ!!!・・・・っ、だめっ・・・・ひ、ぐぅっ!!あああっ駄目!!そんなとこ、そんなとこぉっ!!!」
真冬ちゃんが俺のほうを見て、虚ろな目で見つめてくる。
「せんぱいのっ!!先輩のが気持ちよすぎっ!!!て、もう・・・真冬もこれ!!耐えられなっ!!!ああああっ・・・・くぅんっ!!!ふやああああっ!!!!これだめっ!!!ああああああああっ!!!」
真冬ちゃんがびくびくと痙攣し始める。
「ぐっ・・・・ぅ・・・・真冬ちゃん・・・・・出すよ・・・・っ」
「そ・・・・・こ、もっ、と・・・・・・・もっと、もっとぉっ!!あああんっ!!!・・・まふ・・・・ゆ・・・は、も・・・うっ・・・・だ・・・・めで、しゅっ・・・・もっ・・・はんっ!!・・そ・・・こ・・もっ・・うくっ!!・・・へ、んに・・・なっちゃ、うぅぅっ!!あっ!らめぇっ!!!・・・・気持ちいいのがっ!・・・たくしゃん・・たくしゃんんんっ!!!あっ・・ぐぅ!!!先輩の!!・・・先輩の、いっぱい出してぇっ!!!」
「うっ、あ・・・・くっ!!」
「ひあああああああっ!!!!ダメッ!!熱いのが、出てるっ!!ふあああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
そのまま真冬ちゃんと俺は同時に果てた。

ズガン!!ズガン!!ズガン!!ズガン!!ズガン!!
ドゴッ!!ドゴッ!!ドゴッ!!ドゴッ!!ドゴッ!!
バシン!!バシン!!バシン!!バシン!!バシン!!
「ふぅ、ふぅ、ふぅ、ふぅ、ふぅ・・・・」
俺の自宅にて先ほど件にて怒り狂った真冬ちゃんが椅子を持って暴走。俺に謝るまでに合計15発、謝ってから5発、計20発の打撃により、俺は死にかけた。


参考情報

前編(中線まで)は2009/07/19(日) 23:40:37~2009/07/19(日) 23:42:22で7レスで投稿。
後編(中線から)は2009/07/21(火) 12:36:40~2009/07/21(火) 12:38:52で5レスで投稿。
一星龍さんの生徒会の一存のエロ小説を創作してみるスレでの7作品目。
前作の続き。

  • 最終更新:2010-07-04 09:37:00

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