田中 光さんの小説5

本文

シュル。
着替えの衣擦れ音が静かな部屋に響く。紅葉知弦の両親は共働きのため、学校から帰ってすぐのこの時間は家には他に誰もいない。
「ふう・・・」
上着を脱いだ解放感に一息ついて、ブラウスのボタンを外すと、薄桃色のブラが現れる。知弦は肌に違和感を覚えてブラの縁、柔らかな乳房の丸みをなぞる。
(なんだか、少しきつくなったかな・・・)
その豊満な胸を両手で持って、たぷたぷ揺らす。そのまま、なんとなく、ただなんとなくそうっとを揉んだ。
「んっ・・・あっ・・・」
わずかな痛みと快感に身をよじる。さらにむにむにと寄せて上げるように揉むと、次第に乳房の芯が硬くなり、奥がキュンキュンと脈動し始める。
「は・・・ぁ・・・ふぅぅ・・・」
声が勝手に出てしまう。足の力が抜けて、ベッドに腰かける。そっと右手をスカートの下に入れて、下着ごしに秘所を指の腹で擦る。
「あふ・・・ああぁっ・・・!だめっ・・・!」
腹筋に力が入り、体をくの字に曲げる。ぞわぞわ、と体に寒気のような快感が背中を抜ける。今度はでブラを外し、直に揉み始める。すると下腹が熱くうずき、ドロッと熱い液が秘口から漏れる。
「んん・・・こっちも・・・」
ショーツの中に手を入れ、濡れた秘裂に指を滑り込ませる。ぬちゃ、と指先に湿った感触。
すでに何度も自慰を経験した知弦であるが、最近になって週一回はするまでに頻度が高まっている。
その原因は自分がよくわかっている。
「・・・・・・キー君。・・・んんあああぁっ!」
ぽつりと彼の呼び名を漏らすとその瞬間、体の芯がカッと熱くなり、背を反らす。指の動きが加速し、クチュクチュクチュと聞くに堪えない水音が部屋に響く。

思い出す。
保健室での、彼の体温。
占いにかこつけて握手したときの指の感触。
自分とは違う、太くてごつごつした指。彼の日々の生活の苦労と充実感を物語っているようだった。
「ああ・・・キー君の指・・・もっと・・・んんっ・・・」
彼を思って自慰をすることに、背徳感、罪悪感のようなものがあった。
しかし、この狂おしい快感には抗えない。
(やだ・・・濡れてる・・・こんな、はしたないのに・・・気持ちいい・・・アソコ、くちゅくちゅして気持ちいいのぉ・・・)
右手の人差し指を第一関節まで埋めて、秘裂を激しく上下にこすりたてる。温かくてぬるぬるした液が溢れてくる。たまに肉芽もこすりあげてしまい、ピリッと電流のような痛みを伴う快感が全身を貫く。だがこれはこれで癖になる。
左の乳房をぐっ、と持ち上げるようにして少し強めに揉む。
「はぁ・・・はぁ・・・んん・・・キーくぅん・・・・ふあぁ、あああ・・・っ!」
ぐっと喉をそらして、体が一瞬硬直する。
そしてガクッと力が抜けて重力のままにベッドに横たわる。
ああ、またしてしまった。
汗ばんだ肌と、全身に血が巡るのを感じる。快感を伴う脱力感。

彼のことを考えると、胸が締め付けられるような、温かくなるような、そんな矛盾した感覚。
この気持ちは何?
恋?性欲?愛?独占欲?
ぐるぐると回る思考のまま、ぼんやりと壁掛けカレンダーを眺める。
(そうそう、明日は・・・)
明日は、一年前の「あの日」。キー君は、覚えているのかな?

翌日。
「ねえ、どしたの知弦。最近元気ないよ?なにかあったの?悩みがあるなら相談に乗るよ?」
先に来た二人だけの生徒会室で、アカちゃんは不安げに顔を覗きこんでくる。
「そんなことないわよ。私は・・・」
「なんか違うよ。一日中ずっと一緒にいるからわかるもん」
直観と感性で生きている親友には、相変わらず真相のみを見抜く力があった。
「ひょっとして、杉崎のこと?」
「っ!なん・・・」
なんで、と言おうとして、これではもうすでに肯定を態度で示しているようなものだと思った。
「なんか最近、生徒会室でそわそわしてるし、しかも、今さっきだって杉崎の席を横目で見てたし。うん、まあでも結局は『女のカン』だよ!えっへん!」
「まったく、相変わらずアカちゃんには驚かされっぱなしね」
このお子様な親友のどこにそんなものが備わっているのだろうか。
「じゃあ、知弦は杉崎のことで悩んでるってこと?あ、でも知弦、その・・・話したくないっていうなら別に強制はしないよ」
こう言われてしまうと、なおさら、その事実に向き合わなくちゃ、と思ってしまう私はそうとうひねくれているのだろう。
「・・・いえ、ここで話すことで何か見えるものもあるかもしれないわ」
そして私は訥々と話しだす。

「私、わからないの・・・。キー君のことを、どう思っているのか・・・。ひょっとしたら、好き、なのかもしれない。キー君は特別な存在だとは思っているけど、それが恋なのか、なんなのか、確証を得られないの」
ひとつひとつ、言葉を探るように話した。
「そんなあやふやな気持ちで、私たちの関係を変えることで、この5人の空間を変えてしまうかもしれないって考えちゃうと、とても、怖いわ」
この生徒会を、安息の場を壊してまで得たいものだろうか。
今までと変わらず、5人で笑いあっていれば、それが一番の――――――
「知弦は、知弦の思うとおりにすればいいんだよ!」
「え?」
顔をあげて、アカちゃんの表情を見る。なぜか、自身に溢れた笑顔だった。
「生徒会のことなら、大丈夫。私たちの関係は、きっと大丈夫。この生徒会室に私がいて、知弦も杉崎も深夏も真冬ちゃんもいれば、私たち5人の絆は絶対に壊れないって、信じてる!」
この生徒会長様は、腰に手を当ててて、堂々と言い切る。
「それになによりも!知弦は、杉崎と居たいんでしょ?一緒にいて、楽しいんでしょ?自分のこと、もっと見て欲しいんでしょ?だったら、それでいいじゃない!理由なんて、いらないんだよ!」
それはもう、支離滅裂で、それでいてシンプルな言葉だけど。
なぜか、腹の底に、ストン、と落ち着いた気がした。
「だから、いいんだよ。知弦は、自分で考えて、自分が心から幸せになれることをすればいいんだよ!」
アカちゃんは言い終えたとばかりに腰に手をあてる。
私は、気づいたら口元にと笑みを浮かべていた。
「そうね・・・。私はごちゃごちゃ考えすぎたのかもしれないわね」
忘れていた。やっぱり、保身は私には似合わない。
「・・・ありがとう、アカちゃん」
「えへへ、どういたしまして。それに、知弦なら自分の欲しいものは何をしてでも手にいれそうだし」
「あら、その評価は誉められてるのかしら?」

「ちぃーす」
「おっくれましたー」
ちょうどそのとき2年の二人が入ってくる。
・・・。・・・・・・。
心臓の鼓動が速くなり、顔が熱くなるのがはっきり感じる。
あ、あら・・・?ど、動揺しすぎよ私!

言葉というのは本当に恐ろしい。
さっきアカちゃんに本音を言ったから、余計に意識してしまう。
じわっと手に汗がにじむ。
どう、しよう。

もう、キー君の顔も、まともに見れない。
いつもどおりキー君はまたなんだかアカちゃんを口説いてるみたいだけど頭に音声が入ってこない毎回のごとく深夏に殴られてああこっち向いていつもの笑顔で。
「知弦さんは今日も綺麗で、それでいて可愛らしい!大好きです!付き合って下さい!」

ばか・・・。今、口説かないでよ。
あなたに、本気になってしまうから。

だから、いつものように私は軽口をたたく。
「あらあら。キー君は今日も熱心ねえ。そんなに私に鞭で叩いてほしいの?」
「ですから俺にそんな趣味はありません!」

     *

夕暮れの帰り道、4人のいつもの別れる場所。
「じゃあね、また明日!」
「ええ、また明日」
「はーい」
「うぃーっす」
それぞれが帰る家に向かうころ、ひとり呟く。
「『また明日』、か・・・」

人の心は簡単に変わる。

中学の時、歪んだ心を、人の心の脆さを嫌というほど見せられた。
昨日まで仲良く話していた子が、奏の広めた私の誹謗中傷を鵜呑みにして、急に私を避けるようになったこともあった。その子もかつて、『また明日』って言ってくれていたのに。

キー君、あなたはどうなの?
明日も、明後日も、何年経っても、私はあなたの未来に、一緒にいていいの?

考えていたら、歩き出していた。学校の方角へ。

コツ、コツ。
アスファルトに革靴が響く。
コツ、コツ、コツコツコツコツコッコッコッコッ
歩調が速くなっていく。
心臓が高鳴る。
気付いたら、走り出していた。

もういい。せっかくアカちゃんに言われたのだから、悩むのはもうやめよう。
考えているふりをして、悩んでる自分に酔っていただけ。
今のこの心情を恋だのなんだの言っていいのか、わからない。
でも、ひとつだけ、確信をもって言えることがある。

今、ここで立ち止まったら、私は一生後悔するって。

髪が風圧で舞い上がるのも、すれ違う人の目も、息が切れるのも、気にならない。
ただ、走る。


「はあ・・・はあ・・・やっと、ついた」
上履きに履き替えて、さあ生徒会室へ 、
「あれ、知弦さん?」
「・・・っ!」
死角から名前を呼ばれて、心臓が飛び出るかと思った。
「き、キー君」
顔がこわばる。胸が苦しい。呼吸って、どうやるんだったっけ。
「知弦さん、どうしました?忘れ物ですか?あ、生徒会室閉めちゃいましたから、また鍵借りてきますね。」
キー君は職員室に向かおうとする。
私は、とっさに手を掴んでいた。
「知弦さん?」
生徒会室は閉まっている。だから思い付いた場所がある。
私達にふさわしい場所。
「キー君。一緒に来て欲しい所があるの」
 
      *

鍵は雑務を終えて帰宅しようとしたところで、ばったりと出くわした知弦に手を引かれて夕日が差し込む校舎内を歩いていた。
「今日は何の日か、キー君は覚えてる?」
「今日は、えーと」
(知弦さんのすべすべした手の感触で頭が回らない・・・!・・・ん?『知弦さん』?)
「あ、そうか、今日は俺達が初めて出会った日ですね!」
「あら、覚えててくれたのね。嬉しいわ」
鍵は、知弦のこの満足そうな笑みが大好きだった。見ているこっちまで満たされるような、幸福の笑み。
一階に下りて、たどり着いたのは保健室。知弦はスカートのポケットからヘアピンを取り出し、ピッキングして20秒ほどで開ける。
「私が二年生のときはよくこうして入っていたもの。そう・・・私達が初めてあった日も同じ」

「えと、知弦さん?」
扉を開けると、保健室には消毒液の香りが漂う。手をつないだまま、二人がかつて出会ったベッドのある方向へと導かれる
「それじゃ、いつかの約束を果たしましょうか」
くるり、とこちらに振り向くと、ふんわりとした優しい笑みを向ける。
「抱きしめ合うって、約束を」
知弦は自然な動きで上履きを脱いでベッドに腰かける。
「ほら、座って」
ぽんぽんとベッドを叩いく。
「え、あ、はい」
知弦は、鍵があがってくる勢いをそのまま引っ張り、抱き寄せる。
右肩の上と左腋の下から、たすき掛けのように背中に腕をまわす。
「・・・・・・!」
すべてを包み込むような体温。肌の柔らかさ。シトラス系の香り。息使い。五感すべてで感じる。
(なに・・・いきなり・・・)
体が熱くなる。心臓がバクバクと跳ねまわる。
知弦は鍵の背中に手をまわし、ぐっと力を込める。そして鍵の右耳にささやく。

「好き」

「・・・・・・!え、えと・・・」
動揺する鍵の肩から頭を離し、今度は目を合わせて。
「私、キー君のことが好き。もちろん・・・異性として、ね」
知弦の整った顔が目の前にある。透きとおるような白い肌。まっすぐ通った鼻筋。すべてを引きつけるような闇色の瞳。
「・・・・・・」
喉がからからになる。
いま、何て言った、好き、と、そうかそうか、ってマジで!?

「あ、ありがとう、ございます、知弦さん」
「よかった。やっと、言えたわ。急にこんなこと言ってごめんなさいね」
「い、いえ、嬉しいですよ!ついに俺の思いが伝わったんですね!」
どぎまぎして、緊張して、テンパッた。
「なによもう、照れちゃって。キー君は、私とは体だけの関係を目指すって言ってたじゃない?」
「あれは冗談です!」
「じゃあ、キー君は、私のこと、好き?」
「もちろんです!外見も体も好きですし、ドSなところも、クールでいて優しさも持ち合わせているところも、大人びているのに実は年相応の女の子っぽいところも、ぜーんぶひっくるめて知弦さんが大好きですっ!!!」
知弦は目を細めて柔らかくほほ笑む。そして一拍おいて、
「・・・じゃあ、これからも、ずっと、好きでいてくれるの?キー君だって知ってるでしょう?変わらないものなんてないって」
「少なくとも、俺の気持ちは変わりませんよ」
「私だって、キー君への思いを変えるつもりはないわ」
「だったら、それでいいでしょう」
「ええ、問題ないわね」
二人は微笑み合う。
二人の関係を保証するのは不安定で、不確かな、ただの『気持ち』。でも、だからこそ、愛おしい。

知弦は満足そうに口元に笑みを浮かべる。
「ふふ。キー君はいつも言ってほしいことを言ってくれるわ。キー君って頭の中、ほんと、幸福しかないのね」
スッ、と鍵の頬に両手を添わす。
「知弦・・・さん・・・?」
「まあ、だからこそ、キー君のこと、好きになったんだけどね」
目を閉じて、そっと唇を合わせた。
柔らかい唇が一瞬だけくっついて離れる。
(い、今、知弦さんと、キス、したんだよな・・・)
予想外の事態に頭が混乱する。
知弦はというと、鍵と目が合うと、気恥ずかしくなったのか頬を赤らめてうつむく。
と、さらに顔が真っ赤になる。
鍵が知弦の視線の先、要するに鍵の下腹部をたどると。
「「・・・・・・」」
視線はスラックスの隆起した箇所へ。
「あ、その・・・」
羞恥にうろたえる鍵に、知弦はぐい、と吐息がかかるくらいまで顔と顔とを近づける。
きめ細やかな肌。長いまつげ。ぷっくりとしたみずみずしい唇。まるで芸術品のような顔が目の前にある。
こつん、とおでこをぶつけて、知弦はささやく。
「もう、キー君のえっち」
「・・・・・・!」
呼吸と心臓が止まった。脳髄がぶん殴られたような衝撃だった。
「いい、わよ・・・。・・・しても」
「え?」
知弦は顔をあげて、うるんだ瞳で鍵を見つめる。
「ねぇ、今日は私の全てを受け止めてよ。私も、キー君を受け入れるから」

――――――去年、出会ってから、私の中でこんなにも大きな存在になるなんて思いもしなかった。
今日という日を、私に、彼に、刻みつけたくて。
たまには、わがまましてもいいじゃない。
私だって、恋する女の子だから。


「俺、初めてですから、上手くできないかもしれませんが」
「あら、私だって初めてよ」
(・・・!知弦さんの、初めてが、俺・・・)
喜び半分、驚き半分の鍵に、知弦は微笑んで、鍵の唇をふさいでくる。
「んん・・・ちゅぷ・・・」
舌で唇を割られ、舌を吸われる。舌を絡めとられ、前歯の裏、上顎を舐められる。負けまいと鍵も舌を伸ばして絡ませる。
さらさらの黒髪から漂う甘美な香りに頭が働かなくなる。
キスをしているときは時間の感覚がなくなり、一分にも、一時間にも感じた。小さな水音を立てながらなごり惜しそうに唇を離し、知弦は首元のリボンを解いた。
「ねぇ、キー君。今日は、私の全部を見てよ」
知弦は割坐の状態でブラウスのボタンをひとつひとつ丁寧に外していく。
花柄の水色ブラが大きなふくらみを覆っていた。一瞬羞恥心が邪魔をしたが、そのままブラのホックをはずす。ぷるん、と柔らかな乳房が解放される。綺麗な桃色の乳首は、その周りの肌の白さに溶けて淡いグラデーションを創っていた。
「ほら・・・触って・・・」
知弦は鍵の手をとり、自分の胸に押し付ける。ふにゅっ、と指が白いやわ肌に沈みこむ。知弦が甘い声を上げる。
「ん・・・っ」
(ほあああああああああああああああああああ!!?)
一瞬気が遠のいた。柔らかくて、指に吸いつく。それでいて芯に弾力があって、ずっと触っていたくなるような心地よさだった。
「んあ・・・・」
「わ・・・知弦さんのおっぱい、想像してたよりもずっと大きくて、柔らかい・・・」
知弦は鍵から手を離し、後ろに腕を突いて自重を支える。鍵は指の腹で丸みをそっと撫でる。そのたび知弦はぴくぴくと身体を震わせる。知弦が抗わないことが分かると、鍵の動きは大きくなっていった。なんの技巧もなく、ただ単調に乳房を撫でるだけの愛撫でも、それを延々と続けられれば体も反応してしまう。
「あ・・・あふ・・・」
「すっごくスベスベで、綺麗ですよ、知弦さん」
「あん・・・もう、嬉しいこと、言ってくれるじゃない・・・んあっ、そこ、だめぇ・・・」
鍵はすでに硬くなり始めた乳首に指を這わせる。そして本能に任せて右の乳首に吸い付いた。
「ふああああああっ!!」
知弦は思わずのけぞる。鍵は無我夢中で乳首を舐め、舌で転がし、また吸い出すような強烈なキスをする。
「んん・・・ああああっ・・・!!キー君、もう、赤ん坊みたい・・・あっあっあぁ!」
鍵は次に左の乳首を口に含み、手で乳房を揉みつつ乳首を舌で愛撫する。知弦は鍵の後頭部を抱え込んで自分の胸に押しつける。
「あ・・・ああん・・・キー君、もっとぉ・・・」
勃起した乳首を甘噛みすると、知弦は今まで感じたことのない悦びに体を震わせた。
「っああああああっ!」
(痛い・・・けど、か、感じちゃう・・・!)
「知弦さん、胸、敏感なんですね」
「い、言わなくてもいいわよ、そんなこと!」
顔を真っ赤にして慌てる知弦は新鮮で、つい頬がゆるむ。
「・・・なにをにやにやしてるのよ、キー君。ほら・・・それよりこっちも・・・」
知弦はスカートのなかに手を入れ、下着を脱ぐ。辺りにフルーツのような芳醇な香りが漂う。
鍵の手を取り今度は股間に押しつける。鍵の指先にくちゅり、と湿った感触。
「知弦さんのここ、もうびしょびしょに濡れてますよ」
「い、いいじゃないの・・・濡れちゃうのは・・・キー君にだけよ」
ぷい、と耳まで赤くなった顔をそむける。
(か、可愛ええええええええええええええええ!!)
鍵は思わずぐっと指に力が入ってしまう。
「ひゃぁあっ!」
「あ、す、すいません」
「んん・・・大丈夫よ」
「じゃあ、もっと動かしますよ」
秘裂を上下にこすると、ねっとりとした温かい液が指に絡みついて、ぐちゅ、ぐちゅ、と淫らな音をたてる。
「ふあ・・・あああ・・・いっぱい、こすれてる・・・」
どちらともなく唇が近付き、キスを交わす。舌を絡めてお互いの唾液を交換し合う。上下の粘膜を刺激されて、そのどちらからも透明な液がとろとろと流れ出す。
「むぐ・・・ん・・・ぴちゃ・・・ちゅぷ・・・んんん・・・」
ちゅぱ、と唇を離すと、お互いの口に濡れ輝く橋がかかる。

知弦はとろんとした目で鍵に体重をかけてくる。
「もう。されるがままっていうのもなんだか気にいらないわ」
知弦はそのまま鍵をベッドに押し倒し、腰の上にまたがった状態となる。下腹部に知弦のやわらかな重みを感じた。熱を帯びた大陰唇がすでに勃起したペニスのすぐ上に乗っている。
「うおあっ!」
「あん、キー君の、ぴくぴく脈打ってるっ」
知弦は恍惚の笑みを浮かべ、鍵のシャツのボタンをはずし始める。
知弦の息は荒く、上気した頬は白い肌を桃色に染める。全裸ではなくブラウスのボタンが外された半裸の状態が余計に色っぽい。左右対称の鎖骨の間のくぼみが妙になまめかしい。そして胸の大きなふくらみは誘惑するようにゆらゆらと揺れている。
「キーくぅん・・・。私、もう自分が抑えられないの」
知弦はズボンのベルトに手をかけてカチャカチャと外し、脱がす。
解放された肉棒は充血し、痛いくらいに膨張していた。
「俺も、いまさらダメっていわれても無理ですよ」
「ふふふ、それもそうね」
知弦は腰を浮かし、指で自分の肉裂を開き、鍵の亀頭を押しあてていく。
「くううう・・・キー君のが、入ってくる・・・」
「うあ、知弦さん・・・こ、これ」
鍵のイチモツが、ぬるぬるとしたくぼみの中に食い込んだ。敏感な先端に温かく湿った秘所が密着し圧迫してくる、なににも似ていない快感。
亀頭は入ったが硬い膜が当たり、ミシミシと少しずつ進んでいく。鍵は苦悶の表情をする知弦の腰に手を当てる。
「ん・・・い、痛い・・・!あっ、ああああァっ!」
ぷち、と何かが切れるような感覚が体を巡り、鋭い痛みに一瞬呼吸が止まる。
肉棒が膣内に完全に埋まりきる。接合部からは一筋の鮮血が流れた。
「っあ・・・っはあ・・・はあ・・・・はあ・・・」
亀頭が子宮口に当たり、子宮がキュンキュンとうずく。
「ふああ・・・全部・・・入ったわ・・・」
「すごい・・・知弦さんのなか・・・あったかい」
知弦の額には汗がびっしり浮いている。未知の痛みについ腰が硬くなってしまう
「知弦さん、大丈夫ですか?」。
それでも呼吸を整えて、平気な顔をする。引き裂かれるような破瓜の痛み。だがそれも甘美な達成感に思えた。
「ええ、もう、大丈夫よ」
そう言って探るように腰を動かし始める。
「くぅ・・・んん、ああああああっ!」
「うおお!?すげ・・・ぬるぬるで、気持ちいい・・・」
腰が前後に動くたび、まとわりつくように肉棒が締め付けられる。
しかも動くたびに知弦の豊満な胸がぷるんぷるんと揺れる。
「んんんん・・・あ、あああああっ!キー君の、熱くて硬いものに、えぐられちゃってるわ・・・」
どろ、と接合部から愛汁が鮮血に混じって流れだす。
鍵は膝と腰を使って上下運動をし始める。膣は肉棒を突き込むときはほどよい弾力で押し返し、引き抜くときはヒダがまとわりついて精液を搾取しようと絡み付く。
「うああ・・・!知弦さん・・・これ・・・すごいですよ」
「は、あ・・・そこ、硬いとこ・・・・あんっ!・・・壊れちゃう」
子宮口を突かれるたび、衝撃が背骨を伝って脳が揺さぶられる。目の前に星が瞬く。

漆黒の髪を振り乱し喘ぐ。さらさらの黒髪が舞い、柔らかなバストはぷんたぷんと躍動する。
「あンっ・・・あっ・・・キー君のが、お腹に届いて・・・あンっ、腰、勝手に動いちゃう!」
知弦が腰を落とすたび、ぐちゅぐちゅと卑猥な音が部屋に響く。はじめはぎくしゃくした動きだったが、膝を使うとやりやすいことに気がついた。次第に腰がリズミカルに上下する。接合部は泡立ち、秘口からは透明な液が漏れ出してベッドに染みを作る。
「あ、ああああ!私、感じちゃう!初めてなのに・・・!」
「知弦さん、いいですよ、俺と一緒に、気持ちよくなってください!」
鍵は知弦の腰をつかみ、下からえぐりこむように腰を浮かした。
知弦が腰を下ろす動きとタイミングが合った。
「ああああああああああ!」
お互いの硬い部分をぶつけ合った衝撃が全身を貫く。熱く濃い愛液がどぷりと溢れる。
「すごいのぉ!奥がズンってなって・・・!あああっ!気持ちいいっ・・・!」
髪は汗ばんだ肌に張り付き、大きな乳房は左右別々に跳ねる。視覚的な刺激は鍵をさらに興奮させた。
(知弦さんのおっぱいが、あんなにゆさゆさしてる・・・!)
鍵は左手を腰に添え、本能的に右手で乳房を揉む
「ひゃぁあああああああっ!」
さっき触られたよりも、強い快感が全身を駆け巡る。
「ぁあっ・・・!ふあぁあ・・・!胸、もっと強くぅ・・・!」
ぐ、と爪は立てないようにして、手のひらと指でそのふくらみを揉むと、むにゅ、と手からはみだして形を変える。左手はお尻をつかみ、右手で硬くなった乳首をもてあそぶ。
「ダメ・・・キー君、先っぽ、転がしたら・・・ああ、つままないで・・・!あああっ!」
尖りきった乳首をつまむと、知弦の体が、一瞬弓なりに反りかえる。子宮がキュンとうずく。
「うあ・・・!知弦さんのなか、締め付けられる・・・!」
鍵の腰は加速し、知弦は最奥を突かれるたび短い嬌声をあげる。内臓ごと持ち上げられるような衝撃。ジュプッ、ジュプッという音とともに愛液が飛び散る。
すでに知弦は目の焦点が微妙に合っておらず、口の端からは涎がだらだらと溢れ、端正な顎を伝う。
「キー君・・・好きよ!好き好き大好きっ!!!!ふああぁ、あ、あ、ダメ・・・わ、私、おかしくなっちゃうぅっ!!」
腰が上下するたびに、知弦の熱を帯びた汗と涙と涎の飛沫がぽたぽたと鍵の腹部に降りかかる。
(あのクールな知弦さんが、俺だけに、こんなにだらしない顔を見せてるんだ・・・!)
昂った鍵はひたすた自分の分身を打ち付ける。ズチュッ、ドチュッ。次第に二人のタイミングが合わさり、最奥を穿つ。ベッドがギシッギシッと軋む。
鍵は限界に達していく。
「うあ・・・知弦さん・・・俺、もう・・・!」
「いい、わよ・・・このまま、キー君の全部ちょうだいっ・・・!」
その言葉を受けて、鍵はぐん、と腰を持ち上げ、一番深い場所で熱い精液を放つ。
「知弦さん・・・あ、あああああ!」
「うああああっ・・・!キー君の熱いの・・・いっぱい出てる・・・あぁあああああ・・・っ!」
熱い濁流が子宮を埋めつくし、自身が染められていくのを感じた。視界がおぼつかない。それでもなぜか、心が穏やかになってゆく。
「はぁ・・・はぁ・・・キー・・・くぅん・・・」
知弦は脱力して鍵に被いかぶさり、唇を押し付ける。甘えるように、貪るように。
「んちゅ・・・・」
お互いの唾液が混ざる、湿った音。
鍵は脱力感のなか、汗でじっとりとした知弦の髪を撫でる。
二人は繋がっている幸せを感じながら、長い長いキスを交した。

翌日。生徒会室。
ガラガラ。
「あら、キー君一人?」
「あ、知弦さん、こんちはー。・・・・・・。」
鍵は知弦を見た瞬間、昨日のことを思い返し、赤面する。それを目ざとく察知した知弦はニヤニヤしながら鍵の背後に回り込み、抱き締める。
「ちょ、知弦さん」
「ふふふ、真っ赤になっちゃって、昨日のこと思い出しちゃった?もう、キー君、かーわい」
知弦の腕は鍵の首に回され、顎は鍵の左肩に載せて、体重を預けた状態になっている。ふにょん、と服越しでもわかる豊満な胸を押しつけられる。
「ちちちち知弦さん!?」
知弦のクスクス笑いが耳朶を打ち、熱っぽい吐息が首筋をくすぐって、ぞくっとした快感が腰の辺りへと駆け抜ける。そして知弦は誘惑するように、耳元で囁く。
「ねぇキー君。明日は休みだし、今日は生徒会が終わったら、キー君の家に行ってもいいかしら?」



To Be Continued!


参考情報

2009/08/07(金) 00:39:44~2009/08/07(金) 00:48:01で9レスで投稿。
田中 光さんの生徒会の一存のエロ小説を創作してみるスレでの5作品目。
生徒会の一存のエロ小説を創作してみるスレ part2での初作品。

  • 最終更新:2010-07-04 19:29:39

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