通りすがりの風さんの小説1

本文

「人は他人にばかり頼ってはいけないのよ!」
アカちゃんがいつものように小さくて可愛い胸を張ってなにかの本の受け売りを語っていた。ちなみにここは私、紅葉知弦の家の私の部屋で、今日はアカちゃんと夏休みの宿題をしていたのだけど……。
「そうね、てことは、もう手伝ってあげなくていいのよね」
「はぅ!!い、いやだめだよっ、手伝ってよ~知弦ぅ」
「そう言われてもあとこれ全部やるのは……ねぇ」
 夏休みもあと1週間ほどしかないと言うのにアカちゃんの宿題を見てみると半分、いや6割……下手な同情してもしょうがないのよね。どう見ても8割方は残っている。
私はもちろん宿題なんてとっくに終わっているけど、流石に自分のやったものをアカちゃんに見せてもアカちゃんのためにならないし、でも、このままアカちゃんのペースでやっていたら間違いなく終わらないに決まっているだろうし……いや、それ以前に
「なんで、こんなに宿題が残っているの?」
「うぅ。」
アカちゃんはビクっとして半分涙目になった。その姿を見るとすごく優しくしてあげたくなるのだけど、今は優しくしている場合ではないのよね。
「1日ちょっとずつでもやっておけばこんなに残るはずないでしょう」
「……だって」
「だって何?」
「……だって毎日知弦とデートしてたから。」
「……うっ」
 正直そこを突かれると少し痛い、たしかに高校生活最後の夏休み、少しでもアカちゃんと一緒に遊びたくてほとんど毎日のように振り回していたりしていたけど。
「そ、それでもその日の夜とかあるでしょ?」
そう私が言うとアカちゃんは立ち上がって顔を真っ赤にしながら。
「だって高校生で最後の夏休みなんだよ!1日1日楽しまなかったら絶対損すると思ったんだもん!それに……それに知弦と一緒にいる時間すっごく楽しかったんだもん、私毎日いっぱいはしゃいじゃって、疲れちゃって毎日すぐに寝ちゃって宿題する暇無かったんだもん」
その言葉を聞いて多分、今私顔真っ赤になってるんじゃないかしら?どうしよう身体まで熱くなってきたわ、アカちゃんは多分宿題をやらなかった言い訳のつもりで言っているのだろうけど、ああ、なぜか私には好きな人への告白にしか聞こえて来ない。アカちゃんは私といる時間をものすごく大事にしてくれていたのね。
 とりあえずこんなこともあろうと録音しておいたテープレコーダーを巻き戻して今の言葉を何回もきくことにするわ。
「知弦ぅ」
「え?あぁ、ごめんなさい、何、アカちゃん?」
 ついつい考えこんでしまっていた。
「……結局、手伝ってくれないの?」
ぷくっとふくれたアカちゃんが目の前に上目使いでこちらをみている。
あぁ、どうしよう、抱きしめたいわね。もういっその事抱きしめてしまおうかしら?
ここで抱きしめたら放せる自信がないから我慢するけどね。
「まぁ、手伝ってあげないことはないけどね」
「ホントに?」
アカちゃんが何度も必死に謝ってやっとお母さんに許してもらえた時のような顔をした。
「その代わり私のお願いひとつ聞いてもらってもいいかしら?」
「え?うん、わたしにできることならなんでもいいよ」
「ふふ、むしろアカちゃんにしかできないことなのよ」
「……そ、それって、ほっぺたむにむにするとか?」
アカちゃんが少し不安そうな顔をした。まぁ、むにむにアカちゃんの刑で良いかもしれないけど、それじゃなんかもったいないわね。
「それは秘密」
「な、なんかすごく不安だよ~」
アカちゃんはそれから少しづつ宿題を進めていった。あ、そうそう、まだアカちゃんには言ってないけど、1日で終わるわけもないから今日は私の家にお泊りすることになっているのよ、アカちゃん。
必死に頑張るアカちゃんを見ながら私は色々考えることにする。
さて、アカちゃんにどんな事をしてもらおうかしら?

参考情報

2009/08/04(火) 01:12:11で1レスでの投稿。
通りすがりの風さんの生徒会の一存のエロ小説を創作してみるスレでの初作品。
非エロ。


  • 最終更新:2010-07-04 18:24:49

このWIKIを編集するにはパスワード入力が必要です

認証パスワード