とまとさんの小説8

本文

とある夏の日。

何時もは授業に集中している深夏でさえ、溶けたかの様に机に突っ伏している。
俺も、少しでも冷たさを確保するためにワイシャツの第二ボタンまで開けていたりするわけで。

まあ、簡単に言うと。
今日は、異常なまでに熱かった。

俺はゾンビでは無いのだが、太陽の熱に倒れそうになる。
誰か、カーテン閉めろよ。

教師である真儀瑠先生は、プリントを配布して日陰でスヤスヤと眠っていた。

学校に閉じ込めるのは拷問だということになったらしく、今日は午前で授業が終わる。

「杉崎」

巡が声をかけてくる。

「お前、セット崩れてるぞ」
「知ってるわよ。後で直すの」

溜息を吐きつつ髪をかき上げる巡。

「ったく。この暑さ、ホントに何なのよ」
「俺に愚痴を言われても困る」

空を見上げると、憎たらしい太陽がキラキラと輝いていた。


雲が一つも無い。
雲さえあれば、太陽を隠してくれる可能性もあるんだがな。

「学校終わったら、貸し切ったプールに行く予定なんだけど杉崎も来る?」
「すまんが、今日は家に居たい」

シッシッ、と手を振る。

「問答無用」
「そりゃないだろ!」

シャープペンシルを放りだし、巡に抗議する俺。

「あらー、残念。深夏も来るのに」
「ぜひお供させていただきます」

不服そうな顔をする巡。
なんだなんだ、来てほしいんじゃないのか?

「深夏が来るって言ったから、杉崎は来るのね…」
「悪いか」

髪の毛をつかまれ、前後に揺らされる。
痛い痛い痛い痛い!

「なーんーでー、私の気持ちに気付かないのっ!?」
「俺を虐め殺したいという?」

手を離される。
何故だか巡は落胆した様子だった。

「はぁ…、もういいわ」
「おう、その辺で止めてくれると俺も助かる。頭皮がそろそろ限界だ」

巡が先ほどまでとは真逆のテンションで手を挙げ、去っていく。
なんだか、とても寂しそうに見えた。

「じゃ、午後一時にあのコンビニでね」
「はいはーい、っと」

席に着いた巡の顔をニヤニヤしながら見る守。

あ、蹴り飛ばされた。



   *


ぼんやりと目の前のコンビニを見上げる俺。
隣には、中目黒。

「遅いな」

かれこれ二十分近くコンビニの前に居るのだが、一向に来る気配を見せない姉弟。

「自分から予定を立てておいて、いざとになったら来ないとは…」
「どうかしてるね」

バッサリ。
ここに居ないはずの姉弟のうめき声が聞こえた。

「まあ、いいや。幸い行き先は決まってるし、俺達だけで行こう」
「うん。どうせ暇だしね」

キョロキョロ。

「如何したの?杉崎君」
「いや、深夏はどうしたのかな―、って思って」

中目黒が首を傾げる。

「深夏さん?今日のメンバーの中には入っていなかったよ?」

はい?

「僕、杉崎君、巡さん、守君。これで全員だったはずだよ?」

地面に拳を叩き込む俺。

図ったな、宇宙屋~!



   *


「杉崎君、着替え終わった?」
「…」

ブールの更衣室にて。
水着を着た中目黒を見て、途方に暮れる俺が居た。

「なんで、女用の水着なんだ?」

地雷を踏むのかどうかビクビクしながら、中目黒に話しかける俺。

溜息を吐く中目黒。
肩に掛かっているゴムを弄びながら、中目黒は説明し始めた。

「僕に女装させるのが、巡さんの趣味だからね」

唖然。
開いた口が塞がらない。

趣味に従う、ってことは…親密な関係、なんだよな?

「何か勘違いしてるみたいだけど、僕と巡さんは、付き合ってはないよ?」

小声で呟く中目黒。

「どちらかというと、奴隷と女王様の関係だね」
「? すまん、よく聞こえなかった」

中目黒は、伸びをしながらプールへと向かう。
此方を振りかえり、苦笑。

「なんでもないよ」

広いプール。
巡が貸し切ったので、俺達の他には誰も居ない。

俺は周りをよく見渡す。
リリシアさんに撮影されていたら、溜まった物じゃない。

「広いね」
「ああ」

チラチラと此方を窺ってくる中目黒。
嫌な予感がする。

「二人きり…だね」

おい、頬を赤らめるな。

「少し、ドキドキするよ」

照れくさそうに鼻を掻く中目黒。

「じゃあ、泳ごっか」

ゴーグルを付ける中目黒。
俺もそれに習い、ゴーグルを付けた。

ドボン。

視界が青色に染まる。

目の前では、中目黒の銀色の髪が水で波打っている。
それが、美しくて。

中目黒は、男だって分かっているのに。

此方を向いた顔に。
見とれて、しまった。

幻想的な水の空間に、俺と中目黒、二人きり。

成程。

…確かに、ドキドキするかもしれないな。



   *


「楽しかったね」
「ああ」

水に濡れた髪の毛が、肌にぺたりと張り付いている。

「結局、巡達は最後まで来なかったな」
「うん。如何したんだろうね」

太陽は俺達から見て右の方に沈んでいく。
段々と気温が下がり始めたせいか、外に出ている人の姿も多くなってきた。

「さて、と。明日も学校あるし、帰りますか」

大きく伸び。

「あ、あの。えっと」
「? どうした、中目黒」

心なしか、頬が赤いように見える。

「今日」
「?」

する、と俺の腕に中目黒の腕が絡む。

「泊めて、くれないかな」
「ッ」

こいつは、何を言っているんだ。

駄目だ。

そう言ってしまいたかった。

だけど。

その一言を発することが。
その腕を振りほどくことが。

なぜか、出来なかった。



   *


「お風呂、上がったよ」
「ん、ああ」

ぼんやりと目の前のテレビを見つめていた俺は、中目黒の声に思わず体を跳ねさせた。
振りかえると、やや体が火照っている中目黒が突っ立っている。

「ごめんね、お風呂まで貸してもらっちゃって」
「いいさ」

すぐ傍に置いてあった着替えとタオルを掴み、風呂場へと向かう。

「じゃあ、冷蔵庫の中にあるもので何か作っておくから」
「主婦か、お前は」

汗で張り付いている半袖を脱ぐ。
続いて、下も。

適温になったことを喜ぶ体が俺を走り回らせようとするが、自重する。

ドアを開くと同時に、むわりとした熱気が伝わってきた。

体を湯船の中に沈め、大きく息を吐く俺。

「ふあー」

風呂の淵からお湯が溢れ出していく。

「んん、ぐ」

足を思いっきり伸ばす。
ああ、気持ちいい。

ぼんやりとしながら、耳の付け根あたりまで体を沈める。

気になるのは、やはり中目黒の事だ。
なんでこんな時に泊まりに来たのだろうか。


「ぶく」

一つ目。

俺の事が好きだ。

これだけは勘弁して下さい。

「ぶくぶく」

二つ目。

家が燃えた。

中目黒の家、マンションだろ。
そんなニュースは見てないしな。

「ぶくぶくぶく」

三つ目。

真冬ちゃんに唆されるままに。

ありえそうだ。

だが…。

きちんとした証拠がない今は、俺にはどうしようもないか。

「ぶくん」

うん、分からん。
俺は、考えることをやめた。

風呂からあがり、愛用のシャンプーで髪を泡立てる。

ああ、気持ちいい。

やはり俺は、細かいことを考えるのは苦手なようだ。

今を楽しめれば、それでいい。






   *


「お前、魔術師だろ」
「?」

にっこにこ、と楽しそうに笑う中目黒。
俺の前には中目黒が作った料理。

「どこを如何いじったら、俺の冷蔵庫の中身がこの料理になるんでしょうねぇ!?」
「気のせいだと思うよ」

肉じゃがはまだ良かった。
問題は、スープと御飯だ。

「俺、フカヒレなんて冷蔵庫に入れた覚えないんだけど!」
「あ、それは今僕が捕まえてきた奴だよ」
「捕まえたの!?買ったんじゃなくて!?」

若干焦りながら、丸ごとフカヒレが入ったスープを勧めてくる中目黒。

「まあ、フカヒレは良いとしよう」
「ありがと、杉崎君♪」

びしっ、と御飯を指さす俺。

「松茸なんて入っていなかったと思いますがねぇ!?」
「あ、それは杉崎君がお風呂に入っている間に育てたんだよ」
「菌から!?」

突っ込みどころ満載の中目黒の料理。

「まあまあ、取り合えず食べてみてよ」
「わかったよ。どれどれ…」

スープを口に運び、ゆっくりと味わってから御飯を食べる。

こ…、これはっ!


「うまいっ!もっと食わせろ」
「某スネー○みたいな反応だね!」

ほほ笑みながら、両手を合わせる中目黒。

「でも、良かった。杉崎君の口に合って」
「?」

エプロンを翻らせ、くるりと回る。
銀色の髪が、それにつられてふわりと揺らぐ。

「杉崎君の口に合えば、僕はそれだけでうれしいから」
「ッ」

頭の中で生まれた考えを、咄嗟に振り払おうとする俺。

「どうしたの?」
「…いや、何でもない」

俺は。

中目黒を『恋愛対象』として。

認識、し始めていた。



   *


「おい、中目黒」
「?」

眼鏡を外したせいで余計に女っぽく見える中目黒が、自分の腕を俺の腕に絡ませている。
頬が、赤い。

「どうして俺達は一緒に寝てるんだ?」
「ソファーだと、寒いから…」

溜息を吐く俺。

「わかった、じゃあ俺がソファーで寝るから」
「そ、それは駄目!」

がし、とTシャツの裾を掴まれる。

「お願い…」
「わかった!わかったから女みたいな顔で泣きそうになるな!ダメージ大きいんだよ!」

目をうるうるとさせていた中目黒は、俺が布団に入った瞬間笑顔になった。
なんだか、騙されてるような気分だな。

「えへへ、杉崎くーん♪」
「頬をすりすりするな」

中目黒が男じゃなかったら、相当なエロゲ的展開だよな、これ。

いや、傍から見てたらそう見えるのか。

「えへへー♪」

ん?

… 何か、酒臭いぞ。

よくよく観察してみると、中目黒の顔が尋常じゃないくらい赤い。

「おい、中目黒」
「なーに?」

ぼんやりとした視線を此方へと向ける中目黒。


「お前、冷蔵庫にあった瓶に入ってるアレ、飲んだか?」
「うん、おいしかったよー」

俺は頭を抱えた。

真儀瑠先生に押し付けられたまま放置してあったお酒だ。

「しかも、媚薬成分入り、か」
「?」

なんちゅー物を保管しておいたんだ、俺は。
さっさと捨てればよかったのに。

この時の俺は、案外気楽に考えていたんだと思う。
変になったのも、ほぼアルコールの所為だろう、と。

まあ、つまりそれは間違っていたわけだ。

「んちゅ」
「んむ!??」

唐突な、キス。
甘い。とっても、甘い。

中目黒が下半身に手を伸ばす。
抵抗、できない。

「ん…んん」
「ッ…、ん…む」

下着が下ろされ、元気になった俺のモノが顔を出す。
ここで勘違いしないでほしいのは、俺が興奮したのではないということだ。

あくまでも、俺は中目黒の口の中に入っていた媚薬に侵されていただけで…。


「かたい…よ、すぎさきくんの」
「やめ…ろ」

華奢な指がモノに巻き付く。

「おさめ…ないと、ね」
「やめろって…」

中目黒の頭が布団の中に消えたかと思うと、すぐに俺のモノが温かい何かに包まれた。

「ッ」
「ひもひいいへふは?…ふひはひふん」

温かい中目黒の舌が、俺のモノを刺激する。

「口に…入れたまま喋るな…。というか…や、めろっ」
「は、れふ♪」

布団の中で見えないはずなのに、中目黒が俺のモノを銜えている様子が、良く分かる。

「ん… じゅ…ぷ」
「やめ…」

舌が、俺のモノを舐めまわしている。
根元から、先まで、丹念に舐め上げていく。

「あふいれふれ、ふひはひくんほ」
「く…ぅ」

布団が捲れ、中目黒の銀色の髪が見える。

「ほふへも、ほうふんはひへふへふんへふへ」

舌で舐めるのをやめ、顔を前後に動かす中目黒。
止めさせようと手を伸ばすが、下半身に襲い来る刺激に力が入らない。


「んっ、んっ」
「あ、ぐぅ」

動く度に、中目黒の髪が揺れる。

上目使いで此方を見る中目黒。

「はひへくへへほ、ひひんへふほ?」

プライド。

俺は、男好きじゃない。

そんな、プライド。

それは、中目黒の一言で、簡単に崩れ落ちた。

「すまん…中目黒。出、る」
「ふぁい♪」

中目黒が俺のモノの先を、丁寧に舐め上げる。

その直後に、俺のモノは白濁色の欲望を吐き出す。

「く…」
「んぶっ、ん、んぐ、んぐっ」

目に涙を浮かべながら、中目黒はそれを飲み込んでいた。
いや、呑み込まれているといった表現の方が正しいかもしれない。

喉が鳴らされる度に、中目黒の目は、トロトロと溶けるようになっていったからだ。

「んぐ、んぐ、っぱ…っ」

口を離した中目黒の顔にも、容赦なくそれは降りかかる。

銀色が、不純な白で汚されていく。

「んぐっ…。はぁ…」

ニコリ、ほほ笑む。

「杉崎君の、すごい美味しかったよ」

ああ、綺麗な笑顔だな。

ぼんやりとした頭で、そんなことを考えた。




   *


翌日。

「杉崎君、なんでそんなに怒ってるの?」

「お前は覚えてないからいいよな」

「テ、テンションが下がり気味!?どうしたの、杉崎君!」

「すこし、ほっといてくれ。…泣きたい」

「ええ!?」

「ぐすん… ひっぐ…。俺は…ハーレムの主失格だ…」

「ほ、本当にどうしたのさ、杉崎くーん!」



- End - 







参考情報

前編(中線まで)は2010/04/26(月) 03:11:10~2010/04/26(月) 03:14:23で7レスで投稿。
後編(中線から)は2010/04/28(水) 19:01:59~2010/04/28(水) 19:07:28で7レスで投稿。
とまとさんの生徒会の一存のエロ小説を創作してみるスレでの8作品目。


  • 最終更新:2010-07-27 23:53:21

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