ヒトガタさんの小説2

本文

 どうして神様は人間に感情なんてモノを付属させたのだろう。邪魔だと正直思う。

 そう、例えば怒るのも、悲しむのも、喜ぶのも。疲れるじゃないか。

 更に具体的に言えば、今の状況。



「……」



 ぼくは大いに呆れていた。

 学校を股にかけるほど社交的でイケメン且つ文武両道で非の打ち所のない完璧超人、植野春秋が、よりによって協調性皆無、やる気なし、ついでに言うと現会長職であるぼくに向かって、阿呆にも告白という一大イベントを起こしやがったのだ。

 好きだ、と。

 ホント、なんで神様は感情なんて言うモノを人間に宿したんだ。

 具体的に言うと、恋愛というヤツ。

 さらに具体的に言うと、春秋になんでこんなものを植え付けやがった神様こん畜生。

 おまけに最近は、このように生徒会室で二人きりになった途端、そう切り出してくるから堪ったもんじゃない。あれか、精神攻撃というヤツだな、世に言う。

 口に出すのも億劫なぼくは、書類に目を通すことにした。

 ゲーム部が「次世代機ー!」と嘆願書の紙面いっぱいに殴り書きしている。

 承認。

 ぽん、と判子を押すと、綺麗に碧陽学園の判子が刻まれる。途端に春秋が苦笑を洩らす。

「無視は酷いなぁ」

「五月蝿い。そもそも何度目だそのセリフ」

「十五回目くらいかな。ここまで来ると自分でもすごいなって思うね」

「なら諦めた方がいいと思う」

「諦めないって、最初に言ったじゃないか」

 正直、ウザい。

 これは実際にその立場になった人じゃなければ分からないだろう。恋愛なんてホント勘弁して欲しいのに、しつこく付きまとわれることのウザさは堪ったもんじゃない。

 外の景色はそんなこと関係なしに、雪がちらついている。自分の名前にも「雪」という字は入っているけど、雪はそんなに好きじゃない。というか嫌いだ。

 ん?そう言えば雨も嫌いだし曇りも嫌いだし霧雨も晴れも嫌いだ。ぼくは天気は全部嫌いなのだろうか?そうなれば年中鬱々と過ごさなければいけない。

 あ、でも雹は好きだったな、濡れないし、うん。でもあんまり降らないから結局はダメか。と思いながら、パソコン同好会の「国崎サイコー!」という嘆願書にスタンプを押す。ぺったん。


 春秋は気障に肩を竦めて見せながら、

「そんなにイヤかい?」

 などと聞いてきた。答えはイエスかハイ。英語で言うならベリーだ。

 言うなれば、ジャイ○ンの歌を聞かされるの○太君の心境だ。ちなみに誇張でも何でもない、事実である。

 そして何が面白いのか、ニッコニコと笑顔を浮かべる春秋。サディストなのだろうか。人が嫌がることを楽しむって。

「ホント勘弁して。もう、諦めてくれるなら何だってしてもいい」

 そう口走るほど、イヤだった。

 後悔したのは、すぐ後のことで。でももう後の祭りで。

「……ふーん」

 何故か急に黙った春秋をいぶかしんだぼくだったけど、若干仕事が迫っていたため―――ついでに言うなら、その間春秋は「告白の最中に他のことをやるのは失礼だろう」と、仕事に絶対に手をつけないため―――嘆願書から生徒の要望の書類へと目を移した。

 まず目に付いたのは、水道の水の出が良くないという苦情だった。急に出るのが弱くなったり強くなったりするのが最近ぼくの耳にも届いており、現にこの間ぼくが計らって春秋をびしょ濡れにしたりした。

 水も滴るいい男。ただし冬場。無論、彼は数日後に風邪をひいた。

 その時周りが「見舞いに行ったら?むしろ行ってやれ」と強引に迫るので(主に生徒会の後輩三人から)、嫌々ながら行ってみると、案の定、スーパー○イヤ人の如くテンションが高くなったので、花だけ押し付けて帰ったけど。

 それはともかく、まず学校側に確認の電話をし、水道局側にその旨を伝えるのがこの案件の仕事。学校側は二つ返事で了承され、次は水道局側。

「……もしもし。碧陽学園生徒会会長の希咲です。生徒からの案件で水道の水の出が悪くなっていると―――」

 そこまでだった。


「―――ッ!?」


 突然、胸部からびりっと電気のような刺激が、全身を硬直させた。まるで麻薬のような甘味。気を抜けば声が漏れてしまう。

 「もしもし?」とまだ通じている向こう側から戸惑いの声が上がる。このままだとまずい。

「な、なんでもありま、せん。それ、で、修理、の、日程を……」

 慣れない刺激の所為で、声が震える。

 その間も、絶え間なく刺激は続いている。本当なら怒鳴り散らして引き剥がし、秒間で八発ほどお見舞いしてやろうかとどれほど思ったことか。だが残念なことに今は通話中。待たせるワケにもいかない。

 向こうが日程を告げてくる。ぼんやりとまどろんできた思考を必死に叩き起こし、「それで、は、その日で、お願い、します」と告げて電話を切ると、まず何より先に一発後ろにくれてやった。

「な、何を……」

 息荒いぼくとは反対に、春秋は拳を手の平で受け止めていた。

「何を……って、そりゃあ、R-18指定のことじゃないか?」

「なんで疑問形でこっちに聞き返すのか、その精神状態を、今、問いたい」

「大体、何でもしていいって言ったのはキミじゃないか」

 あれ、そんなこと言ったっけな。そう言えば、そんな感じのをさっき思わず口走った気がする。

「でも、そうしたらぼくを諦めなくちゃいけないんだぞ」

 春秋はニコニコしている。イヤな予感しかしない。

「風紀委員にも言いつけ―――ひゃうっ」

「キミでもそんな声出すんだ」

「か、感心してないで……」

 制服越しとはいえ、その刺激は慣れないぼくにとっては酷く強すぎる。さらに耳を甘噛みされると、変にくすぐったく、思考がどんどんと鈍化していくのが自分でも分かる。

「それにさ」

 そう言った春秋は、いきなりぼくのスカートを捲りだす。

「!?」

「こんな状態でそんなこと言われてもねぇ」

 そこから見る光景は、ぼくにとっては見慣れないものだった。


 秘部が、いつの間にか濡れていたのだ。黒のショーツは、お漏らしをしたかのようにべっとりと肌にひっついていた。

 何が起こっているのか、全く理解できない。

 ついさっきまで、普通通りだったはずだ。何が狂ったのだろうか。

 そんなことを空々と考えても、すぐさま現実に戻される。

「ぃっ!?」

 空回りだった思考の間にしたのか、制服や中のシャツは全てボタンが外されていた。そして自分の肌よりも色づいている指が、腹部をすすすと足を進める。それに釣られて、刺激も百足のように這ってくる。

 そして指はショーツに到達する。春秋はわずかに躊躇ったのか、ぼくを見る。が、そのまま行進を進めた。割れ目の場所を指で探ると、数回その周囲を撫でまわし、そして割れ目に軽く指を沈める。

 布地の上からだと言うのに、下腹部に今までにない刺激が、電気に変換されて体を駆け巡る。身体がびくっと震える。

 するとさらにとろりとショーツの隙間から液が漏れ出てくる。

 思考も、その液のようにとろりと溶けているようだった。反対に、体は頭とは完全に別物であるかのように、身をよじらせ、出したことも無い甘い声を漏らす。

 何だ、何なんだこれは。ぼんやりとそう思ったけど、別人格が操っているかのように、体が自分の意思で動かせない。

 生徒会長が、生徒会室で乱れる。うん、何かすっごい馬鹿みたいだ。

 だけど、その馬鹿にぼくは堕ちたようだ。

 堕ちた堕天使。あれ、でもぼくって元々堕ちてないか?いろんな意味で。天使じゃないけど。

 そう、もはや自棄気味に考えていると、とうとう春秋の指はショーツの中へと向かう。


 くちゅ。


「んんんっ!」

 おいぼく、そんな声出すキャラじゃないだろ、と頭は冷静に思いつつも身体程正直なものはないのだろう。なんか下半身が熱い。

 と、春秋が空いている方の手でぼくの胸を鷲掴みにする。

「ぁぅ……!」

 ブラジャーの下から手が潜り込んでいる。先端の方から、くりくりと弄られている感覚が、頭からどんどんとぼくの居場所を奪っていく。

 そして首筋に軽く立てられる歯。もう、全身から強烈な刺激を受けている感じで、本当に頭がぼんやりしてきた。

 事あるごとに身体は痙攣し、甘い刺激が身体を支配していく。


 やがて春秋は手を引っ込め、後ろでカチャカチャという音を鳴らす。

 やがて見えたのは、グロテスクなものだった。股間から一部分だけの異常。屹立したナニか。

 先端は内臓のようなピンク色をしていて、それを覆う皮は皮膚よりも濃い色。それがぼくと同じように、少しだけ濡れている。

 保健の授業を受ければ、イヤでも一回は見ることになる。でもぼくはそう言ったことには興味はなく、そして関係がないと思っていたものだ。

 まるでヴァンパイアに打ちつける杭のようだ。聖なる杭。

 もはやぼくがぼくではない身体を立たせて、春秋はその後ろに立つ。ぼくの身体は無様なほど震えていて、壁に寄り掛かるほかない。


 突然の、衝撃。


「あぁあッッ!!!」

 腹部にせり上がるような痛み。大きく開かれた秘部から、あたたかい何かが流れるのが分かる。処女膜が破れたのだろう。

 その痛みが、脳をようやっと意識を浮上させる。今更ながらなんてことをしているんだぼくは。

「はっ、はるあ、きっ!」

 痛みを歯を食いしばって殺し、何とかそう口にするも、すぐにピストン運動が始まる。

「ぅっ、あぁ、あっ」

 立て続けに奥に突かれる痛み、わずかな快楽。

 薙ぎ倒された理性を何とか働かせて、せめてもの抵抗として声を漏れないように歯を食いしばる。それでも、口端から呼吸と共に漏れる声。


「ところで、さ」

 不意に、春秋が声をかけてきた。わずかに顔が上がる。

「そこ、窓なんだけど、見える?」

 思わず、そこを見た。

 鋏を入れることのない髪は、動きがある度に揺れている。制服は開かれて、自らの裸体が覗きこんでいる。そして何より、普段は死んだ魚のような目が、特に浮かべることのない表情が、快楽に彩られ、赤みを増し、無防備に口を開いて魚のように喘いでいる。

 そして透き通って落ちて行く、白い結晶。昏い光景。

 この、性欲に溺れている淫乱な女が、ぼく?

 急に恥ずかしくなり、同時にさらに強く快楽を感じる。窓に移る女も、耳まで赤くなり、さらに酔ったように瞳がまどろんでいる。

「あ、ちょっ、中が絞まって ―――!」

 後ろで春秋が声を上げた。途端、中で暴れだす熱いナニか。

 ぼくはそれを感じながら、床にへたれついた。


 /



「……」



 本当に、なんで神様は感情なんてモノを人間に与えたのだろう。

 詳しく言えば、やっぱり今この状況。

「好きだ、付き合ってくれ」

 ぼくは最早顔を見て溜息をつくこともせずに、嘆願書へと目を通す。

 野球部から、「古田をシドニー五輪ピック出場への署名活動及びナベツネの解任署名活動」という旨が、豪快な文字で書かれている。

 承認。

 ぽん。

「また無視か……」

「五月蝿い黙れこの強姦魔」

「なんだろう、この胸のときめき……」

 今度はマゾにでも目覚めましたか。

 結果的に言って、やっぱり状況は変わらなかった。

 ただ、事あるごとに春秋はぼくを連れ出すようになった。嫌がってもだ。もはや彼氏同然だとでも思っているのだろうか。ちなみにぼくの中でのこいつの評価は、ミジンコ並みの評価まで落ちている。

 終いには今度ラブホでも行く?とまで言い出す始末だ。とりあえず殴っておいた。

 何のプラスにもならない、マイナスばかりの初体験だった。キスすら飛ばしてというのは、こいつの常識を疑う。とりあえずこいつを手始めに免職しようかと思う。

 そこでふと思い付く。少し恥だが、面白いかもしれない。

 ぼくはあるノートを取り出すと、さらさらと鉛筆をその紙面に走らせて行く。そしてそれを書き終えると、普段とは別の場所に隠すように置いた。

「何を書いてた?」

「秘密」

 さて。

 これを読んだ時の誰かの反応が、生徒会日記と同様に楽しみである。

 ぼくはひっそりとほくそ笑んだ。


――――――――――――――――――――――――――――――――



「んーと……あれ、なんだこれ?」

「先輩、どうしたんですか?」

「いや、ちょっとここを掃除していたら……こんなのを見つけたんだ」

「これは……黒いノートですね」

「やっぱり名前を書くとその人が死んじゃうんだろうか」

「さ、さぁ……とにかく読んでみましょうよ。十年前のあの日記と似ている気がします」

「そうだね。えーっとぉ……」



 …………。





「「こ、これは……!(顔真っ赤&鼻血ブー)」」






 /



 ある生徒会室で。

 不純異性交遊を摘発された男子の、わずか一時間前の話であった。

 被告人の「ち、違うんだ!真冬ちゃんが勝手に張り切ってし始めて―――!!!」という弁護は、空しく生徒会室に響いたそうだ。

 めでたしめでた……し?


参考情報

2010/03/30(火) 04:55:47~2010/03/30(火) 05:00:54で8レスで投稿。
ヒトガタさんの生徒会の一存のエロ小説を創作してみるスレで2作品目。



  • 最終更新:2010-07-08 02:23:41

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