ユーリさんの小説8

本文

体育館
辺りは静寂に包まれていた。
つついたら、脆く砕け散ってしまいそうな静けさだった。
その静けさの中、俺と知弦さんは面を向かい合っていた。
距離は数メートル。
互い右手を持ち上げ、相手を指す格好をしている。
その互いの手には………銃。
互いが互いに向けあっていた。
引き金を引けばその瞬間、静寂は終わる。
辺りに一触即発のピンとした空気が漂っていた。
「どうしてこうなってしまったのでしょうね」
俺は独り言のように呟いた。
「歩く道を間違えたのよ…………私とあなたは違う道を選んでしまった」
それに知弦さんが答えてくれた。
「もう、引き返せないのですね……」
「ええ……」
「……………」
「……………」
もう言葉は交わされない。
引き金は引きたくなかった。
しかし状況がそれを許さなかった。
次第に勝手に引き金に当てる力が強くなっていく。
そして銃声が轟いた。


話は初めに戻る。
「休日に全校生徒が集められるって何事なの?」
「知りませんよ。生徒会にだって知らされてないんですし」
ざわついた体育館。
休日なのに、碧陽学園全校生徒が集まっていた。
「真冬、早く帰ってゲームしたいです」
「集めたのは真儀瑠先生らしいぜ。何考えてんだか」
生徒会メンバーもこうして集められている。
「でも、なんだかんだいってちゃんと全校生徒集まってるのね」

確かに。めんどくせーだりーかえりたいーと、あちこちから愚痴がもれているが、何故かちゃんと皆集まっているあたり、碧陽の生徒は面白いと思う。
「あーあー、全員注目!」
と、そこに、いつの間にか雛壇に上がっていた真儀瑠先生がいた。
ざわざわがしーんと静かになる。
「ここに呼んだのは他でもない。重大発表があるからだ」
マイクを持って真儀瑠先生の声が拡声される。
「それは――――」
ごくっ、と生唾を飲み込む音が聴こえた気がした。
「今からバトルロワイヤルを始める!!」
………………………………
さっきとは違う静寂が流れた。
そして1秒、2秒、3秒。
『なんでよ(だよ)!!』
全校生徒からのツッコミだった。
「バトルロワイヤルだぞバトルロワイヤル!心がときめかんのかお前らは!」
「ときめかねーよ!なんでだよ!休日に全員集めて重大発表なんて、どんなもんだと思ったよ!」
「そもそも何が、何でバトルロワイヤルなんだ!」
「意味不明にもほどがある!」
「おお、ついに碧陽にもバトルロワイヤルが!」
あちこちから文句文句。そりゃそうだろうな。
1つ嬉しそうな声が聞こえたのは空耳だろう、うん。
「黙れ!」
真儀瑠先生が一喝!
不満がのこりつつもとりあえずは静寂が戻った。
「現金なお前らには一つ、いい情報を教えてやろう」
真儀瑠先生はもったいぶるように一区切り、そして。
「勝者には一つ、夢を叶えさせてやろう」
「夢を、叶える……?」
「魔法のランプでもくれるのか?」
「むしろドラゴ〇ボールをくれるのか?」
「俺は彼女が欲しい」
「別にだれも聞いてねーよ」
「阿呆、そんな非現実に頼るな。いいか、勝者には」
またもったいぶるように一区切り。
「一千万やろう」
『!!!』
ざわざわと皆が揺れた!

「なるほど、夢さえも買える金額と」
「そう言うことだ紅葉」
「一千万……!」
「そんだけありゃ、何でもできるぞ……!」
「やってやろうじゃん!」
ほとんど皆メラメラとやる気を出していた。ほんとに現金な奴らだな、おい!
「一千万あれば真冬の廃人街道をもっと充実させることができます!」
「金にはあんまり興味ねぇが……バトルロワイヤルは燃えるぜ!」
椎名姉妹はそれぞれ意気込んでいた。
「一千万……そんなはした金には興味ないけれど、おもしろそうね」
今、知弦さんから何やら聞いてはいけない単語が出た気がする。
はは、一千万がはした金……?まさか、ね…
深く追求しないでおこう。色んな意味で。
「会長もやるんですか?」
「うん!やるよ!沢山生徒を殺しちゃうよー!」
「生徒会長のセリフとは思えませんね」
きょろきょろ辺りを見る。
わーわー盛り上がっている生徒の波にのまれそうになっている中目黒、守、巡を発見した。あっちもこっちを見つけたようで、こっちに来る。
「よぅ」
「あ、杉崎くん……」
「そんな、ようやく自分の居場所を見つけたような目でみるな!」
「え……?杉崎くん……ごめん……」
「ああ!今度はそんな捨てられた猫のような目でみるな!わかったよ、気にしないって!」
「えへへ、ありがとう、側にいさせてもらうね……ずっと(ぼそっ)」
「また理不尽なほど好感度が上がった!しかも言葉のチョイスがおかしいぞ、それ、危ないからな中目黒!」
話を逸らすべく、宇宙姉弟こと守と巡に話かけた。
「なんか大変なことになったな」
「そうね」
「って言うかだるい」
2人の発言に俺も頷いた。
「だな、真儀瑠先生は何考えてんだか」
そう言ったところでまた真儀瑠先生の発言が聞こえた。


「とりあえずルール説明だ。ルールは簡単。この中で1人が生き残る、それだけだ。ただし、直線的な暴力は無し。一応規制しておく」
「真儀瑠先生にしては普通なこと言うな。一応は余計だが」
「殴り合いは確かに危険だからな。不良校じゃあるまいし」
「ええー殴り合い禁止かよ!」
「1人残念がっているがな」
「その代わり、全員にこれを支給する」
そうして真儀瑠先生が取り出したのは……拳銃。
『はぁぁぁ!?』
全校生徒がまた揺れた。
「ま、まさかの真剣バトル!?碧陽を崩壊させるつもりか、あんたは!」
「安心しろ、モデルガンだ」
「それでも充分危険だよ!」
「うるさいな、杉崎。細かいことは黙ってろ。モテんぞ?」
「細かくないから!かなり重要だから!」
「僕、銃なんて撃てないよ」
「安心しろ。普通日本国民は撃てないから」
「あと皆これに着替えろ」
そして数十分後。
『何で軍服なんだぁぁぁぁ!!』
「着替えてからつっこむあたり、芸人だなお前ら」
俺達はリアル軍服に着替えさせられていた。
「こんな大量の軍服、どこで手に入れたのかしら?ふふ、興味がわくわね」
髪を後頭部で結い上げて、不適に微笑む知弦さん。
「っていうか、サイズぴったしなのが怖いんだけど……」
ロリに軍服と、需要があるかないか微妙な格好の会長。
「真冬、早く帰りたいです……」
軍服に頭のリボン&インドアオーラという、ミスマッチな真冬ちゃん。
「おお!軍服ってこんなにかっけぇのか!」
1人だけ異様に盛り上がっている深夏。


「ではルール説明の続きだ。頭部は厳禁、肩から腰の部分を撃たれれば敗退、勿論背中もだ。撃たれれば、右腕にある緑のランプが赤く光る。それで見分けろ。あと、敗退後に撃っても反応しないからな。左腕には生き残ってる数が表示される。ただし、100以下になると表示は消える。以上だ」
「ハイテク!無駄に超ハイテクだ!」
「N〇SAからの提供だ」
「何やってんだよNA〇A!投資するとこ間違え過ぎだろ!」
「弾は7発、切れたら現地調達しろ。敗退者は適当に死んだふりでもしておけ、私は知らん」
「そこは雑だな!」
「1時間後に開始のチャイムを鳴らす。範囲は碧陽学園全域。解散!」


解散後、賞金一千万という欲望にまみれた奴ら……というかほぼ全校生徒は張り切って体育館を出て行った。
俺も気乗りはしないが、とりあえず移動を開始した。俺しか知らない碧陽の隠れ家、開かずの教室、にいく。
予想通り誰もいないので、そこに俺は布を引いて寝そべってた。
ここを見つけたのはたまたま、封鎖されているかを調べたら開いていただけなのだが……
幽霊が出る呪われる、との噂で、近づく者はほとんどいない。見た目は確かに封鎖されているしな。
まぁ俺は幽霊なんて信じな―――――
「キー君」
「うわぁぁ!!」
幽霊!かと思ったら知弦さんであった。
あんまり日の光がなく、暗いし長い黒髪のせいで余計に驚いた。
「ち、知弦さん、どうしてここが!?」
「キー君にわかって私にわからないことはないわ。まぁ実際はたまたま見かけただけだけど」
「そ、そうですか……でもいいんですか知弦さん。俺達、敵同士ですよ?」
「あらキー君、私達は何?」
「何って、敵じゃないですか」
「キー君、ちょっと傷ついたわ」
知弦さんが、やや怒ったような表情になった。やべ、選択肢間違えた!
「す、すいません。えっと、恋人、です」
「なら私達は味方よね?」
味方?
……………………
俺は1つのことにはっと感づいた。
「ということは……?」
「ええ、手を組みましょ?」
当たりだ。
手を組む、考えたことなかった。
「現にアカちゃんと深夏、真冬ちゃんは同盟を組んでるし、あちこちも団結してるわ」
「そうですね、手を組みましょう。で、俺の作戦は―――」
「敵の数が減るまで隠密に待機、でしょ?」
改めて知弦さんにはかなわないな、と思った。
「です」
そのまま数分が経過したころ。
「ねぇ、キー君。私の姿、どう?」
いきなりグイッと迫られてきた。


「どうって、なんか軍の参謀長みたいで格好良いです」
褒め言葉としては微妙なラインだ。
「そう、ありがとう」
それでも知弦さんは微笑んでくれた。
相変わらず萌え、というか綺麗だ。
さらに迫られてくる。体はあとほんの少しで当たる位置だ。
「ねぇキー君、しましょ?」
「へ?ええ?」
唐突の誘いに、間の抜けた声で返事してしまった。
「ふふ、キー君、今の声かわいい」
さっきの微笑みとは違う、妖艶な笑みにドキッとした。しかしかわいいはどうかと……
「でも、一応隠密にですし……」
「大丈夫よ、ここには誰もこない。時間もたっぷりあるわ」
「それでも―――んむっ」
言い訳を口で塞がれた。
「くちゅ、ちゅぱ、ちゅ、ちゅる……」
ぐっと、押さえられる。
「キー君、好き……」
密着、仰向けの体に知弦さんの重さが伝わってくる。
「知弦さん!」
知弦さんの言葉にたまらなくなり、知弦さんを抱きしめ、半回転。状態を逆さにした。
好き、と言われただけでここまでたまらなくなるなんて、知弦さんの言葉には魔法が含まれているのではないかと思った。
もはや理性や自制などは頭から飛んでしまった。
「んっ……」
そのままキスへ。
「くちゅ……くちゃ……ちゅ、ちゅぱ…………ふふっ、キー君は押さえてするのが好きなの?」
いつの間にか、両手を押さえつけ強引にキスをするような形になっていた。
「あ、すいません」
結構強い力で押さえつけていたようで、すぐに放した。
すると、知弦さんは両手で俺の頭を優しく掴み、「いいのよ、私はキー君になら……何されてもいい」と言った。
たまらなくなって、もう一度口づけに移行する。
知弦さんを抱き上げ、対面座位のような形でキスをする。
「ん、ふぅ、んっ、んっ、くちゃ……くちゅ……」


唇同士を優しくはみ合い、次第に舌を絡ませる。
くちゅ、くちゃ、ちゅぶ……
粘液の戯れによる副産物である、水音が聞こえる。
次第に知弦さんの体から力が抜け、しなだれかかってくる。
舌の動きもぎこちなくなっていき、だんだん翻弄されるままになってきた。
俺は一旦舌を弄るのをやめ、知弦さんの口内に標的を移した。
口内のてっぺんを、舌先でなぞる。
「んふぁ!?」
知弦さんが驚いたような、くすぐったそうな悲鳴をあげた。
ふと、ディープキスでちょっとした悪戯をしたことを思い出した。
そのときは驚いたのか、舌をけっこうな勢いで噛まれた。あれは痛かった。
自業自得なのだが、必死に謝ってくる知弦さん内心萌えていたのは秘密だ。
そんなことを思い出しながら、知弦さんの口内を弄っていた。
「んんっ……ん……んぅ……や、らぁ……ふぁめぇ」
歯茎、舌の根、様々な箇所を舌で撫でる。
そういう趣味趣向はもっていないのに、知弦さんには何でもやってみたくなる。不思議だ。
「ん!?」
いきなり、知弦さんが息を吹き返したかのように舌を絡めてきた。
唐突なことに、びっくりした俺は動きが止まり、形勢は逆転した。
舌を押し返され、俺の口内へと舞台は移った。荒々しく舌を絡ませられ、舌が思うがままに操れられる。
「ん……くちゅ……ちゅ……ちゅぱ……ちろ……」
完全に知弦さん主体で終わり、唇同士を放す。透明の糸が伸び、すぐに切れた。
知弦さんは、そのまま俺を押し倒す。
そして、器用に迷彩柄のズボンを脱ぎ、ショーツを片足の膝辺りに引っかけた。
まだキスしかしていないが、心なしか秘部は濡れているような気がした。
次に俺のズボンをはだけさせて、元気に勃ったモノを出させた。
その上に知弦さんがまたがる。


言わなくても今日は知弦さんがすることが伝わったので、俺は動かない。
腰を下ろすが、挿入せずに秘部をモノに添わせるような形になった。いわゆる素股である。
「ん……ふ……」
すり、すり、と、ゆっくり腰を前後に動かす。
秘裂は真ん中にモノを挟み込み、Vの逆のような形になる。
熱く、柔らかな肉は、挟み込んだ部分を緩くくわえ、かすかな圧力を加える。
挿入の快感ほどではないにしろ、また違った気持ちよさだった。
「んっ、あっ、あ……いい……」
トロリと、奥から分泌された愛液が、膣を伝って落ちていき、モノに塗られていく。


「ひぁッ……ぁあ、ん……んっ、ぁ……あ……」
次第に荒々しい動きにシフトしていく。
少しずつ前のめりになっていき、体を支える腕が余裕のなさそうになっていくのが、胸から伝わった。
「んっあ……あ、はぁ……ん!」
驚いたように、ビクンと体を震わした。
だがそのままゆっくりと、腰を動かし始めた。
動きもさっきよりぎこちなくなり、吐息も荒くなっている。
「あぁ!いぃ……キー君のが、わたしの、あたって……ん!」
柔らかな感触の中に、コリっとした硬い何かがあるのを感じた。
おそらくというか、クリトリスにモノが擦れたのだろう。
どんどん動きがぎこちなくなっていく。
人気がないとは言え、誰かに聞かれているかもしれないというのに興奮しているのかもしれない。
「あぁ、だめ……!かんじて……んっ!あっ……」
腰が止まる。
俺が動こうかと思ったが、その前に知弦さんが腰を上げたので、止めた。
モノの根元をきゅっと掴み、秘部に押し当てる。
まるで、注射器のスポイドが押されるようにモノが埋没していった。
「んっ……はいっ、た……」
満足そうに、恍惚な表情で陶酔する。
膣内はモノの凱旋を歓迎するかのように蠢いている。
興奮のし過ぎか軽く達したのか、全身が小刻みに震えている。
そして、緩慢と腰を動かし始めた。
「んっ、んんっ……あ……!あん……!ん!」
時折体をヒクンとさせながら、少しずつ早めていく。
興奮でモノは膨張していき、とうとうグッと亀頭に壁が押しつけられた。
「ああッ!!」
その瞬間に、知弦さんは大きな声を出し、クッと俯いた。
きゅっと目を閉じ、頬を紅潮させ、僅かに空いた唇から扇情的な吐息を吐く姿は、言葉には表せないくらいに情欲をそそる。


下から見ると、なおさらだった。
「ん、キーくんの、おっきく……おくに……!や、ぁ!」
グイグイと押し付けるように腰が沈ませる。
無意識に性感帯の中枢部を求めているのか、知弦さんの特に敏感な所に当てられているような気がした。
「ふぁ!や!あ!んんッん!ん!やぁ!ん……!」
顎を引き、扇情的な表情の知弦さん。
その姿は、何かを我慢しているような感じもした。
「ひぁ!あぁ!あッ!ああっ!」
次第に喘ぎ声が大きくなる。
いくら人が来ない場所とは言え、若干聞こえてないか心配にもなってきた。
知弦さんの口の端から唾液がツー、と流れ、落ちた。
淫行によって落ちた雫は、その豊満な胸で受け止められる。
「ん!あっ!んッ!だめ、もう!もう!くる!やあ!!ああ!」
更に行為はヒートアップしていく。
とうとう知弦さんは体を支えきれず、カクンと倒れた。
体は、じっとり汗ばんでいる。
豊満な乳房は、これでもかと言うくらいに押し付けられ、服ごしにでも色々なものが伝わる。。先端の硬い部分はその形を保つような感じで存在している。
知弦さんの瞳はとろんとし、気持ちよさそうな表情で、とても扇情的だ。
「あ!!ああ!!ん!ひあっ!」
もう腰が止まらない、といった感じで、知弦さんは喘ぎに喘いでいる。
膣圧の緩急が激しくなり、男のを求めるように吸いつく。
気のせいか、弱い箇所を重点的に攻められているような感じだった。
「うくっ……!きつ……!」
凄まじいほどの快感が、脳に送られてくる。
気を抜くと、今すぐに達しそうなくらいだ。
「ああん!あっ!!あ!あぁあッ!!いく、イクぅぅううううぅぅッッ!!」
イった瞬間、噛み千切られるような圧力を加えられる。


蛇腹のポンプのように複雑に蠢き、かつ最大限に快感を与えてくる。
男の射精感を募らせる動きに耐えきれず、射精した。
すると膣壁はそれに反応し、蠢く。
まるで精子を子宮におさめるような動きだった。
「はぁ、はぁ、はぁ」
荒い息が収まらないようだ。モノを抜く。
すると、ちょうどサバイバル開始のチャイムが鳴った。
パン!
銃声が鳴り響いた。






……………………………
それをかわせたのは奇跡だったと思う。
弾道は俺に当たることはなく、天井に当たった。
一瞬の差で、俺の手が銃口を上に向けさせたからだ。
何故そんな奇跡的なことを出来たのか。
それは多分知弦さんの表情が瞬時に変わったのを見抜けたからだと思う。
っていうか!
「何するんですか!?」
「ふふ、まだ分からないの?」
知弦さんが俺の手を振りほどき、再び銃を構える!
パン!パン!
2射。それを何とか物陰に行き、やり過ごす。
壁に隠れたまま、知弦さんの声が聞こえる。
「元々手を組むつもりはなかったわ。私は深夏とキー君が勝ち上がってくると考えた。貴方は油断できない相手。だから先手を打たせてもらったわ」
なんという策略、恐るべし知弦さん!
………ってかコレって裏切り行為だよね?浮気と同定義ぐらいだよね?
「さぁ、キー君。チェックメイトよ」
やべぇ、今の俺の立場って、美人の誘惑に乗せられたが実はその美人が暗殺者だった的な感じだ。
確かに詰んでいる。
銃はないし逃げ場もない。
くっ……どうする!?杉崎鍵!
ここで殺られたら、なんというか男として情けない。


知弦さんは完全に状況を楽しんでいるようで、いつでも殺れるのに来ない。
油断している時に手を打たなければ。
どうする!?
手が無い……………………あ
手が無いこともない。
しかし……やるのか?やってしまうのか?
主人公にあるまじき行動だぞ?
エロゲの主人公でも、えー……なぐらいに引かれるぞ。
だが……やるしかない!
「キー君、観念しなさい」
俺は……知弦さんの前に立った。
「なっ……!」
知弦さんが呆気に取られる。
そして、グッと歯軋りする。悔しそうな表情になった。
「キー君……やってくれるじゃない!まさかそんな手が!」
そう……今の俺は、マ〇オで言うス〇ー状態。カー〇ィで言う無敵キャ〇ディ状態に値する!
俺は……パンツ一丁状態だった!
説明しよう。
このゲームは、軍服に弾が当たれば負けだ。
ならその軍服を隠せば?
俺は軍服を入れた袋を、サンタさんみたく担ぎ、知弦さんから逃げる。
「くっ……待ちなさい!キー君!」
知弦さんが制止を呼びかけるが、当たり前に無視。部屋を出て、退避。
知弦さんはまだきちんと服を着れていない。羞恥心のせいで俺を追えない。
……まぁ、それが当たり前なんだけど。
こほん。そこは気にしたら負けだ。
自分に言い聞かせるんだ杉崎鍵。
そうじゃないと……泣きそうだ……
あれ、何だろう?涙が……出てきたよ……
俺は莫大な精神的ダメージを負いながら、そのまま安全な場所へ逃げた。





とりあえず、俺は辺境の場所にある男子トイレへと向かった。
途中、このパンツ一丁、泥棒みたいに荷物を担いでいる姿を一度も見られなかったのは幸いだった。
こんなのを見られたら、確実に警察のお世話になっていただろう。
何はともあれ服を着ることにした。
軍服を着て、サバイバルに挑むことにする。
このまま隠れててもいいのだが、やっぱ主人公だし、やられてばかりではいけないだろう。
左腕についている、腕時計みたいのを見る。
全校生徒から、今何人生き残っているかが分かる、NA〇Aの無駄にハイテクな物だ。
今は500人くらい。そこそこ減っている。
深夏は生き残ってるだろうな。会長もなんだかんだで生き残りそうだし、真冬ちゃんは、分からない。知弦さんは……今は考えたくない……
俺はトラウマとなりつつある出来事を思い出しながら、身震いした。彼女不信になりそうだ。今は考えないでおこう、うん。
とりあえず男子トイレを出た。
攻撃手となる銃は、あのときに置き忘れてしまったので、ない。
「どうするか……」
いつでもどこからか狙われているようで、怖い。兵士はいつもこんな恐怖と戦っているのだろうか?
何だか感慨深くなった。
廊下を警戒しながら進んでいると、1人倒れていた。その格好に見覚えがある。
右手のランプは緑ではなく赤なので、既にやられたようだ。
「お前、守か?」
顔を覗き込んでみると、間違いなく宇宙弟だった。
「杉崎か……」
何だか死にかけのハードボイルドなおっさんみたいな声で反応する。
「ふっ……やられちまったよ……」
「誰にだ、誰にやられた!」
「気をつけろ……奴は……強い……ぞ……がくり」
「ま、守ーーーーーー!」
また1人、尊くもない奴が逝ったか……


俺は特に悲しむこともなく、てきぱきと守から銃を剥ぎ取……ろうとしたが、持っていない。ちっ、使えない奴。
「鍵じゃねぇか」
声のした方を向くと、深夏が腕を組んで仁王立ちしていた。
「深夏……!」
ヤバい。よりによって一番合いたくない奴に会ってしまった!
「深夏、余裕じゃないか」
不意をついて倒せただろうに。
「あたしは不意打ちは嫌いだし」
ニヤッと笑って
「いつでも倒せるからな」
「くっ……」
言葉の通りなので何も言えない。
どうする、どうする!?
知弦さんの時ぐらいに絶体絶命だ。
「くそ!」
「じゃあな、鍵」
引き金が引かれ銃声が轟いた。






「やるじゃねぇか」
深夏は、驚いたというよりも、嬉しそうな声色だった。
俺はとっさに守の死体(振り)を盾にしていた。
ルールに死体をどうこうする規定はない。
「だが、まだまだぁ!」
深夏が特攻してくる!
俺が銃を持っていないことに気づいているようだ。
まずい!
盾(守)があっても、後ろに回れば無力も同然だ。
なら!
「うりゃぁあああ!!」
「え?ちょ、おま!」
渾身の力で死体(守)を投げる!悲鳴が聞こえたが気にしない。
死体(守)は深夏へ向かって飛んでいく。
「邪魔だ!」
「げふぅ!!」
深夏が裏拳を死体(守)の顔に叩き込む!
暴力行為は禁止だが、死体なので関係ない。
グキン!と鳴ってはいけない音が響き、守はまた飛んでいった。
(今だ!)
守によって遮られていた視界から、俺は飛び出す!
「甘いな!」
深夏は俺に素早く反応。銃を向ける。
深夏の方が早い!だが!
「へぐがっ!」
飛んでいる最中の守(半死体)の首根っこを掴む!
もはや生命活動すら危うられそうな悲鳴が聞こえたが、気にしない。


「うおぉおお!」
力任せにグイッと引っ張り、俺と深夏の間に持って行く。
いや、物理的に無理だからなんて言わないでくれ。
エロゲの主人公だって、なよなよしてても、脱いだらムキムキだったことが多いよ?
だから気にするな!気にしたら負けだ!
「なっ!」
弾は守(虫の息)に命中。
これには深夏驚いたようだ。そこに隙が生まれる!
今だと、深夏の手から銃をひったくった。
「しまった!」
俺は深夏が行動を起こすよりも早く、撃った。


とりあえず深夏には勝った。
深夏いわく、物理攻撃が出来ないのが大変だったらしい。まぁ、物理攻撃可だったら間違いなく深夏が勝ってるな。
ちなみに守は、一命を取り留めた。
あっちの世界に行っていたので深夏の正拳突きによるショック療法によって戻ってきた。
蘇生の後、守は俺達に向かってうだうだ言ってきたので、もう一度安らかに眠ってもらった。
俺は深夏から奪った銃を握って、廊下を警戒して歩いている。
左腕のカウンターは300余りを示している。
途中、何人かの生徒と出会ったが、勝つことが出来た。意外とこういうのには強いのかも知れない。
そのまま歩いていると、校庭に出た。
ところどころで銃声が聞こえているから、激戦区となっているだろう。
「ん?」
あの隅っこにいるのは……
「真冬ちゃん」
「にゃっ!?」
背中をポンと叩くと、飛び上がるように驚く。
「せ、先輩!?びっくりしました!」
「ごめん、そこまでびっくりするとは思わなかった」
真冬ちゃんは俺を不思議そうに見つめて。
「先輩、真冬を攻撃しないのですか?」
「ん?まぁ、真冬ちゃんを後ろから襲うのは人としてなんかダメっていうか、そんな感じ」
「そうですか」
「ところで真冬ちゃんは何をしてるのかな?」
「スネ〇クを見習ってステ〇ス迷彩してました!」
「うん、全然隠れられてないけどね!」
「じゃあアン〇バリアで」
「君はケロ〇人じゃないからね!」
ほんと、この子は何がしたいのだろう。
このバトロワでよく生きてこられたな。
とりあえず、ずっと真冬ちゃんにかまっている場合じゃない。
「じゃあ俺は行くね、真冬ちゃん」
「はいです」


背を向け、歩き出す。
パン!
多々鳴る銃声の中、明確に近くから鳴った。
そして、俺の背に衝撃が走った。
「ま、真冬、ちゃん……?」
「ふふ、敵に背を向けるからですよ」
真冬ちゃんは銃を俺に向けていた。
「先輩は甘いです。獅子はアプ〇ノスを狩るのにも大〇爆弾Gを使うのですよ」
「それはむしろ面倒なのでは?」
「どっちでもいいです。とにかく、先輩はここで死亡です」
「くっ……………ふふ」
「先輩?」
「ふっはははは!死亡なのはどっちかな!」
俺は右腕を前に出す!
「なっ!」
真冬ちゃんが驚愕の表情を浮かべる。
そして自分の右腕を見つめた。
その色は、赤。俺の右腕には、緑。
「なんでですか!?」
「ヒントは……これさ」
俺は左手に隠し持っていた銃弾を見せた。
「まさか」
「そう、このバトロワは銃弾が特定の場所に当たれば負け。当たれば負けなのだから、何らかのセンサーが銃弾の頭部についている筈」
俺は銃弾をコイントスのように弾いた。
弾いたそれをパシッととる。


「真冬ちゃんの背中を叩いた時に、軽く触れさせていたのさ!」
「なんか、背中から撃つよりもセコいです!人としての小ささがにじみ出てます!」
「勝てばいいのさ勝てば!」
「もう捕まってしまえばいいと思います!」


「さて、どうするか」
深夏、真冬ちゃんを倒し、左腕のカウンターも100人切ったから、表示されなくなった。無駄に凝った演出だと思う。
今は体育館のステージに身を潜めている。
体育館は乱戦があったのか、死亡者が多数雑談している。
死亡者が雑談しているって、変な言い方だけど本当だから仕方ない。
ステージから状況を覗く。
頬に銃弾がかすった。
「ッ!」
バッと身を隠す!
銃だけ晒し、でたらめに撃つ。
当たったような感じはしない。
俺は思い切って姿を晒した!
そこには、同じように銃を構える知弦さんがいた。
「知弦さん」
「キー君」
状況が硬直した。
いつの間にか辺りは静寂に包まれていた。
雑談の声など聞こえやしない。
つついたら脆く砕け散ってしまいそうな静けさだった。
互いの距離は数メートル。
互いが右手に銃を向け、互いが互いに向けあっていた。
引き金を引けばその瞬間、静寂は終わる。
撃てば勝者はいない。
辺りに一触即発のピンとした空気が漂っていた。
「どうしてこうなってしまったのでしょうね」
俺は独り言のようになんとなく呟いた。
「歩く道を間違えたのよ…………私とあなたは違う道を選んでしまった」


それに知弦さんが答えてくれた。
いや、違う道選んだのそっちじゃね?とツッコミたいが、自重。
「もう、引き返せないのですね……」
「ええ……」
「……………」
「……………」
もう言葉は交わされなかった。
引き金は引きたくない。
しかし状況がそれを許さなかった。
次第に勝手に引き金に当てる力が強くなっていく。
それは緊張からなのか、本能からなのかはわからない。
そして銃声が轟いた。






銃弾は飛んでこなかった。
俺も引き金を引いていない。
なのに知弦さんは驚愕の表情をしていた。
そして知弦さんの右腕のランプは、無情にも赤に変わっていた。
「なっ……!」
「知弦さん!」
俺は駆け出して、倒れる知弦さんを抱きかかえた。
そして倒れた知弦さんの上半身を持ち上げるような格好になる。
「何が……起こったの……?」
知弦さんは、訳が分からないと言った感じだった。
「私だよ、知弦」
そこに現れたのは…………会長。
その手には当然のように銃が握られている。
「アカちゃん……!」
「会長、生き残ってたんですか」
「うん。なんかみんな私を狙わなかったの」
そりゃ、会長を撃つのは何かためらわれるよなぁ。真冬ちゃんを倒した俺が言うことじゃないけど。
「やられたわ……!まさかアカちゃんに倒されるなんてね。予想外だったわ」
「さぁ、杉崎。終わりよ」
「くっ!」
手に握っている銃は知弦さんに隠れて撃てない。
勝敗は明らかだった。
……てかさっきからずっとこのパターンじゃね?


「勝敗は決まったようだな」
「真儀瑠先生」
「見たところ、生き残ってるのはここにいる者だけのようだ」
腕時計を確認し、語る。
「じゃあ、私が優勝だね」
銃声が轟いた。
「へ?」
「え?」
瞬間、会長と俺のランプは赤に染まっていた。真儀瑠先生の両手に二丁、拳銃。
「ここにいる者と言っただろう?誰も2人とは言ってないぞ」
真儀瑠先生は右手の緑ランプを見せつける。
一瞬の間
『はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?』
生徒達の叫びが体育館に響き渡った。


「……………」
「……………」
帰路。
俺と知弦さんは言葉も交わさず、心底疲れた表情で帰っていた。
あのバトルロワイアルのせいで、主に精神的に大打撃を喰らったからだ。
あの出来事は、後に碧陽サバイバル(NA〇A提供)と真儀瑠クライシスと呼ばれることになった。
ちなみに真儀瑠先生がバトロワを開催した理由は「だって、私だけ全然でてないんだもん」らしい。
一体何にでてないのか分からないし、何故バトロワなのか、様々に謎だがそんな理由だった。
勿論一千万は更々もないし、俺達生徒達に疲労と精神的ダメージを与えただけだった。
まぁ俺も含めて全員ノリノリだったのは言わないでほしい。
とりあえず疲れた。その一言に尽きた。
帰ったら寝たい。そんなことばっかり考える。
「はぁ……」
疲れでため息ばかり出てくる。
「ねぇ、キー君」
「何ですか?」
振り向くと知弦さんは何だか奥歯に物が挟まった様子だった。
でもすぐに決心したのか、一度小さく頷いて俺を見た。そんな子供らしい仕草にドキッとしてしまう俺はやや病気かもしれない。
「え、えっと、あの時はごめんね。なんというか、場のノリだったの」
俺を襲ったのは場のノリだったみたいだ。何の場のノリかは置いといて。
「あの、キー君。お、怒ってる?」
知弦さんが凄くおろおろしてる!か、可愛い!
やはりギャップ萌えというものは、この世で最も尊きことかもしれん。
「えっと、その……あの……」
知弦さんがあまりにも可愛くあたふたしているので、何だかもうちょっと困らせたくなってきた。決して、S心をそそられたわけではない。
少しそっぽを向き、無言を押し通す。
その態度を、怒ってるとみなしたのか。

「あ、あぅ……怒ってる……?」
と、小声で不安げに言葉を漏らした。
普段の仮面も尊厳もない、失敗した乙女の表情が浮かんでいた。
「ど、どうしよう……」
動揺している知弦さんは、まるで小動物のようで、保護欲をわきたてる。
普段が完璧な知弦さんは、こういう耐性がない事に弱い。そして可愛い。
だが、見ていてちょっと可哀想になってきたので、ここらへんで悪戯は終了。
「俺は怒ってもいないし、知弦さんを嫌いませんよ」
俺が知弦さんの方を見て、ニコッと爽やかに言う。
「もぅ、からかわないでよ」
安心したような、すねたような表情で、しかし腕にぎゅっと抱きついてくる。
今俺は今無性に「萌えーーー!」と叫びたい。
そのまま帰り道を歩く。
いつの間にか疲れはどこかに消えてしまっていた。
夕日の光が、俺達を優しく包み込むように照らしていた。


帰宅。
玄関で靴を脱ぎ、リビングへ行きソファーに座る。
知弦さんは台所へ行き、コップにお茶を注いで飲んだ。
お茶を飲みながら冷蔵庫を開け、言った。
「寂しいわね……」
「そりゃ、男の1人暮らしですからね」
いくら料理スキルを身につけたとは言え、毎日が毎日作っているわけではない。
むしろ冷凍食品の方が多かったりする。
「これじゃ、錬成出来ないわ……」
「錬金術使えるんですか!?」
「あと必要なのは……水と炭素とアンモニアと石灰とリン……」
「貴女は人〇錬成で何しようとしてるんですか!あと冷蔵庫にそんな物求めないで下さい!」
「産まれてこなかった、あの子を、かな」
意味深に下腹をさする。
「勝手にイ〇ミさんみたいな重い設定作らないで!貴女はまだ妊娠したことないでしょう!」
「あら、本当に?」
知弦さんが、意味ありげな笑みを浮かべた。その態度に俺は思わず口ごもる。
「いや、だって……」
「数え切れないくらい、私の中に出したくせに」
「う……」
反論できん!そりゃ危険日とか、危なさそうな日はちゃんと避妊してるけどさ!
世の中絶対にない。知弦さんが妊娠している可能性もある。
そう言われるとこっちとしてはどう返したらいいのかわからない。
「妊娠してたら、どうするのかしらね」
「だ、大丈夫です!俺が責任を持ちます!」
「うろたえながら言われても説得力ないわね」
「うぐ」
なんか俺、ボロボロだ!
端から見てて凄くみっともなく思えてきた!
「よくそれでハーレムなんて目指してたわね」
知弦さんがここぞとばかりにズバズバ言ってくる。
ああ、この人のS心に火をつけてしまったようだ!
「ハーレム王よりヘタレ王ね。この、ヘ・タ・レ」


蔑むような声色。俺の顎に手を添え、見下すような目線はさながら本物の女王様だ。
ゾクッ……
俺の背筋に、何かがが走る。
なんなんだろう、この感覚?
はっ、これがマゾの快感なのか!?
いやいや、俺はノーマルだ!MでもSでもない!
……でも、たまに知弦さんを虐めたくなるし、虐められたくなる気持ちも、ある。
…………なんか思考がぐちゃぐちゃしてきた。
ええい、こうなりゃもうどうにでもなれ!
「俺はヘタレでも、知弦さんを守れる男のつもりです!」
渾身の限り叫ぶ。
「………………?」
返事も罵倒も仕置きも来ない。
不思議に思って、そろーっと、知弦さんの方を見てみると。
―――――――――顔から火が出そうなくらい真っ赤にした知弦さんが立っていた。
「……も、もう!ヘタレ!バカ!」
真っ赤な顔を背けて照れ隠しにしか聞こえない罵倒を繰り出す。
めっっっちゃ可愛ええ!
しかし、あんなくさいセリフでこんなに照れるなんて、純情というか恋は盲目というか、なんとやらだと思う。可愛いからいいけど。可愛いは正義!ツンデレも正義!
知弦さんもやっぱ乙女だなぁ、としみじみ思った。


「んっ!」
そんなことを考えていると、突然やや乱暴なキスをしてきた。
しばらく軽い口づけを交わす。まるで何かの誓いのようだった。
唇を離した後、知弦さんは呟くように言った。
「キー君の……バカ……」
「え?」
知弦さんは俺の顔を見て言った。
その表情は、ドSな女王様でもなく、いつものクールな表情でもなく、1人の純情可憐な乙女だった。
「私を守って、くれる?」
「はい」
俺はこれに即答する。
守るなんておこがましいと思う。
俺はたかが高校生。そんな奴が人1人を守ろうなんて、傲慢だ。
「ふふっ、なら」
知弦さんは微笑み、真っ赤な顔で懇願するように、言う。
「私のこと、一生守ってね?」
俺は頷いた。
なら俺は傲慢でいい。愚か者でいい。好きな人を守れなくて、何が男か。
俺は、知弦さんを守りたい。ずっと、ずっと。
「ふふ♪」
知弦さんは最上級の笑みを浮かべて、俺に抱きついてきた。


「キー君……」
一通りの家事を終え、辺りが段々寝静まってくる夜。
俺と知弦さんはベットの上に座り、見つめ合っていた。ここまで言えばわかるだろうが、今からするのである。
ちなみに知弦さんは制服である。半同棲生活とはいえ、着替えは少しあるが洗濯中。
俺の着替えを渡したら、「制服の方が興奮するでしょ?」なんて言われた。
確かに制服の方が興奮するが……
……なんとも複雑な気分である。察して欲しい。
俺は知弦さんに手を出さずにそのまま見つめていた。
いつも始まる前。厳密には始まるまで、が何度やっても緊張してしまう。
部活の試合の前は緊張してしまうような感じだった。
行為が始まれば緊張なんて全然しないのに、始まるまでは、絶対に慣れる気がしない。
俺は、ヘタレだなぁとつくづく思うが、知弦さんはそれを「可愛い」と言ってくれた。
知弦さんの感覚はよくわからない。
「きて……」
とびきり甘えた声だった。それだけでノックアウトされそうだ。
だがノックアウトする訳にもいかないので、そのままぐっと、肩を引き寄せてキスをする。
数秒間触れるだけのキス。そして、そのまま深いキスになっていく。
舌と舌を合わせ、絡み、嘗め、混ざり合う。
そしてキスに意識が向いている知弦さんの太ももに指をはわす。ピクッと肩を震わせた。
太ももをゆっくり這わせ、内股に近づけていく。さながら虫のような這わせ方をした。
口づけも更に深く、淫猥になっていき、こぼれ落ちた唾液の雫は、内股に触れている俺の手に当たった。
「んっ……ん……ちゅ、くちゅ」


キスの深みが濃くなっていくに比例して、知弦さんの体がどんどん熱くなっていき、発情している女の、ミルクのような甘い香りが漂ってくる。
口づけを終えた頃には、知弦さんは火照り、息荒くしていた。
一体内股を触るのをやめ、次は制服の上から腰に手を置いた。そのまま上に持って行く。
膨らみに当たり、それを触る。
「んっ……キー君。焦らしプレイかしら?」
「ええ、そうです」
「30点ね」
まさかの点数化だった。しかも30点……
「焦らしすぎよ。それじゃ、焦らすというより先に呆れちゃうし萎えちゃうわ」
そこから知弦さんのレクチャーが始まった。
この人こういうことはやたら詳しそうだしな。
にしても、行為中に彼女にやり方を教えられる彼氏って……
どう考えても、情けない。男として自信を無くしそうなくらい、情けない。
焦らしの仕方を教えている知弦さんに、半端いたずらをするように、胸を揉む。
「やっ……ちょっと、キー君。まだ話は、あぁん!」
ぐにゅ、ぐにゅ、と、ゴムボールをほぐすみたいに揉む。
「ほら、早く教えて下さいよ」
意地の悪い顔で、知弦さんを見る。
知弦さんは感じているのか、目を潤ませていた。
「あっ、ん……いじわるっ……」
ふっ、と俺は悪そうに笑い、制服のボタンを外していく。
ブレザーのボタンを外し、リボンをほどく。そして俺はいいことをひらめいた。
リボンを片手に持ち、知弦さんの両腕を上げさせる。勢い余って、ベットにぼふん、と倒れた。
「キー君、何を……」
知弦さんに有無を言わさず、手首を頭の上でクロスさせ、少し強引に、リボンを手首に結びつけた。これで知弦さんの両腕は使えない。
そう……拘束プレイだ!
「もう……変態……」
そう罵るも、抵抗する素振りは見せなかった。


縛られている姿は凄くエロく見えた。
俺はそのままカッターシャツのボタンを外して、前をはだけさせる。
珍しくも、ブラジャーの色は白色だった。
いつも色物を着けている知弦さんには珍しい色だ。
そしてそのブラジャーを外し、素肌をさらけ出さした。相変わらず綺麗だ。
俺は乳房を揉み、愛撫を開始した。
「んっ……あぁ……あ……」
知弦さんの顔が羞恥に歪んだ。
縛られているという、特異な状態に、恥ずかしさを隠せないようだった。
「やっあ……キー君、恥ずかしい……っ」
体をもじもじさせ、羞恥を訴えてくる。
だがそれを無視し、俺は乳房の頂きにある突起物にしゃぶりついた。
「はぁあっ!!」
甘すぎるくらいの叫びを上げた。
はっ、と知弦さんが更に真っ赤になる。
その姿は、ひどくエロティックに彩られていた。
俺は、赤ちゃんのように乳首をちゅーっ、と吸う。そして、犬がするような甘噛みをした。
「やぁ!だめ……吸わないで、かまないで……」
乳首から唇をはなし、舌だけを乳房に当て、脇まで這わせ嘗める。
「ふぅ、ん……あ……そんな、とこ……!」
片手で乳房を揉み、脇を舌で嘗めまわす。
わずかな汗の臭いと、知弦さんの甘い匂いが混ざり合って、なんとも興奮する匂いを発していた。
「あっ……ああ……はぁあん……っ」
そして、乳房を揉んでいた手を、下へ持って行き、ショーツの中に入れた。
梅雨のような湿り気を帯びたショーツの中で、源泉の発生源を触る。
「っああ!」
「んぶ!」
頭に肘鉄が入ってきた!
いきなりの刺激に驚いたのか、無意識に体を縮めた時に上に上がった手を、下に持ってきてしまったみたいだ。
そして、クリティカルヒット!
見事な肘鉄だった。


「あ、ごめんなさい……」
知弦さんは、申し訳なさそうな顔だった。そして、言った。
「ここにヒモを結びつけて」
知弦さんはベットサイドを顔で指す。
口調は命令形だが、声色は懇願だった。
俺は頷いて、余ったヒモをベットサイドに結びつけた。
これで知弦さんの両腕は、完全に動かなくなった。
「続けて……」
俺はもう一回頷いて、愛撫を再開した。
さっきの出来事で、興奮は萎えたかと思ったが、愛撫を開始した途端に再点火した。
もう一度ショーツの中に手を入れ、秘裂をまさぐった。
「んん……あ、あっ……キー、くんっ、んぁ……もっと、もっとしてぇ……」
物足りない刺激で、欲求不満そうに腰を震わす。
けっこうびしょびしょに濡れていたので、
ショーツを脱がすと、知弦さんは、脱がした途端に股を広げた。
俺はモノを取り出し、秘裂に当てる。
「いきます」
「うん……」
ぐっと、腰を押し出し、膣内に挿入した。
「ん……やっぱり、熱い……」
腰を動かし、ピストン運動を開始する。
膣ヒダが、モノを逃がさないとばかりに絡みつき、吸い付く。それをはがして抜き、また入れて、吸い付く。
その気持ちいい作業を繰り返していった。
「あぁっ、あんっ……んっ、んんっ……んっ!キー、くん、いい……」
俺は知弦さんの腰を横向けにさした。片足を持ち上げ、より深い結合へとなる。
興奮が増していき、モノに血液が集まってどんどん肥大化していく。
「ああ、そこ……子宮突いちゃ、ああん!!」
子宮口をぐいぐい押し、知弦さんを喘がせる。
膣から分泌された愛液は、しばし膣内にとどまった後、後から出る愛液に押されるように膣から滴り落ちる。
ベットは、なかなかの大きなシミが出来ていた。


深いピストン運動をし、上りつめていく。
「ああ!!はぁん!いい!気持ち、いいの!はぁっ、はあっ……!」
更に肥大化していくモノは、子宮口が突破されるんじゃないかと心配になるくらいに押しつけていた。
「やぁん!!しきゅうが!押されてる、わ!ぐいぐい、押さないで!」
「知弦さん……もう……!」
「イクの!?私もイク!もう、きちゃう!」
絶頂に達するために、腰の動きが更に激しく、力強くなっていく。
知弦さんの膣内も、更にねっちゃりと絡みつき、離さないようになってきた。
「だめ、だめ!イクーーーーーーっっッ!!!!」
知弦さんが体をのけぞらせ、絶頂に達した。
膣内の締め付けは最大級に、絡みつきは最上級になる。
男のモノの射精を促す動き。
「――――――……………ふぇ?」
だがその蠢きは、俺の射精欲を最高まで導けなかった。
端的に言うと、イケなかったのである。
知弦さんが絶頂に達し、惚けた顔をしていたが、その中にはなんで?と言った感情も混ざっていた。
「………っ」
知弦さんがいきなり乱暴に腰を振り始めた。唐突の刺激に俺はびっくりする。
「キーくん、イって!私の中で出して!」
「ち、知弦さん?」
あまりの乱れっぷりに、俺は少なからず驚いてしまった。
まぁ、俺の前だけだろうがな。絶対に他の奴なんかに見せるか!
「キーくぅん!キーくぅんっ!出して!精液沢山出してっ!あふれるくらいしてぇ!」
知弦さんの腰使いがどんどん過激になっていく。膣ヒダは狙ったように俺の弱い所を攻め立てる。
更に、イった時の愛液が、ローションのように、擦る部分を潤滑にし、ぬるぬるの感触がより快感を呼び出す。
「う……く……!」
余りの快楽に、腰が引けてくる。


しかし知弦さんがそれを逃がさず、器用に膣の蠕動と腰を使って、俺を引き寄せる。
知弦さんの両腕が縛られていなかったら、全身と言う全身を使って、俺を攻めてくるだろう。
それくらいの勢いだった。
「あぁ!また、イクッ!精液ちょうだい!わたしのなかにきて!」
今度は俺も限界だった。
射精欲は極限まで高められていた。
「う……っ!イキ、ます!」
知弦さんが達する前に、俺がイった。
何ともいえない開放感と、快楽が、俺の中を駆け巡る。
「あっ!精液きたっ!やぁっ!あつい!イっちゃうーーーーーっ!!」
知弦さんもまたイった。
膣が精液を求めるように蠢く。
精液は、止まることを知らないくらいに出てきた。
ついには、知弦さんの許容範囲を越えて、秘裂から溢れ出てくる。
「はっあっ……あぁ……」
全身をふるふる震わせ、恍惚の表情で悶えている。とてつもなくエロかった。
知弦さんの両腕を縛っていたヒモをほどく。
知弦さんは両腕が自由になっても身動きをせず、まだ絶頂の余韻を味わっている。
俺は一息つき、モノを秘裂から抜いた。
「あ……」
モノが抜け、詮をする物がなくなり、精液が更に溢れ出てきた。


知弦さんはもったいないと言わんばかりに、溢れた精液を手皿ですくった。
「な!」
そして、それを飲む。
こくり、と、知弦さんの喉が動いた。
なんというか……この人、知弦さんですか?
俺の中の知弦さんのキャラが、もう崩れに崩れまくってるんですが。
別に全然いいけどね!
「ねぇキー君?もう一回しよ?」
「え?」
「今度は私が動くわ」
「ちょ、待って知弦さん!俺は知弦さんと違って、明日学校あるし、もう寝ないと流石にまずいっていうか」
「そんなの何度もしてるじゃない」
「そうですけど。今回はあの事件があったし、心身共に限界っていうか」
「キー君のはヤルき満々みたいだけど?」
悲しいかな、男の性。俺のモノは臨戦態勢だった。
「これは男なら仕方ないです!そんなエロい格好で迫られちゃあ、誰だって勃ちます!」
「今夜は寝かさないわ……」
「きゃああああああああああ!?」
と言うわけで。
今夜は寝れませんでした。
学校で大変な思いをしました。
……っていうか、いつもこんなオチばっかじゃね?

参考情報

前編(中線まで)は2010/06/29(火) 08:22:15~2010/06/29(火) 08:30:06で13レスで投稿。
後編(中線から)は2010/08/25(水) 16:29:57~2010/08/25(水) 16:43:36で20レスで投稿。
ユーリさんの生徒会の一存のエロ小説を創作してみるスレで8作品目。


  • 最終更新:2010-09-27 03:25:43

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