一星龍さんの小説18

本文

ずっとずっと知っていた筈だった。
分かっていた筈だった。
何かと出会ったりしたら別れが来るって
楽しい事があったら、悲しい事が必ず来るって。
知っていたのに、分かっていたのに・・・・忘れていたんだ。
あんなに悲しい事があったのに、忘れていたんだ。
「どういうことだ、杉崎鍵。」
夜・・・・と言っていいのか微妙な時間帯。空が夕暮れ色から黒くなる手前のような時間帯。
俺は枯野と向かい合っていた。
「・・・・・・・・。」
「取引では、一週間ほど前に君が退学するはずではなかったかな?」
「・・・・・・・・。」
「ふむ、だんまりは良くないと思うがね・・・・・。」
そう、俺はもう一週間も前に退学するはずだった。
ある取引を俺が持ちかけた。
この学園の秘密『流行発信基地』としてシステムを知った俺は企業にとって邪魔で仕方がない。
企業はすぐにでも報復活動をするような連中だ。暴力的とか凶暴とかっていう問題じゃなくて、単純に利益のためであり自分自身のために。
だから、俺は取引を持ちかけた。俺が退学をする代わりに企業は学園に介入するなと言う取引。
穴だらけだったが、当初の目的としては生徒達にそれとなく俺たちの小説でこのこと知らせ、なんとなく創作として分からせ、最後に生徒全員を集め、枯野を追い詰める・・・・・はずだった。
だけど、出来なかった。
理由は会長だ。
俺が退学をしようなんて知ったら確実に首を突っ込んでくる。
会長には、この件には関わって欲しくなかった。
彼女を失いたくなかったから。
会長に知らせないように隠れてやる事だって可能だが・・・それには時間が足りなかった。
平たく言うと俺は学校と会長を天秤にかけている状態だった。
気が付いたら、タイムリミットを大幅に過ぎていた。
「君は少なくとも学生という枠に括ったら割とまともな人間だと思ったが、過大評価しすぎたみたいだ。」
「・・・・・・・・・。」
今の俺がこいつに何を言っても通じない気がして黙るという事しか出来なかった。
それはそれで枯野を不快にさせているような気もするが。
「まぁ、私としてもこの一週間、君が動かないでいてくれていろいろと考え直す時間が取れて私としてもとても僥倖だったよ。」
「・・・・・・・・・何の話だ。」
「君にとって穴だらけのこの提案。私はずっと黙っていたのだが・・・・ふと変に思ってな。何故君ほどの人間がわざわざこんな提案をするのかと思ってな。いろいろ調べなおしたんだよ。そうしたら、こんな面白いものが見れたよ。」
枯野が懐から生徒会の三振、四散を取り出した。
「市場した本を買って読んでみたが・・・・・まさかこんな事をされるとはな・・・・・隠蔽されたプロローグ、エピローグ・・・・。どういうことか説明してもらおうか。」
「・・・・・・・・お前・・・・。」
やばい・・・・・目論見が完全に外れた。
「本来なら、私をここまで侮辱したと言う事に対して何かしらするつもりだが・・・・まぁ許してやろう。」
「・・・・・・何が目的だ・・・?」
「目的?」
「お前がこんな何もお咎め無しってのはどう考えてもおかしいだろ?」
「くくくくく・・・・強いて言うなら・・・・君の持ちかけた取引。ちゃんと守ってもらおうか・・・・?それだけでいい。」
「・・・・・・。」
「その沈黙は肯定と受け取っても構わないかな?」
そういって確認もせずに枯野は生徒会室を出て行った。
「・・・・・・・・くそっ!」
壁を思い切り殴りつけた。
「畜生・・・・畜生!!畜生!!!」
俺は、何でこんなにも、こんなにも無力なんだ!!
いつもそうだ、林檎と飛鳥の時だって俺は何も出来なかった。
今度も何も出来ないのか?俺は・・・・俺は・・・・・。

いつもどおりの普通の生徒会。そういつもどおりの。
だからも俺も昨日の事なんてわすれていつもどおりふるまわなきゃいけない。
「皆~。見てみて。今日私クッキー作ってきたよー。」
「アカちゃんが料理するなんて珍しいわね。」
「そうなのか?知弦さん。」
「ええそうよ。アカちゃんは・・・ほら、駄目な子だから。」
「本人を目の前にしてそういうこと言うなっ!!」
「という事は・・・ああ、なるほどキー君の為ね。」
「っ!!ち、違っ!!」
「ああ・・・赤くなっちゃって・・・可愛い。」
「やっ!ちょっ!抱きつかないでよ~!」
「(モフモフ)」
「ああっ!?知弦に食べられる~!」
「あ、このクッキー。会長さんが作ったにしては美味いな。(ポリ)」
「(ジ~~~~っ)」
「ん?どうしたんだよ真冬。そんなにクッキー見つめて?」
「いえ・・・・どうやったら杉崎先輩と中目黒先輩の二人でこのクッキーでキャッキャッウフフ出来るのかなぁって考えていて・・・。」
「私のクッキーをそんな腐女子的な目線で見るなぁっ!!」
「真冬から腐女子的な目線をとったら、真冬じゃなくなります。」
「いや、そうだろうけど!」
「杉崎先輩にお似合いなのは会長さんなんかじゃなくて中目黒先輩なんですよ!!」
「なんか物凄く酷い事言われた!!!」

どうにか自然に振舞おうするがやっぱりどうしても昨日の事がちらついてどうにも俺らしく出来ない。
溜息をついたら口に何か突っ込まれた。
「ふも・・・・っ」
「ほら、杉崎。あんたもクッキーいるでしょ?」
「あ、はい・・・・会長・・・・。」
「もう、今日の杉崎ノリ悪いよー。もっと弾けなきゃっ」
「弾けてどうするんですか・・・」
「弾けて、ドーンッ!!!」
「それ、吹っ飛んでます。」
気付いているのか気付いていないのか、分からないけれど、やっぱりこの人は凄い。俺の様子を見てここまで気を使えるのだから。

生徒会が終わって帰り道。いつものように知弦と一緒に私は帰っていた。
「ねぇねぇ、知弦。今日の杉崎おかしかったよね?」
「おかしかったって何が?」
「へ?何がって・・・気付かなかったの知弦?」
「いつもどおりのキー君だったと思うけど?」
「いやだって・・・どう見てもおかしかったでしょ?なんと言うか、妙に静かだったし・・・なんかその、一度も目も合わなかったし・・・。」
「・・・・アカちゃん。キー君のこといくらスキだからって、目が合わない程度で不貞腐れないの。」
「そういうことじゃないよ!!普通話してたら目を合わせるでしょ!!」
「ああ、そういうこと。でも、私が見た分にはキー君いつもどおりだったと思うわよ?確かに最初にアカちゃんがクッキーを口に突っ込むまでは静かだったと思うけど、あれは話を降らなかったからだし。」
「でも、私がクッキー作ってきたら普通に騒ぐと思うんだけど・・・・。」
「まあ、それもそうだけど・・・キー君も大人になったんじゃない?」
「・・・・・・・・・。」
知弦の言っている事が分からないわけじゃない。確かにその場合もあるかもしれない。でも私はどうしても杉崎の様子がおかしいとしか思えない。何かに追い詰められてるみたいな、決断を迫られているみたいな感じがする。
あいつは何でも自分でしょって、しまいこんで、勝手に片付けてしまうような人だから、私が頑張ってサポートしてあげないと。うん!そうだよね、杉崎ばっか無理させちゃいけないよね!
「というわけで、杉崎に応援のメールを送っておく事にするよ。」
「何がというわけなの・・・?」
「知弦が分からなくてもいいよ。そう、私だけわかっていればいい!!」
「ちょっと今一瞬絞め殺したいと思ったわ。」
「何気にさらりとそういう発言は怖いからやめてぇ!」
「三割冗談よ。」
「やばい。七割本気だ・・・・。」
ともあれこれ以上話してるとメール送れなそうだし、携帯を出してメールを打とうする・・・・・けど、伝えるべき言葉が思いつかない。
杉崎が喜びそうな言葉・・・・・・・・I love you?
・・・・・
ボンッ!!!
「あら、アカちゃんどうしたの。顔真っ赤にして?」
「な、にゃっ!なニュニュにゅわにゃのんふぇhごいえghwろいっ!!!」 
「ええ、何にもないって言いたいのね。分かったわ。そういう事にしておくわ。」
「エスパー!!?」
「知らないの?女は皆エスパーなのよ?」
「し・・・知らなかった・・・・。」
じゃあ、杉崎にそう言っておこうかな・・・・・女は皆エスパーなんだよ!
・・・・・
何を伝えたいのか意味が分からない・・・・。
「う~ん・・・・何か杉崎が喜びそうな言葉・・・・言葉・・・・・。」
私のそんな呟きを耳にしたのか知弦は
「・・・・・・・・・・もう、普通に元気だせっていっておけばいいんじゃないかしら・・・・。」
と言った。
・・・・・
「それだよっ!!!」
「わっ・・・・・いきなり大声出さないでよ、アカちゃん。」
「さすが知弦!180キロ、ドストライクだよ!!うん、それにしとく!!」
「・・・・・・・ホントアカちゃんはいつでも元気ね。ある意味羨ましいわ。」
「?どゆこと?」
「分からないなら別にいいわ。」
「あっそ。・・・え~っと・・け・・・け・・・け・・・か・・・き・・・く・・・け・・・・げ・・・・ん・・・ん・・・ん~・・・・・。」
それから、10分後・・・。
「て・・・て・・・て・・・・・て~・・・。」
「・・・たかが『元気出して』ってメールを打つのにどれだけ時間かかってるのよ・・・・。」
「だって、メール打つの苦手なんだもん。」
「・・・・代打ちする?」
「・・・ううん。いい、頑張る。」
「そう・・・・・・あ、アカちゃん。横断歩道だから気をつけてね。」
「うん・・・・・・。」
「って、言ってる傍から、コラ。」

「わっ!」
知弦に手を引っ張られた。目の前を見てみると車がビュンビュンとそれはもう凄く走っていた。
「あ・・・危なかったっぽい?」
「ぽいじゃないわよ。ぽいじゃ。」
「てへへ・・・・ごめんね。知弦。」
ほんとに危なかった。後もうちょっと前出てたら引かれていたかもしれない。てへへとか言ってたけど笑い事じゃないと今気付く。
「じゃあ、引き続き、メール打つよ!止まりながら。」
「メールを打つのをまず止めない?」
「そんなに心配しなくても大丈夫だよ!」
そういってメールを打つ・・・と言っても後は送信すれば終わりなんだけど・・・・。
「よし!じゃあ、送し――――。」
送信しようと真ん中の決定ボタンを押そうとしたその時。
背中を誰かに押された。
かなり強い力だったからその拍子に携帯を落としてしまう。
もちろん私も前に飛び出るような形で飛び出してしまう。
そして右から走ってくる大型トラック。
「アカちゃん!!!」
知弦の叫び声が聞こえる。
走馬灯とか、そんなのを思い出す前に私は・・・・・。

キキィ ――――――――――ッ!!!!!!ドンッ!!

夕暮れの生徒会室。
ここは昨日ともう違う場所だった。空気が違ったそれだけなのに、全てが違った。たった一人いなくなっただけなのに全てが変わってしまった。
俺のせいだ。
おそらくは企業が仕組んだ罠。
だが、証言によると押した人物は偶然だと警察で処理されそれほど重い罪にはなってない。
別にそんな事に腹を立てている訳ではない。自分の不甲斐無さに何よりも腹を立てていた。
全部、俺のせいだ。
結局俺は人を一人として助けられない。この幸せな空間さえも守れない。
畜生・・・・畜生!!!
壁を思い切り殴りつける。何度も、何度も。
腫れたって血が出たって何だって構いやしない。
そうしないと気持ちが整理できなかった。どうしようもなかった。
そして、今日は生徒会がないから開くはずのない生徒会室のドアが開いた。
ドアの先には・・・・枯野がいた。
「・・・・・・何の用だ・・・・。」
「何の用とはずいぶんご挨拶だな。杉崎鍵。」
「・・・・・退学の事なら。近い内に答を出してやるから・・・・。」
「ふむ、そうか。その言葉、昨日聞きたかったよ。それならあんな無駄な事をしなくても良かったか・・・・。」
「無駄な・・・事だと?」
「ああ、そう言えば、ご愁傷様だったね。生徒会メンバーが一人交通事故で亡くなったとか・・・・。」
「・・・・・何故、それを知っている。そのことは・・・・生徒はおろか、教師だって全員が知ってるわけじゃないのに・・・。」
「おや、これは失言だったかな?」
今の交通事故で死んだ事を知っていたこと。昨日の無駄な事、そして今の失言という言葉・・・・・つまり・・・・それは・・・。
「お前・・・・か?」
明らかに条理が通り過ぎている。だから・・・。
「お前が・・・お前が・・・・。」

「知弦さんをあんな目に合わせたのか!!!?」
「枯野の胸倉を掴み脅すように半狂乱の状態で叫ぶ。
「ああ、そうだが?」
俺の頭の中でブチっと言う音がした。
頭の中で赤い衝動に駆られていた。
「てめぇぇぇぇッ!!!!!!」
そして気が付いたら枯野を殴りつけようとしていた。
こいつが・・・こいつが・・・・!!!・・・・・こいつがっ!!!!
「動くな。」
俺のこぶしがあと寸での所で届く所で、眉間に何か当てられ拳が静止した。
当てられたもの・・・・それは・・・銃だった。
「悪いがモデルガンでもなんでもない。本物だ。本当に殴っていたらこれを使っていただろうな・・・・その拳を下げたまえ。打たれたくなかったらな。」
今も、中は眉間に銃口を当てている。俺は・・・・手を下げるしかなかった。
「くっくっくっく・・・・。そうだ杉崎鍵。貴様にいいことを教えておいてやろう。本来死ぬのは桜野の方だったのだよ。だが・・・紅葉に助けられ辛くも生きているが、きっと自分が殺したと思い自分を責めてるのだろうな。まあ、それもこれも貴様が約束を破るような事をしたからだからだがな。言ったはずだろう?企業は利益のみを求め、それの邪魔は排除すると。杉崎鍵、貴様は邪魔なんだよ。」
そういって、枯野は生徒会室を出て行った。
「畜・・・・・っ生!!」
「畜生っ!!畜生っ!!!!」
明らかに指の感覚がおかしいとは思った。だが、それでも俺は何かに当たりつけないときが済まなかった。
ふと、枯野の台詞がリフレインする。
『きっと自分が殺したと思い自分を責めてるのだろうな。』
そうだ、会長だ。会長がどうなっているのか、俺はその事を知らない。
今日学校でも見なかったという事は休んでいるのかもしれない。
「会長の所に行かないと・・・・。」
なんとなくだが・・・・俺には分かる。今あの人は、泣いている。

会長の家に着いた。
だが、おかしい。夕方とは言えどまったく人の気配がしない。
正確に言うなら、会長の気配しかしない。

いや・・・うん・・・その辺は俺の美少女感知レーダーで・・・。
と、とにかく、会長しかいないのなら尚更、慰めてやらねばならない。
ピンポーン。
どうでもいいがこの俺の心境でこの間の抜けた音はどうかと思う。
で、インターホンを鳴らしたが反応はない。
「会長!?いますか、会長―!?」
声で呼びかけても反応はない。
だが、二階の窓のカーテンが開いていて、その隙間から、会長の顔が見えた。目が合った瞬間に引っ込まれたが。
「会長!いるなら出てきてくださいよ!会長!」
ドタドタドタという音がしばらくしたら出てきた。
そして鍵が開く音がする。
「・・・・・す、杉崎・・・どうしてここに・・・いるの?」
「会長・・・その・・・」
「あっ、でも杉崎あが来てくれたんだから御もてなししなくちゃね!待ってて!」
会長は笑っていた。
でも、眼が腫れていた。
眼が赤かった。
明らかに造り笑顔だった。
「会長。・・・・そんな気丈に振舞わなくてもいいですよ。」
「なっ・・・・何言ってるのよ、杉崎。私はいつもどおりで・・・。」
「別に俺の前だからって気丈に振舞わなくてもいいですよ。俺の意味がなくなるじゃないですか。だから、俺の前だけはそんなに強がんないで下さい。」
そう言ったら、会長は抱きついてきた。
「ゴメ・・・っ・・・ん・・・・すぎっ・・・さ・・き・・・にだ・・・・けは・・・・心配・・・・かけさせ・・・たく・・・・っなくて・・・ひっく・・・ごめ・・・ん・・・っ・・・ね・・・ぜん・・・ぶ・・・私・・・・がっ・・・悪いの・・・・っ・・・グ・・・・ずっ・・・・・ご・・・め、ん・・・ごめ・・・・んっ・・・・ねっ・・・・・・。」
会長はただ泣いていた。
そうだ、企業の事を憎んでいてもしょうがない。
俺の愛すべき人を・・・・会長を・・・・桜野くりむを・・・・守らないと。
俺は英雄じゃない。だから決して多くは守れない。
だけど、大切な、一番大切な一つだけは何をしても守って見せる。
この人を傷つけた奴を許すわけにはいかない。
手段は選ばない。
そう、

手段は選ばない。

「アカちゃん!!!」
誰かに押されたのか、もしくはそうでないのか私には分からない。けど、今アカちゃんが車に轢かれてしまうかもしれないというのはよく分かった。
頭が真っ白になる。頭では理解できるのに体が動かない。目の前で人が死ぬかもしれないのに私は声を荒げる事しかできなかった。
動け、動け、動け、と思っているのに恐怖かそれとも既に私の反射では動けないほど時間がないのか。分からない、だけど三歩・・・いえ二歩・・・思いっきり行けば一歩、一歩でいい。一歩動いてアカちゃんの手を引っ張れば、それで助かるのだから、動いて。動いて・・・っ。
手を伸ばし、あと数メートルの距離の中私の手は空気を切る。
時間が遅く感じ、動いているはずなのにとても遅く感じる。
あと少しでいい、少しでいいから速く、速く動け・・・・っ
そしてその手は彼女の手を掴む事ができた。
アカちゃんの手をやっとの思いで掴む。ただ掴んだだけじゃ、私もアカちゃんもお陀仏となる。アカちゃんの手を思い切り引っ張って、後ろに戻す。
「キャッ!」
アカちゃんの小さな悲鳴が聞こえる。その悲鳴に少しだけ罪悪感を覚える。
だけど後は私が戻れば良いだけだ。そう思った矢先。

急に時間が早く感じた。

いや、それは誤用だ。遅いと感じていたのが普通の速度になったのだから。
そもそも、時間は遅くなったなんて事はなかったのかもしれない。
私がそう感じただけで実際は変わってなかったのかもしれない。
気付いた時には、私の目の前には背丈数倍はあろうかというトラック。
時間は遅くも早くも止まりもしなかった。

「杉崎。あのね、私の話・・・聞いてくれる・・・・?」
会長は暫くしたら泣き止み、自室のベッドの上でちょこんと座っていた。
そのさまは普段の俺なら萌えだの可愛いだのはやしたてだだろうが、事が事、事態が事態なだけに、そんな事は出来なかった。
「ええ、なんですか会長。その話って。」
俺はできるだけ優しく、会長にそう答えた。
「うん。・・・・あのね、杉崎・・・・私。」

「・・・・・両親がいないんだ・・・・。」

空気的にも場的にも、重い話がくるのは予想できたが・・・・いきなりの親がいないという告白。俺が想像していたよりもヘヴィな内容だった。
「・・・・・・・・・ごめん、いきなりこんな話したらびっくりするよね。」
「いえ、別にびっくりしている訳ではないんですが・・・・。」
まあ気分的にはびっくりというよりも呆然という方が適切だと思う。
会長は再び口を開けて話し出す。
「私のお母さんとお父さんがは私が小さい頃・・・・・多分6歳くらいだったと思うんだけど、そのときに交通事故で死んじゃったんだ。初めて聞いたときは子供だったし、何にも理解できなかった。でも、明らかに可笑しいって分かってたんだ。いる筈のお母さんとお父さんがいなくて私の傍にいるのは一度か二度くらいしか会ってない親戚の人達。最初の内は知らない人がいて、引っ越して知らない場所で楽しい時間を過ごしてた。でもそれはお母さんとお父さんがいつか迎えに来てくれるって思ってたから寂しくなかった。でも一週間たっても、一ヶ月たっても、一年たっても二人は迎えに来るどころか、親戚の人達は話さえもしなかった。だから聞いたんだ。『お母さんとお父さんはどこ?』って。・・・・・今でも、伯父さんや伯母さんが難しい顔していたの覚えてる。『二人は天国に行ったんだよ』って言葉も。天国言ったって事は二人とも良い人だったていう事だから私は喜んでた。でもそれは死んだって事だって分かったら、心にぽっかり穴が開いた。もうお母さんともお父さんとも会えないんだってその時になって気づいたんだ。もうお母さんと一緒にホットーケーキ作って食べる事も、お父さんが買ってくれたグローブとボールでキャッチボールすることも出来ないんだって。そう思ったら涙なんかでないほど悲しかった。泣きたかった、二人の死を悲しみたかった・・・っ。でも・・・・そんなの出来ないくらいに・・・・・・もっと、悲しかった・・・・・っ。だからその時に決めたの。もう誰とも仲良くしないって。仲良くしたら分かれるとき、凄く悲しいって知ったから、それなら、もう悲しい思いしたくないから。もう誰とも仲良くしないって心にそう決めたの。」
会長の目には再び涙が溜まっていた。俺は止めるべきか悩んだ。会長に悲しい思いをさせたくないから。
「じゃあ、なんで壁陽で、知弦さんという友達を・・・いやなんで生徒会長になって・・・・それに俺なんかと付き合ってくれたんですか?」
会長に俺はそう問いかける。
「・・・・・・・壁陽にはね、思い出があったんだ。お父さんとお母さんがこの学校を卒業したから。心に穴が開いた私のたった一つの夢で目標だったから。中学のとき必死になって勉強してそれで元々いた、二人が死ぬ前まで暮らしてたこの家に戻ってきたんだ。一人暮らしで寂しかったし、不便だったけど二人のことがちらついて、そう思ったら何が悲しくて、寂しいのか、わかんなくなっていた。そして、その時に、知弦と会った。知弦は優しかった。初めて、あんなに優しく接してくれた。親戚の人だって私と接するのは私が可愛そうだって同情する人達ばかりだった。でも、知弦は違くて、知弦だけは私のことを真剣に見ていてくれた。そして、そんな知弦が私に・・・・生徒会って場所をくれた。私は一年生の時は目立とうとしなかったから、生徒会のメンバーじゃなかった。だけど二年のときは知弦といたせいか、結構目立っていて生徒会メンバーになった。深夏や、りりんさんや、小夜子さんとはその時知り合った。毎日がとても楽しかった。私の心の穴が埋まっていくようだった。何にも色のない私の生活に知弦は、生徒会の皆は、それに杉崎も色をくれた。」
「俺もですか?」
「そうだよ。杉崎は私に、好きになるって事を教えてくれた。今年の生徒会も杉崎がいて、知弦がいて、深夏がいて、真冬ちゃんがいて、とても、とても、もしかしたら人生で一番楽しいときだったかも知れないってくらい、楽しかった。でも、やっぱりね、私から知弦はいなくなった。やっぱり、私はこうやって大事なものがなくなるのをただ見ているしかないんだって、知っていたのに。またおんなじことを繰り返してた。もう、どうでもよくなってくるよ。知弦も、生徒会も、何もかも全部・・・・・・。無くなる位なら、失う位なら、こんな悲しい思いする位なら、もう最初から一人でいれば良かった。」
会長が全てを話し終えた。

「・・・・そうだよ。その通りでしょ。」
「確かにそうです。・・・・だけど・・・・。」
俺は会長の前までズイっとより、そして

パシンッ

会長の頬をぶった。
「へ・・・・?」
ぶたれた事に一瞬気が付いてない様子だが、俺はそんな会長に。
「会長。確かに、俺なんかと会う位なら会わない方がいいかもしれません。だけど・・・・。知弦さんと会ったことを。深夏や、真冬ちゃんと会った事を、何よりこの生徒会のことを最初から関わらなければ良かったなんて言わないで下さい。俺は会長に救われました。飛鳥と林檎の話を聞いてくれて、答えてくれて、俺は相当感謝しました。会長、人と人との出会いは別れがあります。その別れはとても悲しいものです、でも、だからって、それに負けて人との出会いに怖がらないで下さい。少なくとも俺は会長と会えて、良かったと心からそう思いま―――――っ。うぉわっ!」
言い切る前に会長は抱き着いてきた。
「分かってる・・・・っ・・・・分かってる・・・っ・・・・よ・・・私だって、そんな事・・・わかって、るよ!!・・・・・私だ・・・・・って・・・・皆・・・と・・・・仲・・・よ・・・く・・・したい・・・よ・・・っ・・・!!でも・・・おと・・・ぅ・・さん・・・も・・・おかあ・・・・・・・さんも・・・・・・・・・ち・・・・・・・・じゅ・・・るも・・・・みん・・・な・・・皆・・・・いなく・・・・・・・・なるの・・・怖い・・・・の・・・っ・・・・!!すぎ、さき・・・も・・・・いつか・・・・いな・・・・・くな、るって・・・おも・・・うっ・・・とっ・・・・こわ・・・くて・・・・から・・・だ・・っ・・・ふる・・・・えっ・・・て・・・・どうしよ・・・もっ・・なく・・・な・・・るっ・・の!!・・・・・一人は・・・・・もうや・・・・・・・・傍に・・・・傍に・・・い、て・・・すぎ、さきぃ・・・っ!!」
会長はただ子供のように泣きじゃくっていた。でも俺の頭にちらつくのは・・・・・枯野。
「会長。少しの間・・・・ここで待っていてください・・・・。」
「ど・・・どこ・・・い・・・く・・・の・・・・っ?すぎさ、き・・・っ・・・!」
「大丈夫です。明日になったら全部元通りです。」
精一杯の笑顔で微笑みかける。
「全部のけじめ、終けてきます。」
そういい、俺は学園へ向かう。
待ってろよ、枯野。
俺の彼女を泣かせた罪は

かなり重いからな・・・・。


「こんな時間に呼び出して・・・・何のようだ?杉崎鍵。」
現在の時刻、普通に7時なのだが、普通に学校には入れている。不思議に思うがセキュリティ面も企業がいろいろと助けているので普通に体育館の舞台の上にいることが出来た。
なんにしても、この舞台の上というのはとてもこちらに分がある。
「俺の・・・・・退学の件だ。」
「そうか・・・・・もう退学届けは出したのか?」
「ああ。」
「という事はもう君はここの生徒でさえないという事か・・・・・・。」
彼のが顔を手で押さえ含み笑いをする。
「ふ・・・くくくくく・・・・ようやく、君という一番の邪魔な因子が消える。そういうことか・・・。」
「ところで、俺の持ちかけた取引。覚えてるだろうな?」
「取引?」
「しらばっくれてんじゃねえよ。俺の持ちかけた取引、俺が退学する代わりに、お前たち企業は、もうこの学園に関与しないという取引の事だ。」
「ふ・・・・・当たり前だ。これはビジネスだぞ?その取引の事は勿論覚えているとも。ここにちゃんと言おう。我々企業はもうこの学園には関与しない。」
枯野は俺の眼を見てそういった。
俺は奴の目を見た。
最後ぐらいは・・・・信じたかったんだけどな。
腐ってる奴は結局最後まで腐っていた。
「そうか・・・・だけど違うだろ?お前の本心。お前の腹の中はそんな事考えてないだろ?」
「・・・・・・・何故、そう思う?」
「てめえも知ってのとおり俺はわざと穴のある、こんなスカスカの提案を持ち出した。そして一昨日、お前はわざわざこの提案に穴があることを指摘してくれた。だからこそ、俺はこの取引、お前は少なくとも利益のみのために動いているわけではないと知った。まあでも、利益が一番だろうがな。だけど、昨日、知弦さんが死んだ事。お前はあっさり自分が関与している事をばらした。ピカンときたよ。やっぱりてめえは利益優先で動くってな。俺を退学させるがために知弦さんを殺すなんて・・・どう考えても私利私欲、利益しか考えてない者の考えだ。違うか?」
「・・・・・・・だが、結局のところ、そういうのは信頼問題であろう?」
「だな。だけど、俺はさっきお前が関与しないと言った時お前の眼を見た。お前の眼はどう見ても腐ってんだよ。・・・・いや、そもそもお前の目が腐っていても、どれほど善行を積んだいい人でも、知弦さんを殺した時点で・・・・てめえの信頼なんて俺にはひとかけらも残ってないんだよ。」
「くっく・・・・ハハハハハハハ!!!!!!そうだな。その通りだ!貴様の言うとおりだ。人殺しをした人間に誰が信頼を寄せるというのか。確かにそうだ。だが・・・・それでどうする?貴様が私を信頼しようとしまいとどっちでもかまわない。取引は貴様が退学しない限りは私たちはこの学園に関与し続ける。それどころか、貴様の周りの人々を私は躊躇なく傷つけるぞ?」
「だろうな・・・・・。だからこそ・・・・今俺はこんなものを持っている。」
俺は自分のポケットから、石を出す。
その石は、企業関係者ならば誰でも知っているであろう物。
枯野が途端に険しい顔つきになる。
「何故・・・貴様がそれを持っている・・・・・いや・・・・それの存在を知っている・・・!?」
「お前も知っての通りこれは『流行発信基地』としての役割を果たす・・・というかこれがないとその役割が果たせない。そういうものだろ?この石は。」
俺がポケットから出したもの、それは『流行発信基地』は場所ではなく、今俺が持っている意志のある場所にのみ役割を果たす。要するにこの石こそが『流行発信基地』という事だ。
「だから・・・・何故っ!貴様がこれを持っていると言っているのだ!!」
枯野が血相変えて詰め寄ってくる。
「俺の頼れるGTMが力を貸してくれたんでな。」
「・・・・真儀留・・・・紗鳥か・・・っ!」
「御明察。」
てかGTMでよく分かったな。
「貴様・・・・・・・それを返してもらおうか・・・!!」
「お前の態度にもよるな・・・・・。」
「・・・・何をどうしろと言うのだ・・・・。」
「俺の退学は無し。それでいて企業の撤退でOKです。」
「なっ・・・・!?ふ、ふざけるなっ!!そんな事では企業の利益がなくなるではないかっ!!!」
「ええ。だから、真儀留先生と理事長は残してそれ以外は撤退。それで十分利益は守れると思いますよ?」
枯野が激情に駆られた顔になっていたが途端に落ち着いた顔になり
「・・・・・・もういい。最初から貴様のような子供と取引したのが間違いだった。」
懐から銃を出そうとする。

「おっと待て。それ以上動くな。動くならこの石を割るぞ?」
俺も懐からペンチを出し石を挟む。
「・・・・それがどうした。貴様にその石が割られようと割られまいと私は貴様を割る前に打ち抜く。どこかの馬鹿のように私はこれを脅しの道具としては使う気はない。これは凶器だ。それ位私には分かっている。」
「・・・・・へえ・・・。」
・・・・・・・・・やばい。こいつが普通の馬鹿のようにあくまで獣を脅しとして使うようなら潰しやすかったが、こいつは銃を覚悟を持って構えている。とても、潰しにくい相手だ。
「最後に言ってやる。それを渡せ。」
「退学無しであんたらがいなくなるならいくらでも渡してやるよ。」
「それは出来ない。言う事を聞かないなら、撃つ。」
枯野の指に力がこもる。・・・・ヤバイ・・・かも・・・・。
「お前こそそいつの言う事を聞かないなら私が撃つぞ。」
枯野の後ろから声がした。声の正体・・・それは・・・・。
「真儀留・・・先生・・・・・。」
「枯野。一応そいつは私の生徒だ。傷つけるというなら私こそ貴様を殺すぞ?」
余談だが、真儀留先生の銃を構える様はとてもかっこよかった。
「貴様も・・・・何故ここにいる・・・・。」
若干呆れ半分な口調で枯野が問いかける。
「普通に考えろ。杉崎がその石をもっている時点で私がこの学校にいるくらいの可能性を示唆できるはずだと思うが?」
「という事は・・・・こいつは今しかたこの石を取ったという事か・・・・。」
「正確には私が取ったんだがな。」
「・・・・別にそんな事はどうでもいい。それよりも貴様が企業にしたこと。十分な裏切りと認識するがそれでいいか?」
「なぁに。貴様を今ここで潰せばどうってことはない。」
「・・・・・・それが出来ないと何度言ったら分かる!!!!!!」
枯野が瞬時に俺の背後に回り、こめかみに銃口を突きつける。
「っ!!」
「動くなっ!!動いたらこいつのこめかみに風穴が開くぞ!!」
といわれ真儀留先生は停止する・・・・ってかこれなんていう24?ジャッ○・バウアーはどこ?
「さて、杉崎鍵。交渉を再開しよう。貴様の持っているその石を返せ。」
「交渉って言うか命令だな。」
「答えろ。返す気はあるのか?」
「俺の用件聞く気があるならそんな気も湧くけどな。」
「・・・・・残念だよ。」
あ、やばい。これ死ぬわ。死ぬわ~~~。HAHAHAHAHAHAHA・・・・ってやばい死ぬ!!!!!?
枯野の指に力がこもる。引き金引こうとする。
真儀留先生もダッシュして来るが多分、間に合わない。
俺は人生は・・・終焉をむか―――――。

「杉崎っ!!!!」

える前に誰かに押された。
その声はとても聞き覚えのある声だった。
ミニマムな声だった。
一言で言うと・・・・会長だった。
ズサササーと俺と会長は舞台の上をスライディングする。
それと同時に枯野は引き金を引き、発砲する・・・が既に俺はいないので当たらない・・・というか空砲だった。
「確保ぉぉっ!!!!」
その声と共に真儀留先生は枯野にタックルし、関節技で・・・・・・・・後のことは大体察して欲しい感じになった。
「枯野よ・・・・いい事教えてやるよ。その銃な。企業が配ってるけどぶっちゃけ思いっきり銃刀法違反なんだよ。」
「な・・・っ!!?じゃ・・・・・じゃあ・・・き、貴様の持っているそれは・・・・・!?」
「あ、これ?水鉄砲。」
ピューと枯野の顔に水がかかる。
「お前も知っての通り、銃を不法的に持つなんてことしでかしたら普通につかまるわな。まあ銃刀法違反。そこまで思い罪ではないが、警察に捕まった時点でお前はクビだろうな。」
「なっ・・・貴様・・・初めからそれが目的で・・・・っ!?」
「うんにゃ。確かにお前の事引き摺り下ろそうかとは思ったけど、ぶっちゃけ、紅葉を殺した時点で私の堪忍袋は当に切れてんだよ。残念だったな?という訳でおまわりさ~ん。Come!!」
舞台袖から、警察の日地が数名現れ、枯野を連行して行った・・・・。いや、うん、初めから待機してたなら助けてくれよ。
「さて杉崎、ついでに桜野。」
まあ、空気的に説教かなと思っていた。思っていたが・・・。

「椎名たちが生徒会室にいる。だから行ってこい。」
「え・・・・何故?」
「それは、私が企業のこと粗方全部話したからだ!!!」
「おいぃぃっ!!!!あんた何やってんだぁっ!!!!」
「教師だが?」
「そういうこと言ってんじゃねえよ!!」
「まあぶっちゃけ私が説教してやってもいいんだが、不満のある奴らにしてもらったほうがいいだろ?」
「そ、そうだよっ!!!いきなり出てくからなんだろうな~と思って付いて来たらリアル24の場面かと思ってびっくりしたよ!!ってかさっきの何!?」
「ほら、桜野もここでなくて椎名たちと一緒にこいつ締め上げてこい。」
「・・・・・・は~い。」
「・・・・・って言うか会長ならこのこと知っていてもいいけど、深夏たちは別にこのこと見てないんだから叱りようないんじゃないすか?」
「安心しろ。監視カメラの映像を見せておいた。」
「あんたは俺を貶めたいのか!!」
「どちらかといえば、まあ。」
「おいっ!!!」
「ほら杉崎!そんなボケとツッコミの応酬は止めて行くよ!」
「ま、待ってください、会長!まだ俺はこの人に話しがあるんで――――。」
「そんなもの、どうだっていいわ!」
「どうだっていいって言われた!!?」
会長に襟を掴まれずるずると引きずられ・・・・・・・ることはなく実際は重いらしいので俺が歩ってやった。生徒会室につくまで会長は不満そうだったが・・・・。
という訳で、生徒会室前。
会長に顎で行けと命令される。
というか、俺はこんな小さい彼女に行けって命令されるなんてぶっちゃけ地位的に危ないんじゃないだろうか、と常々思う。
ガチャ。
ドアを開け、まあ分かっていたが深夏と真冬ちゃんがいた。
「お、おいっ!!鍵お前無事・・・いやそれよりもさっきの何だよ!!?」
俺の無事かどうかよりも事実の確認ですか、深夏さん。
「先輩っ!!今の銃とか、真儀留先生とか、あれとか、それとか、これとかどれとか・・・・?あれ?・・・とっ、とにかく説明してください!!」
あれとかそれとかこれとかどれとかって何ですか?真冬ちゃん。
「え~・・・・一応二人とも―――。」
「私もいるよっ!」
「・・・・三人とも真儀留先生の話は聞いてるよな?」
こくりと三人とも頷く。
「じゃ・・・まあ・・はい・・・・そういう訳です。」
「どういう訳よっ!?」
「って言うかなんで鍵がああいう事に巻き込まれていたのかが知りてえんだよ!!」
深夏が俺の首根っこ掴んでぶんぶん揺さぶってくる。
あれ・・・・これ・・・・なんだか・・・・気持ち・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・悪い・・・・・吐きそう・・・・・・・。
意識が遠くなりそうになったとき。ドアの向こう側から声がした。
「ダメよ、深夏。そんなに揺さぶったらキー君が吐いて床が汚くなるでしょ?」
ガチャ、と言う音と共に知弦さんが入ってきた。
深夏が俺を揺さぶる手をピタッと止める。その隙に俺は知弦さんの席に回り込み、椅子を引く。
「どうぞ、知弦さん。」
「あら、ありがと。キー君。」
知弦さんは椅子に腰掛け、自販機で買ってきただろう、缶コーヒーを飲む。

ん?待て。
待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て。
何回言ったか分からんが待て。
俺たちは息を吸い、吸い、吸い、そして吸い込み。放った。
「え得得えエエええ獲得得えええ得得え得獲え得えエエえ得え得ええエエ獲え得え得得得え獲え獲えエええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇっっっっっっっっっっッ!!!!!!!!!!!!!!?????????」
今世紀、最大の、絶叫を。
「わっ!?ちょっ!?何よ皆。どうしたのよ?」
「な、何よって・・・・どうしているんですか!!!?何で生きてるんですか!!?」
「そっ!そうだよ!!知弦死んだじゃなかったの!?」
「ああ、なんかね。確かに事故ったのは覚えてるんだけど・・・・なんだか生きてたみたいね・・・・・。」
「いやっ!?ちょっ!ありえないって!ありえませんって!!」
「まあでもこうして生きているのだし。いいじゃない。」
知弦さんのその軽いノリに俺たちは・・・・・・うん・・・いいよね?許されるよね?
『俺(私)たちの悲しみ返せぇぇぇぇぇぇぇっっ!!!!!!』
「へ?あ、やっ、キャッ!ちょっ、今誰!?首噛んだの!?って深夏髪の毛クシャクシャにしないで!って真冬ちゃん、太ももに何書こうとして・・・っや、ん!!今誰、胸触ったの!!?ああもおっ!!」
珍しく攻められる知弦さんを見れたのであった。

~とある生徒会顧問の通話内容~
『・・・・・・もしもし?巫女娘か?私だ、真儀留だ。』
『・・・・私の事、巫女娘って呼ぶのは真儀留先輩以外はいないと思いますよ・・・・。』
『まあ、別にそんな事どうだっていいだろう。それよりもあの件の事は助かった。』
『あの件って・・・・・先輩の生徒を幽体離脱させることですか?』
『ああ、結構助かった。・・・というか本当はお前の姉のほうに頼むつもりだったんだがな。』
『お姉ちゃんにですか?何で?』
『いやあ・・・まあ・・・おまえじゃあ、幽体離脱出来ないと思ってな。』
『・・・・・・・・・・私だって、それ位は出来るようにはなりましたよ・・・・。』
『まあ、それに頭の固いお前だと無理だとも思ったからな。』
『・・・・まあ確かに、以前のような未熟な私がやっていたら危険ですし、やらなかったでしょうけど・・・・・。』
『前のお前なら「魂の波長がずれるから」とか「危険すぎる」とか頑なとして受け入れなかっただろうしな。』
『でも・・・・珍しく先輩からのお願いでしたし言う通りにはしましたけどぶっちゃけ魂が死んでなくても体が死んでいたら、植物状態でしたよ?』
『まあ、そこは大丈夫だろ。』
『え、何故?』
『私の勘だ。』
『・・・・・・・勘で人の命を左右しないで下さい。』
『それにお前がやるのだから少なくとも最悪の事態にはならないとは思ったしな。』
『・・・・・・・・・・。』
『どうした?褒められるのは苦手だったか?』
『い!いえ!そんな事は・・・・・っ!!』
『ついでに警察連中の精神操作も助かった。』
『あれ、言っときますけど普通に違法ですからね?』
『・・・・・巫女娘。明日、暇か?』
『へ・・・?・・・いや、まあ、暇っちゃ暇ですが・・・。』
『よし、じゃあ、焼肉行くぞ。』
『え?な、何故?』
『行かないのか?』
『いや、行きますけど・・・・・。』
『じゃ、そゆことだ。じゃあな。』
『えっ!?ちょっ!?まっ――――(ピッ

枯野とのややこしい事件が終わって最初の休日。
俺は会長の部屋にいた。
さらに言うと、会長の部屋だったが今は風景的に違う。たくさんあったぬいぐるみや散乱した教科書がない。あるのはベッドなど動かしようのない家具とパンパンに膨れきったバック。
「それで会長。話って何ですか?」
「杉崎。私、お引越しする事にしたの。」
「・・・・・・何処に?」
「杉崎ん家」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
何を仰っているのでしょうかこの人は?
「会長。寝言は寝ているから許される言葉なんですよ?」
「ねっ!寝言なんかじゃないよ!」
「じゃあ、そういう思考になった経緯を言ってください。」
「そ、それは・・・・・女の子の一人暮らしは危ないし・・・・。」
「二年半そうだったのに?」
「・・・・・・・・・・・・あ、後、一人暮らしは寂しいし・・・・。」
「二年半そうだったのに?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふ、二人いると便利だし・・・・。」
「だから二年半一人っきりだったんですよね?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい。」
「それに、俺の家に来るのは構わないですけど光熱費とか水道代とかガス代とか全部親戚の方が払ってるんですよね?全く使ってなかったら怪しまれますよ。」
「・・・・・そ、それ、は・・・・・・・その・・・・。」
まあ、会長が俺と暮らしたいというのは実際本音だろう。それは俺としては嬉しい。だが、俺と会長が二人暮らししているなんて知れたらいろいろ免田殴打し、そもそも俺だってバイトなり何なりで大体は自分で賄っているが、会長まで養えるとは到底思えない。
「じゃ、じゃあせめて・・・・・・・・・週に何回か泊まりに行っていい?」
「まあ・・・それなら、大歓迎ですけど・・・・・。」
会長がパァーっと明るい表情になる。
「じゃ、そゆことだから、荷物運んで。」
「おい待て。」
「?」
「「?」じゃないです。荷物運べってどういうことですか?」
「だから、これ。」
会長がパンパンに膨れきったバックを指差す。
「・・・・もしや、これ、一日分?」
「うん。」
「・・・・・・・・・・。」
呆れて物も言えないとはこういうことだろう。
「すいません。やっぱ泊まりに来ないで下さい。」
「ひどっ!!」
まあ、でも、そんな会長に押し切られて結局運んだんだけどね。

時間が暫く過ぎて、夜の7時ごろ。
会長が腕前疲労したいと晩御飯を作ってくれている。
なので俺は居間でテレビを見ているわけだが・・・・・・暇だ。かなーり暇だ。」
会長は会長で楽しそうに料理してるし、暇だ。
フラフラと会長の後ろまでさ迷い歩く。
「会長。何作ってるんですか?」
「ん~?お味噌汁だよ?流石に難しいのはまだ作れないしね。」
「ふ~ん・・・・。」
適当に相槌を打ったがあまり会長の話は聞いていなかった。
それよりも会長の頭から匂う、シャンプーの香り、女の子らしい香り。
気が付いたら俺は会長を抱いていた。
「ふえっ!!?ちょっ!何、杉崎!?」
「会長、してもいいですか?」
「ええっ!?何言って!!」
「嫌ですか?」
「へ?」
「俺とするのは、嫌ですか?」
「・・・・・い、いやじゃないけど・・・その、あの・・・んむっ!?」
会長が言い切る前に俺は会長の唇を塞いだ。
「んぅむっ・・・・ちゅるっ・・む、ぅ・・・・・んっ・・・ちゅぷっ・・・は、む・・・・んっ・・・んんっ」
まだ夜というには早すぎるが、そんなのはお構いなしに俺はスイッチが入っていた。
「ふあっ・・ぷ・・・すぎさ、き・・・まだ、ダメ・・だよぉ・・・・・もっと夜になってから・・・ね?」
会長の諭すような言い方。
「すいません会長。ちょっと俺、もうスイッチ入っちゃってます。」
「えっ?ちょっ、きゃっ!」
会長をフローリングの床に押し倒し、また唇を奪う。
「んふぅ、んむ・・・くちゅ、んくっ・・・ちゅっ、ちゅく、んっ、ちゅば・・・む、ぅ・・・んんっ・・・・」
会長も最初こそ反抗的な眼だったがキスをし続けたら次第に艶かしい目付きになっていく。
俺はエプロンをずらし服の隙間から会長の胸を触る。
「ひやっ・・・んっ・・・ふああ、あ・・・・」
会長の乳房を包み込むように触る。
相も変わらず小さい胸なのだが、すべすべしていて触ってるこっちも気持ちいい。
俺は少しずつ触る部位を中央に集め、指で会長の乳輪を円を描くように弄ぶ。
「ひんっ・・・あ、あんっ・・・ふあう、ぅ・・・・そんな、触り、方・・・じれったいよ・・・ぅ・・・やあっ」
「・・・・・じゃあ、こういうのだったらいいですか?」
さっきまで円を描いていた指を会長の乳首を摘んだ。
「んあっ・・!あ、イッ、いきなり、それ、はっ・・・!あんっ!・・・・んんっ・・・・!!ふ、あうっ!」
もう片方の手で俺は会長の秘部を触る。
そこはまだあまり濡れてはいなかったが、わざと音をたてて触る。
「やっう・・・!!そん、なに・・・・っ!、音、たて・・ないで、ぇ・・っ!!」
「音なんか立ててないですよ。会長が濡れてるからどうしてもなっちゃうんですよ。」
「やっ・・・・!そんな・・・の・・っ!!・・・違、う・・・・んん・・・・っ!!!」
そう言ったら会長のそこはジュンと濡れだす。
やっぱりだ、会長はこうやって背徳心に駆られてした方が感じるらしい。
「あっ・・・・っ!!ううん・・・っ!!やっ・・・・あっ!!そ・・・なっ・・・!!音・・・たて、ちゃっ・・・すぐ・・・くっ・・・イッひゃ・・・ううぅっ!!」
指の腹で押すように会長のそこを攻める。
「や・・・・っはぁっ!!そん・・・あ・・押し付ける・・・っの・・・っ!!あうん・・・っ!!ああっ、くぅっ、んっ!!これ・・・っや・・っ・・・ダ、メェ・・・・ッ」
「押し付けられるのが好きなんですか?」
「ちがっ・・・ちが、う・・・んっ!ひぅんっ・・・っ!!」
「でも、こんなに濡れてますよ?気持ちいいんでしょ?」
押し付けながらぐりぐりと擦りつける。
「あふっ、うんっ!!・・・やっ・・・それ、だ・・めぇっ・・・!く、はぁッ・・・・!!それ・・・は・・ッ感じ、過ぎ・・・るぅっ!!うあっん!!」
グチュグチュと鳴らしつつぐりぐりと押し付け、会長のそこはもの欲しそうに愛液を垂らしている。
「会長・・・もう、挿れていいですか?」
俺は自分の息子を出し、会長に確認をとる。
「んっ・・・言わなく、ても・・・分かってる・・癖に・・・・。」
「じゃあ、挿れてもいいですよね?」
「・・・・・・・・・うん。」

ズプズプズプと音をたて俺の息子は会長の膣内に侵入する。
「ふあああっ!!すぎ・・さきのっ・・はいって、はいってく・・・るぅっ!!」
会長のそこはいつもよりも濡れて、なおかつ熱かった。脳髄がとろけそうになるような感覚まで覚える。
「グ・・・ぅッ!!・・・気持ち、いいですか?・・・会、長。」
そう言ったら、会長が俺の顔に手を添えてきた。
「・・・・で・・・呼んで・・・。」
「へ?」
「名前・・・で、呼んで。杉崎。もう・・・会長って呼ばれるの、やだ。杉崎には・・・・名前で呼んで欲しい。くりむって、杉崎に呼ばれたい。」
俺は暫く呆然としていた。だけど、会長のその思いだけは良く伝わってきた。
「分かりました。『くりむ』。これからは名前でくりむの事を呼びます。」
「あ・・・うんっ・・・嬉いっ・・・・。」
会長がにっこりと微笑んだ。
「で、くりむ。」
「え?なに?」
「そろそろ動いても宜しいですか?」
「・・・・う、うん・・・。」
俺は会長の膣内に擦りつける様に動かし始める。
「ひやっ!!うあっ!!・・・んんぅっ!!・・・・すごっ・・・これ、すご、いぃっ・・・よぉっ・・・!!んんあぁっ!!」
「ひうぅ!!・・・・んはあっ!!あ、ダメ・・・・ぇ・・っ!!そこ、あふ・・・っ・・・敏感すぎるからぁっ!!!・・・・ん、はうんっ!!」
「ここが、いいんですか?」
俺は会長の膣の壁に自分のものをぐりぐりと押し付ける。
「っ・・・・!!ひあああっ!!!あふぅっ!!・・・・ん、くぅっ!!・・・あ、だメェ・・・・あうっ・・・!!んやっ!!・・・これぇ・・・・ダメ・・・っ!!気持ちよすぎちゃうぅっ!!」
会長の膣内がそれの呼応するかのようにきゅうきゅう締め付けてくる。
「ふえ・・・っ?な、何そ・・・っ!!!!!ああああっ!!!!いや、あっ!!そ、そこぉ!!あ、や!!弄っちゃ、弄っちゃダメェェェェッ!!!」
会長のクリトリスを強く摘みスリスリと擦る。もちろん腰を動かしながら。
そのせいで会長の膣内はもっと俺の息子を締め付けてきた。
「く・・・っ、会長・・・締め付け・・・すごいです・・っ・・・。」
「ふあっ!!!あああっ!!ダメ!!イくっ!イッちゃうぅっ!!!!やああああああああっ!!!!」
「あっ・・・・く・・・・っ」
ドクン!ドビュッ!!ビュルルルッ!!!!
「あああああああああああああっ!!!!熱いの!!熱いのでてるぅっ!!!ふああああああああああっ!!!!!」
俺が射精した後、会長は糸が切れたように倒れこんだ。
「お、美味しいねっ、す、杉崎っ!」
「そ、そうですねっ、くりむっ!」
先ほどの行為が後を引いているのか俺たちはまだ若干赤面状態で照れていた。
うん・・・やっぱりくりむの言ったとおり深夜にやったほうが後腐れはないと勉強できた。
一瞬くりむが俺の顔を見る。
にっこりと微笑み、その後恥ずかしいのか顔を逸らされた。
・・・・俺は、この人を、この人の笑顔を守りたい。
そう心に浮かんだ。
これから俺たちは幾多の出会いをし、幾多の別れをするだろう。
でも分かれる時に笑ってさよならを言える様にしたい。
俺は、くりむとそんな未来を歩みたい。
そう、思った。

FIN



参考情報

2009/12/08(火) 17:24:57~中断、2009/12/20(日) 16:21:36~2009/12/20(日) 16:27:20で完全版投稿で内容は16レスで投稿。
一星龍さんの生徒会の一存のエロ小説を創作してみるスレでの18作品目。



  • 最終更新:2010-07-05 17:39:50

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