一星龍さんの小説8

本文

もし、仮に自分の事を好きになった女の子が二人いて、その二人の事を自分はどっちも大好きだったとして、どちらか一人選ばなければならない。そんな時が訪れたらどうなるのか。
考えた事はあった、極力その考えは無視していたが、今の俺の恋愛がらみの状況は少しおかしかった。深夏と真冬ちゃんの二人と付き合っているという状況。普通に考えれば、一人の男に一人の女というのが普通。俺はおかしいと思いながら、彼女たちが実際は苦しんでいないか心配していた。だがその二人とも笑顔で幸せそうでそれを壊さないようにしたいからこの考えは無視し続けてきた。それが一番だと思ったから。
だが、もし、二人のうち一人を選ばなければならないとき。俺はどうするべきだろうか・・・
その覚悟が果たして俺にはあるのだろうか。
それは、どちらかのことを本気で愛していれば、あるいは・・・・

あたしは、鍵が好きだ。
そう、思い始めたのはいつからだったろうか。
気付けば、あいつがあたしの好きな人になっていた、あいつとずっと一緒にいたいと思っていた、あたしの全てになっていた。
その気持ちに気付くまで、恋愛をしていないからって青春してないだの、面白くないだの言うやつらが嫌いだった。少なくとも当時のあたしは恋なんかしなくても、十分に青春ってやつを満喫していたと思う。
だけど、あいつと会うたびに心が落ち着かされた。
あいつと話す度に嬉しいと思っている自分がいた。
あいつに褒められたり、ドキッとすることを言われたりしたら、凄く心臓が鳴っていた。
あいつの笑顔を見るたびに幸せになれた。
最初、会ったときはあたしみたいになりたいやつなんて馬鹿じゃねーのかとも思ったし、生徒会室であった時はセクハラ発言多すぎだろとも思った。
だけど、それもあいつ自身の魅力で、どんな時でもあたしの事を考えていてくれて、凄く嬉しかった。・・・まあ、確かに少しはそのエロいのを抑えてもらいたいとは思うけどな・・・
これが恋。これが人を好きになるってことなんだな。
いつだって隣であいつを眺めていた。クラスメートとしても生徒会の仲間としても。
少し照れ隠しとかをして誤魔化したりしていたけど、次第にもうこの気持ちが制御できなくなった。恋煩いってやつだ。
でも、あたしは今が壊れてほしくなかった。仮に告白とかをして、振られたらもう二度と友達にさえ戻れないような気がした。怖かった。母さんともギクシャクして、鍵ともギクシャクしたら、あたしは絶対に潰れていた。
保健室で弾みがついたのか何なのか、勢いで告白したら、あっさりと受け入れてくれた。こんなにも欲しいものが手に入るとは思わなかった。
それからは、幸せの連続だった。鍵と必要以上にべたべたしても、嬉しくて心が高鳴っても、学校とは違う素の自分を見せても、全部恋人だからという理由で認められるから。本当に毎日が嬉しさと幸せと・・・・少しだけ他の人(会長さんとか知弦さんとか)に嫉妬することもあったけど、楽しい日々だった。
初めてのデートの日、前日は眠れなかった。真冬に変な服を着させられたけど、結果的に鍵が喜んでくれたから嬉しかった。普通の、ごく普通の、映画を見るとか、ショッピングするとか・・・その、鍵の家に行って・・・Hな事するとか・・・・初めてデートをして、本当に鍵の事を好きになっていたんだなって思った。
でも、少しして、信じられない事が起きた。いや、信じられない事ではなかった、真冬が鍵の事を好きになるとは信じられないというよりも全く思ってなかった。鍵と真冬がHしていて、本当にらしくもなかったが涙が枯れても泣き続けた。鍵があたしを捨てて、いなくなると思いもした。
でも、鍵はそんな事はしなかった。あたしだけじゃなく真冬も笑顔にすると誓って、その誓いのとおりにあたしたちを元気付けて、笑顔にしてくれた。
それからもあたしはずっと・・・ずっと一緒だと思った。学園祭だって、何だって。
でも、鍵の隣にあたしと真冬二人もいていいのか、何よりも真冬がどう思っているのかもよく分からなかった。まあ、あたしに今更鍵を諦めろといわれても無理な話だし、真冬にそんな事を言うつもりも毛頭ない。あたしは知らないがこの世界には同性愛が認められている国もあるから一夫多妻制の国もあるかもしれない。
・・・いや、そんなのは全て意味のない上っ面だけの言葉だ。あたしの本当の思いは鍵を独り占めしたいという思いからだ。
真冬も、多分そう・・・・だと思う。
どう・・・する?あたしは真冬を出し抜いて鍵を独り占めするとかそういうのはいやだ。フェアじゃない。
ふと、カレンダーを見る。今日は12月・・・21日クリスマスイヴは明々後日。

・・・一つ考えが浮かんだ。
あたしはその考えを真冬に打ち明けに行った。

お姉ちゃんに好きな人、それも杉崎先輩のことが好きだということを聞いて、真冬は驚きました。別にお姉ちゃんが杉崎先輩のことを好きにならないとか思っていたわけではなかったので少し意外だなとは思いました。実際黙っていればそこそこルックスはいいからモテるはずですし、お姉ちゃんが先輩の何かに惹かれたというなら普通に納得できます。ただ少しだけ、自分の姉に彼氏ができたという事に驚きがあっただけ、その程度の事です。
・・・・・・今更ですけどおねえちゃんほど熱血だ、最強だって言っている人に彼氏が出来るってことを不思議に思います。
でもそんなお姉ちゃんが先輩のことを好きになったので応援するつもりではいました。
それで、それで二人の交際が始まりました。基本的にお姉ちゃんが変わるわけではないと思っていましたが、実際にはお姉ちゃんの部屋から突然歓喜の声が上がったり、(最近は前よりかは減りました)デート前日には眠れないからって真冬の部屋で明日デートをするってことを自慢したのを嫌々聞いたりもしました。
うわっ、ウザッ、て思いました。引きました。他人のノロケほど聞いていてウザイ話はないですね。腹いせにデート当日に着る服を隠して代わりにゴスロリ服を置いておきました。その服を見て先輩は喜んだのでお姉ちゃんは結果オーライにしていますけど、アレは痛い子に見えますよ・・・
・・・・・実はあのデートに真冬はこっそりとついて行きました。先輩とお姉ちゃんが凄く、凄く楽しそうでした。それは妹である真冬からしたら喜ばしい事なんですけど、あの二人の事を見ていたら、胸の奥がちくりと痛みました。もうこの時からだと思います、真冬が先輩に恋をしていたのは。
それを誤魔化さないといけなかった。お姉ちゃんが幸せになるなら、ずっと真冬のこと考えて、守ってくれたんだから真冬は我慢してこの気持ちを気付かれないようにしなきゃならなかった。
でも、自分に嘘は吐けない。そんな事言った人は誰でしょうか。何でこんなにもそういうマイナス的な名言は当たってしまうんでしょうか。
真冬が先輩とHをした事、お姉ちゃんは本当にショックそうでずっと隣の部屋から泣き声が聞こえてきました。
先輩の事を一番に思っているのはお姉ちゃんでした。だから真冬はもしかしたらとかひょっとしたらとかそんな淡い希望なんかに頼らず、ずっと隠しておけばよかった。こんなに真冬もお姉ちゃんも悲しむんだったら、真冬は何もしなければよかった。
先輩は真冬もお姉ちゃんも苦しんでいる所を、先輩だって苦しかったはずなのに、頑張って真冬の事を、お姉ちゃんのことを笑顔にしてくれた。
だからもっと好きになってしまいました。好きで好きで、止まらなくてこんな気持ち初めてで何よりも嬉しかった。
先輩を真冬のものにしたい。何とかして先輩におねえちゃんよりも真冬のことを好きなってもらいたい。でも真冬はお姉ちゃんみたいに先輩に誇る所がない。
そう思っていたら部屋のドアが開いた。その先に・・・・・・お姉ちゃんがいた。

「真冬。お前に聞きたい事があるんだ。」
「えっ・・・あ、はい、何、お姉ちゃん?」
少しだけおっかなびっくりな感じの真冬が深夏に言う。
「お前は・・・鍵のことが好きか?」
「ふえっ!?」
突然のそんな質問に戸惑う、真冬。それについさっきまでその鍵の事を考えていたから内心(真冬の考えなんてお見通しなんですか!?)と思っていた。
「ふえっ!!、あの、その、な、何言っているんですか、お姉ちゃん!!」
当然の答えが返って来る。
「真冬、真面目に答えてくれ。」
深夏の目には冷やかしや冗談の類の感情はなくただ純粋に鍵の事が好きであるかということを伝えていた。
その事を真冬も汲み取り、少し頬を赤くしていたが
「うん、お姉ちゃん。真冬も先輩のことが好きだよ。お姉ちゃんがなんて言ったってこの気持ちはだけは覆らない。」
「そうか・・・やっぱりそうだよな。」
深夏がベッドに腰掛けている真冬の隣に座る。
「・・・真冬。お前はさ、もし、鍵があたしより真冬のことが好きになったらお前はあたしに遠慮せず鍵と一緒にいれるか?」
真冬はその質問の意味を理解できなかった。
「え・・あの、それって・・・?」
「逆を言うなら鍵があたしを選んだら真冬、お前は鍵の事を諦める事が出来るか?」
真冬は首を横に振る。
「はは、そうだよな、普通はそうだよな・・・・でもな・・・真冬。あたしはその覚悟は出来ている。あたしは鍵には幸せになってもらいたい。だから鍵があたしよりも真冬のほうがいいっていうなら、あたしは・・・本当は嫌だけど我慢する。」
「お姉ちゃん・・・さっきから何が言いたいの?お姉ちゃんの言う事、真冬のことを気にかけているのか、それとも本当は先輩と一緒にいたいって言っているの?」
「ああ、ごめん。あたしらしくないよな。」
深夏が頭を掻いて、少し困った表情になる。
「あたしが言いたいのは、真冬、あたしと最後に、鍵を賭けてって言うと少し違うけど・・・勝負してくれないか?あたしは残りの三ヶ月は誰にも邪魔されず鍵と一緒にいたい。お前だってそうだろ?この勝負に負けたほうはすっぱり鍵の事は諦める。これでいいだろ?」
真冬がその言葉に対して反論する。
「嫌・・・嫌だよ、お姉ちゃん。何でそんな事言うの?真冬はお姉ちゃんみたいに魅力的じゃないんだよ!?お姉ちゃん自分に勝算があるからってそんな勝負持ちかけるなんてずるいよ・・・」
真冬が目じりに涙を溜め、反論をする。
「・・・あたしは、別に勝算があるからってこの勝負を持ちかけたわけじゃない。それにまだどういう勝負かも伝えてないだろ?」
「・・・・・どういう勝負なの?」
「クリスマスの日に、あたしと真冬、違う場所で同じ時間に待ち合わせして鍵が来たほうが勝ち。来なかったら負け。・・・あたし達がどうこうじゃなくて、鍵に選んでもらう。」
単純な勝負だった。だが二人にとってはそれぐらいがちょうどよかった。
「・・・お姉ちゃんはそれでいいの?もし負けたりしたら、もう杉崎先輩と何にも出来なくなるんだよ?」
「・・・その覚悟は出来ているし、それに負ける気はない。」
「・・・お姉ちゃんはいつだって強引だよね、いつもそうやって勝手に決めて、勝手に突っ走って行って。」
「ごめんな。そういう性分なんだ、あたしは。」
「分かった。・・・負けないから。絶対に、負けないから。」
いつもの気弱で一歩引いている姿勢ではなく、本気の目付きをした真冬がそこにいた。
「ああ、あたしも負ける気はない。」
同じ人に恋をした二人の女の子は自分とその人のために、覚悟を決めた。

本日は12月24日。世に言う、クリスマスイヴ。・・・の朝9時23分ほど。
昔から俺は思うのだが、クリスマス前日を祝っても仕方ないだろ。普通クリスマス当日に祝えよ、と思う。
まあ、だからどうしたという訳でもないんだが。
そういえば、今日ほど恋人同士がラブラブする日はあまりないのに、深夏も真冬ちゃんも誘いに来ていない。絶対に何か予定が入ると思って今日はスケジュールを開けていたのだが・・・。
というか俺って今までどんな風にクリスマスイヴを過ごしていたっけな?
去年は・・・受験した時よりも、いろいろ頑張っていてクリスマスなんかなかったなぁ。
一昨年は、まさに受験で大変だったのになおかつ飛鳥とか林檎の問題があったからなぁ。またもやクリスマスなんかないなぁ。
その前は・・・やべえ、覚えてねえ。俺の記憶は二年しか持たないようだ。
いや、一つ思い出した。それは・・・それは・・・それは
回想
『お兄ちゃん、お兄ちゃん!ほらほら、乾杯しようよ~!』
『ごめん、林檎よ・・・いくらお前の・・頼みでも、カルピ〇の原液五杯とチョコレート焼きそば三杯はきつ・・・い。』
『ええ~・・美味しいのに~』
なぜ、なぜ林檎がチョコレート焼きそばなぞを作ってしまったのだろうか・・・なんでも川原にいたお姉さんに聞いたらしいが・・・はっきり言って余計なお世話だよ・・・名前も分からぬ綺麗なお姉さん。(←勝手に綺麗だと決めつけ)
回想終了。
やべえ、泣けてきたよ。いい年した男がすげえ男泣きしてるよ。あの時の俺、頑張ったよな。うん、頑張ったよ。
・・・いつまでも、思いでに浸ってないで起きよう。
喉が乾いたので、とりあえずリビングに行く。
リビングの冷蔵庫を開け、適当にお茶を飲む。
ふとリビングにあるテーブルを見たら、手紙が置いてあった。
手にとって見てみると、
一つは深夏からの手紙。
もう一つは真冬ちゃんからの手紙。
わざわざ手紙なんか書いてどうしたんだろう。そもそもどうやってここに置いたのか・・・って前に家の鍵を渡したんだった。
深夏の手紙を読もうと封筒を開け、中身の便箋を見る。
そこにはこう書かれていた。

【鍵へ。
まず、いきなりこんな手紙をよこしてごめんな。普通にメールでいいだろって思ったろうけどこの内容については手紙の方がいいと思った。
あたしの言いたい事は一つなんだけど、それを伝えるのはちょっと一言じゃ無理そうだから長くなるけど、その、面倒をかけてごめんな。

あたしは鍵の事がすごい好きだ。一言じゃ言い表せないくらいに大好きだ。もうお前がいないとあたしは生きていくのもきついと思う。
もしお前も、あたしの事が誰よりも何よりも好きだったら、学校の屋上に来てくれ。時間は7時。鍵はあたしが開けておく。多分・・・ていうか、絶対に寒いと思うからなるべく厚着したほうがいいと思う。
えっと、言いたい事は終わった。待っているから。
椎名深夏より】
「・・・・・・・・・・・・・・・」
これはデートのお誘いかな?でもなんか、妙に読んだ後、プレッシャーを感じるのだが・・・
もう一つの真冬ちゃんの手紙も読んでみる。

【杉崎先輩へ
えっと、真冬が先輩に伝えたい事を書けってお姉ちゃんに言われたんですけど、こうやって改めて手紙とかで書くとなると伝えたい事が消えちゃいまして、少しパニック状態です。・・・すいません、ただの文章稼ぎです。うまくまとまらないと思いますけど、読んで下さい。

真冬は先輩のことが大好きです。告白した時は勢い任せで言っちゃいましたけど、今なら先輩に面と向かって言う事ができます。
先輩はどうですか?真冬の事が、友達として好きですか?それとも恋とか愛とかって意味で好きですか?
それとも女の子として好きですか?
真冬の事が一番好きだったら、この前行った遊園地のお城の前に来てください。チケットは封筒の中に入っています。時間は午後七時です。
待っています。
椎名真冬より】
「・・・・・・・・」
これは、さっき読んだ深夏の手紙と照らし合わせたら、どちらかを選んでどちらかを捨てろって事か・・・。多分そうだ。
前の俺なら、二人を傷つける事はしなかったろう。ドタキャンでも何でもして二人を傷つけないようにする。
でも、なぜだか、今の俺には心の中にある女のこの事でいっぱいであった。
俺は・・・俺は・・・

選択肢
1、屋上に行く。
2、遊園地に行く



いつからだっただろうか。
俺は二人の女の子をずっと守ると誓った。ずっと傍にいるといった。それは今も変わらない。今までなら、俺の想いを抑えてでも二人を傷つけない様にしていた筈だ。
だがあの手紙を見て二人のあの真剣な想いを読んで、俺ははぐらかすだとかそういうことをしてはいけないと思った。
どちらも俺のとても大事な人だ。傷つけたくもないし失いたくもない。
でも、二人にああまで言われたら、俺も二人の想いに真剣に答えなければならない。
・・・・・・いけない事だとは思う。約束を破る事になるのだから。おそらく俺が選ばなかった方は、俺のことを恨むだろう。
これは俺の勝手な言い分だけど、俺はその見捨ててしまった方の分まで選んだ方を愛さなければならないと思う。
本当に勝手な言い分だ。ていうか、ハーレムを作るとかはどうしたんだよ。今となってはかなりかけ離れちゃっているよ。
そうやって悶悶しながら俺は屋上のドアを開けた。

屋上に入ってみてまず感じた事は、
(さむっ!!)
まあ、クリスマスなんだし、雪も降りそうだし、寒いのは当たり前なんだけど・・・異常に寒い。一瞬さっきまでいろいろ考えていた事が飛びそうだった。
「鍵・・・・・?」
俺を呼ぶ声がした。
隅のほうを見てみると体育座りのまま頭だけ上げて、じーっとこちらを見ている深夏がいた。暗くてよく分からないが、かろうじて深夏の顔を見る事はできる。
「・・・深夏?」
「あ、ああそうだけど・・・」
二人の間に沈黙が流れる。
「何で、隅っこで体育座りしているんだよ?」
「いや、だって寒いし・・・・」
「その寒いとこに呼び出したのはお前だぞ?」
「だ、だってここはその、あたしとしてはいろいろあった場所だし・・・」
まあ、確かにここは真冬ちゃんとかのあれそれがあった時に深夏がいた場所だから、深夏にとって印象深いのは分かるが・・・・
「だからってこの時期のこんな場所に呼び出すか?そもそも手紙に寒くなるからって書いてあるじゃねえか。」
「ちょっと計算違いだった・・・あははは・・・」
また少しの間沈黙が流れる。
「ぷっ・・・・くくく、あは、あははははははははは!!!!」
だが、その沈黙は深夏の笑い声によって吹き飛ばされてしまった。
「どうしたんだよ、深夏?」
「いや、ごめん。思えば、あたしと鍵っていつもこんな感じだったなあって思ってさ。」
「失礼だな。ていうかこんな感じってどんな感じだよ?」
「お前がボケて、あたしがツッコムって役割。」
「いやいや、お前がボケで俺がツッコミの間違いだろ。」
「何言ってんだよ。クラスだと主にお前がボケだろ!」
「いや、生徒会室だとお前のほうがボケてるな。」
「いやいやいや・・・・・」
「いやいやいや・・・・・」
10分後・・・・・
「はあ、はあ、はあ・・・・・あ、あたし達、なんでこんな言い争いになってんだ?」
「はあ、はあ、はあ・・・・・さ、さあな・・・」
10分も寒空の下で騒いでいたなんて俺たちは馬鹿か?
「あのさ、深夏・・・お前告白かなんかするために俺を呼んだんじゃないのか?」
「・・・ああっ、そうだった!!」
・・・なんか凄く馬鹿らしい事に付き合っている気がする。あの手紙から伝わった真剣味はどこに行ったんだか・・・・
「いやぁ~・・・ごめん、ごめんすっかり忘れてた。」
「・・・何その、軽いノリ・・・」
「じゃあ改めてやるから一度出ろ。」
「・・・・・・・・」
告白前のノリがこんなに軽くていいのでしょうか?いいえ違うと思います、母さん。軽すぎだと思います。もう少し緊迫していていいと思います。
「ほら、早く出ろよ~」
「ああ、分かったよ・・・」
一度屋上から出る。
「いいっていうまで入って来るなよ!!」
って言われた。着替えを待っている人か、俺は。まあ、心の準備とかだろうからそんなに時間は掛からないと思うけど・・・
「・・・・い、いいぞ・・・」
案の定、時間は掛からなかった。俺は屋上に再び入る。

なぜだかさっきまでとは違う雰囲気がそこにはあった。
気付けばさっきまでは暗かったのに、今は月明かりが差していた。
そして、深夏がさっきのように隅で体育座りでいるのではなく、髪を下ろして金網を背に立っていた。
まるで、いや、比喩表現とかでなく本当に可愛かったし、綺麗だった。
魔法でも使ったかのように、深夏は輝いて見えた。
ここんとこずっと、深夏といたから忘れていた。こいつも生粋の美少女だって事に。
見惚れていた。自分の前に立っている美少女に。
「け、鍵・・・・?」
じーっと見つめていたから、深夏が心配そうに見てきた。
「あ、ああ、な、何だ?」
自分でも、やばいくらいに動揺しているのが分かる。胸が張り裂けそうなくらいバクバク鳴っている。
さっきのふざけていた空気はなんだったんだろうか。
「えと・・何から話せばいいかな・・・」
「そんな事を俺に言われてもな・・・」
「うん、じゃあまず、結論から言うな。」

「あたしは、椎名深夏は、お前の事が、好きだ。」

どストレートな事を言われた。こういう事を言われるのは分かっていたし、前にも告白はされた。
でもあの時とは違う。勢い任せとかではなく、本当の自分の気持ちを伝えていた。
「えっとな、最初にお前と話したときはなんとも思ってなかった。だけど生徒会室とか、クラスとかで一緒になって、お前とずっと一緒にいるようになって・・・エロい奴だとは思った。」
身も蓋もない事を言われた。いや、まあそうなんだけどさ・・・所詮俺はエロい奴だけどさ。
「でもな、そうやってお前とずっと一緒にいたら、お前の優しいところとか、意外と皆の事を見ているところとか、まあ、実際はあたしもよく分からねえんだけど、お前の事を好きになってた。」
実際よく分からないってのはどうなんだよと思ったが、胸にとどめておく。
「あたしは、男って奴を信じたくはなかった。あたしの思い込みだけど、簡単に裏切ったりすると思っていたから。だから、男の事を毛嫌いして、真冬にもそう教えて、ずっと関係を断ち切っていた。だけど、お前は違った。お前とずっと一緒にいて、あたしは、その、あの・・・・・・・・う、嬉しかった。あたしが倒れて、お前が保健室まで運んでくれた時にな、あたしはいろんな事を考えてたんだ。この気持ちを伝えたらどうなるかとか、振られたりしたらどうしようだとか、そういう事をたくさん。あたしはあの時が壊れてほしくなかった。振られたらもう二度と友達にさえ戻れないような気がして怖かった。母さんともギクシャクして、鍵ともギクシャクしたらって思ったら、本当に怖くて、怖くて・・・・・・。でもお前は、あたしの事を大好きだって言ってくれた。今だから、あたしもお前の事が大好きだって言える。鍵、お前の事が大好きだ。」
深夏が面と向かって俺に大好きだといった。だから俺は深夏に近づいておもいっっっっっっっっっっっっっっきり抱きしめた。
「ふわっ!?な、何だよ鍵!!」
「ああ、もう、お前って奴はかわいいな畜生!!俺のほうが大大大好きに決まってんだろ!!!」
「わ、分かったから!!苦しい!!苦しいんだよ!!ああもう、ばかぁ!!」
「あ、ああ、ごめん。つい夢中になってしまったZE☆!!」
「いや、☆はいいからさ・・・あの、その・・・・・・キ、キスしてもいいか?」
「当たり前だろ。つーか、お前もなんか大胆というか、何という変わったな。」
「お前みたいのが彼氏なんだから、仕方ないだろ。」
そう言って深夏は目を閉じる。
俺はそのまま深夏の唇に重ねた。

「さ、さむっ!!!」
一気にムードをぶち壊した美少女がここにいました。さっきまでのあれは何だったのか、説明してもらいたい。
「キスが終わった直後にそれを言うか?」
「さ、寒いもんは寒いんだから仕方ないだろ!くしゅんっ!」
「ああ、もう、寒いのは分かったから、とりあえず出るぞ。」
「うう、分かった。ずず・・・」
「その前にその鼻水をどうにかしてくれ・・・」
正直、あれは・・・・・見なかった事にしよう。
「うう、寒かった・・・・・今度からは屋上に出るのは止めておこう・・・」
「場所的にはかなりいい場所なんだけどな。」
「ああ、それはあたしも思った。突然ぱーって月明かり差してきたからな。」
「それでこの後どうするんだよ?家にでも来るつもりか?」
「え、そのつもりだったんだけど。」
「ああ、そうかい。なんかそんな気がしたよ。」
「迷惑だったか?」
「いや、そういうわけじゃないけどさ・・・」
とは言っても俺も健全な男子でありまして、そんな事を言われるとかなり期待してしまうわけで・・・こいつは分かっているのか、と俺は思う。

家に着き、俺の部屋でベッドに深夏を押し倒す。
「・・・・帰ってきていきなり、するのかよ・・・」
「いきなりは嫌だったか?」
「別に・・・嫌じゃないけどさ・・・・」
「じゃあ、続けるぞ。」
深夏の服を脱がし、白い肌とフリルのついたブラがあらわになる。
「深夏、好きだぞ。」
そう言って深夏と唇を合わせる。今度は屋上でしたのとは違う。唇を舌で割り、口の中を舐めまわす。
「ふん、んぅ、んっんむ・・・くちゅ、んくっ・・・ちゅっ、ちゅく、んっ、ちゅぶ・・・んふっ、あっ、んっ、ちゅぱ・・・っはあ・・・ちゅぷ・・・んじゅっ」
深夏の髪の毛を撫でてみる。深夏は少し驚いて、ぴくんと反応したが、気持ちよさそうだった。
「ちゅぷっ・・・んっ・・・・・んむっ、ちゅっ、ん、ちゅっ、じゅぷっ・・・・ちゅくっ、ちゅぷっ、ちゅっ、くちゅっ・・・んふぅ、んく、ちゅくっ」
俺はそのまま深夏の胸に手をかけて、優しくなでる。
「はうっ・・・・あふ、あっ・・・んっ・・・」
深夏は少しだが身を捩じらせて、悶えている。
「ひあっ、ン・・・・あっ、、もっ、け、ん、じれったい事、すんなよっ」
そう言ってきたので、俺はじかに深夏の胸を揉む。
「くあっ、んっ、ふあっ、うあぅっ、あふ、あっ・・・んんっ、あっ、んぅっ」
深夏が背中をのけぞらせる。顔も少しずつだが紅潮している。
俺は揉んでいた胸の乳首を口に含む。
「はうぅっ!!け、鍵!!い、いきなりなにすんだ――っんあっ!!、ふああっ・・・んっ!!あふぅっ!!」
「相変わらず、深夏は感度いいよな。少し舐めただけでこんなに感じてくれるんだから。」
「やっ・・・そんなこ、と、ないっ・・・あんっ、んっ・・・・ふわぁっ!!」
深夏はそう言って反論しているがどうみても、感じている。
「じゃあ、ここはどうなってるんだよ?」
深夏の股間へと手を伸ばし、下着越しに触ってみる。
「な!?鍵、そこはっ――――ひゃうぅぅ!!、ふあっ、ふあぁぁぁ!!!あふっ、くっ、ぅぅんっ!!」
可愛い喘ぎ声を出して、悶えてくれた。いつもの事ながら、俺に責められっぱなしってのが可愛い。
「け、鍵っ!!そこっだめだってばぁ、うひゃうっ!・・・・あふっ、あっ、あっ、あっ、んんっ!!、あっ、そんなに中、いじっちゃっ、だめっ、だからぁ・・・」
「だったらここならいいのか?深夏。」
深夏のクリトリスを触ってみる。
「くうん!!っあ、はぁんっ!!んあぅっ!」
「・・・・深夏、そんなに気持ちいいのか?」
「ああ、もうばかぁ!!そんな事聞くな!!馬鹿っ!!」
深夏が真っ赤になって反論する。でもたいていこんな時に責めると、
「くあぅぅっ、んんっ、ふぁぅ、いやっ、そんなとこっ、さわ、んなぁ、ふあああんっ!!」
このギャップがとても萌え。

「深夏、そろそろ、俺・・・・・・。」
「・・・・・・・・」
深夏は俺のをみて少しびっくりしていたようだが、すぐにいつもの顔になり、
「・・・・鍵がしたいなら・・・別に・・いいぞ。」
いやむしろさっきよりも真っ赤になってそう言った。
深夏のスカートをたくし上げる。深夏はそうされてより真っ赤になる。ていうか、もう赤くなる事は出来ないんじゃないかと思うくらいに赤くなっている。
「深夏・・・いいか?」
深夏は無言でこくんと頷いて、足をM字に開いた。
俺は深夏の中に自分の息子を侵入させる。
「ふあっ、んくっ!!け、んのが、くあっ、入ってきた・・・・うあんんっ!!」
深夏は俺の息子が入ってきた事に快感を覚えて、顔を歪ませる。
「深夏・・・大丈夫か?」
「だい、じょうぶ、かって聞かれて、もっ!!そんな事、分かるわ、けないだ、ろ!!あふぅんっ!!あっ、あああっ!!」
俺の息子が何かに当たってこれ以上は入らなさそうになる。
「ああっ!!くっ!!鍵の、あたしの奥にあたっ、てぇ!!あふぁっ!!んあああっ!!!」
「深夏っ・・・・・奥まで入ったぞ。」
「そんな事、言われなくてもっ、分かって、るっ!!、ああんっ!!ふああっ!!ひうっ!!あっふあっ!!」
俺はそのままピストン運動をする。
ズチュッ、ズチュッ、ズチュッと一定のリズムで深夏の中を突く。
「ふあっ!!!んんっ、いいっ!!!そこっいいぃぃっ!!!ふあぅぅ!!!奥にっ、あたってぇ!!、あっ!!ふぁぁんっ!!ああもうばかぁ!!」
「何で、そこで罵倒されなきゃいけないんだよ。」
「し、しらね、ぇよ!!そんなことぉ!!あっ!!ふああっ!!ひうっ!!んんっ!!、あっふんぅ!!あっ、そこっ!!ノックしちゃ!!だっ、めぇ!!」
深夏の中の一番奥・・・・つまり子宮なのだがそこをずんずんと突く。
「ふあっ、鍵っ!!鍵ぅぅっ!!あっ、もう、そんなにそこっ!!突いちゃ、だめぇ!!!あっ!!、ああっ!!なにっ!!これぇぇ・・・気持ちいいとこあたってぇっ!!うあっ!!ふあっ!!あああっ!!すごっ!!これ、締まって、気持ちいっ、気持ちいいよぉっ!!ふあっ、!!ひあっ!!んんっ!!ふあっ!!ひぅん!!ふぁっ!!あ――――っ!!!」
「深夏・・・俺もう、そろそろ・・・」
「うあっ!!そんなっ!そんな急に動かさないでっ!!ひうっ!!はんっ!!あっ、そこ、あんっ!!気持ちいっ!!はっ、くぅっ!!ちょっ!!そんなにされると、け・・・んあたし、おかしくなっちゃうっ!!おかしくなっちゃうよぉ!!!ああああっ!!!あああああああっ!!!!あああああああああっ!!!!」
「くぅ・・・・っあ、く・・・」
びゅくん、びゅるっ、びゅるるる!!!
俺は白いものを深夏の中に出す。
「あああっ!!!!アあああっ―――――――!!!鍵!!鍵ぅ!!!ふあああああああっ―――――――――!!!!!」
深夏はそれと同時に果てた。

「すぅ、すぅ、すぅ。」
今隣で深夏が寝ている。寝顔も可愛くて、思わず頭を撫でる
「んんっ、け・・・ん?」
「あっ、ごめん、起こしちゃったか?」
ってなんかデジャヴ・・・
「んんっ・・・すぅ、すぅ、すぅ・・・」
っと思ったらまた寝た。なんとなく深夏の手を握る。
深夏の手は思ったよりも小さかった。手だけじゃなくて女だから背とかも俺よりかは小さい。
いつも、俺と対等な感じがするけど、実際はこんなにも健気で脆そう。(攻撃力は高いが・・・)
これでよかったのか・・・と今更だが思う。だけど、これでいいと言い聞かせる。
今はただ深夏を守りたいとただそれだけを思う。

4ヵ月後
クリスマスから4ヵ月後。会長たちは卒業して、深夏や真冬ちゃんも内地の方に行ってしまった。
新生徒会も始まって俺が会長になった。(ちなみに副会長が巡、会計が中目黒という会長よりも副会長の方が実験を持ってそうな生徒会だと思う)
・・・いきなり、寂しくなったなぁ・・・・・としみじみと思う。いや今は今で騒がしいけどさ。いつも騒ぎあっていたから、今が前と比べると静か過ぎてしまう。(新しく入ってきた一年生の二人もなんかノリ悪いし・・・可愛いけど。)でも深夏の話では、夏休みには帰って来るそうだ。
ま、気長にその日が来るのを待とうと思う。


参考情報

前編(中線まで)は2009/07/29(水) 21:44:30~2009/07/29(水) 21:45:58で5レスで投稿。
後編(中線から)は2009/08/05(水) 22:20:17~2009/08/05(水) 22:22:09で7レスで投稿。
一星龍さんの生徒会の一存のエロ小説を創作してみるスレでの8作品目。
前作の続き。
選択肢は同掲示板内の人気投票で決定。
掲示板での指摘(857-858)にのっとり、一部修正してお送りしております。


  • 最終更新:2010-07-04 10:17:12

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